鈴鹿中央斎奉閣
家族葬
走り続けるのは「絆」のため
喪主の渡邉様との出会いは、春の風がまだ少し冷たい3月のことでした。
旅立たれたお母様のご安置から、ご葬儀のお打ち合わせ、そしてご出棺に至るまでの4日間を、担当としてお手伝いをさせていただきました。
喪主様をはじめ、ご家族の皆様は本当に温かく、気さくで優しい方々でした。打ち合わせや準備の合間には、故人様との思い出や、ご家族の暮らしにまつわる何気ないエピソードなど、たくさんのお話を伺うことができました。
中でも印象的だったのは、故人様が晩年に突然好きになられたという「ちくわとカップヌードル」のお話です。
お買い物に行くたびに必ずカゴに入れられていたそうで、ご家族様からも「最後にぜひ持たせてあげたい」とのご希望をいただき、大切にお預かりいたしました。
故人様は、生前とてもおしゃれで綺麗にされていた方だったと伺っておりましたので、そこで「ちくわを、きれいにお供えするにはどうしたら良いだろう?」と、スタッフの山本と一緒に考え、「飾り切り」でお供えすることにしました。
カップヌードルも、故人様が喜ばれそうなさまざまな味を取りそろえてご用意しお供えしました。お供えをご覧になった喪主様は、「こんなにしてもらえたことが嬉しくて…」と、そっと涙を流されました。その姿に私たちも胸が熱くなり、心から「お手伝いできて良かった」と感じた瞬間でした。
それから2か月後の5月4日。私は三重県・尾鷲の地で、再び喪主様とお会いしました。
ご葬儀の打ち合わせの際、喪主様がデコトラの運転手であること、そして近々デコトラが集まる「一般社団法人 全国歌麿会 2025春の全国大会 ~令和6年能登半島地震支援チャリティー in 三重尾鷲~」にご参加されることを伺いました。
一生に一度は参加してみたかった憧れのイベントが、こんなに近くで開催されること、担当の喪主様も参加されるということに運命を感じました。
「よかったら、来てみませんか!?」
その一言に背中を押され、私はイベントに足を運びました。
会場には、全国から集まった約300台ものデコトラが勢揃いしており、その壮観な光景に、ただただ圧倒され感動していました。喪主様は各トラックの特徴を丁寧に教えてくださり、特別に愛車「麻里姫丸」の運転席に座らせていただくなど、喪主様の優しさに再び触れたこの6時間は、私にとってかけがえのないひとときとなりました。
改めて、ご葬儀を通じて喪主様との間に生まれた絆に感謝し、デコトラの眩い鎮魂の光が浄土へ旅立たれた故人様に届いていることを喪主様とともに祈っております。
これからも一人ひとりのご縁を大切に、深い絆を築いていけるよう精進していきます。
2025年3月22日 渡邉家様(担当:道内)