鈴鹿中央斎奉閣
故人様の一番大好きなモノ
ご家族様に故人様の好きだったものをお尋ねしたところ、喪主様は「イチジクやな」と教えてくださいました。
「他に好きな飲み物やお菓子、例えばおまんじゅうが好きだったとかありますか?」と続けてお聞きすると、「うーん…とにかくイチジクが好きだったね」とのこと。イチジクへの想いが何よりも強く残っているご様子でした。
最初に打ち合わせをしたスタッフから「イチジクが大好きだった」と聞き、改めて喪家様にご確認すると、「他に思いつかないほど好きだった」と話されていました。
ただ、時季的に生のイチジクはご用意できなかったため、代わりにイチジクのジャムとヨーグルトをお供えとしてご準備しました。何店舗もお店を回り、青果店にも問い合わせてもご用意できず選んだ代替の品となりましたが、通夜前に思い出コーナーへそっと飾らせていただきました。
ご家族様には事前にお伝えしていなかったため、サプライズのようなかたちでご覧いただくと、ご家族の皆様は笑顔で「ありがとう」と喜んでくださいました。
そのご様子に、違ったカタチではありますが、ご用意できて良かったと、私も心から嬉しくなりました。
故人様は写真があまりお好きではなかったそうですが、遺影に選ばれたのは数十年前の旅行中に撮られた1枚です。
いつもはカメラを向けられると手で顔を隠され避けていたそうですが、この写真だけは自然な笑顔で、表情もとても柔らかく、「良い表情だね」と話されていたのが印象的でした。
お棺には、故人様の亡きご主人が大切にされていた阪神タイガースのキーホルダーを納めたいとのご相談があり、「金属部分は難しいですが、プレート部分なら可能です」とお伝えし、ご用意いただきました。
また、美しいお着物もご一緒に納められました。
通夜・告別式の会場では、思い出コーナーに飾ったイチジクジャムを見て、「イチジク好きやったなあ」と親族の方々が語り合う姿があり、故人様のイチジク好きを皆様が記憶されていたことに、温かい絆を感じました。
喪家様は終始柔らかい雰囲気で、打ち合わせ中も笑顔があふれていました。
このご葬儀を全力でお手伝いしたいという気持ちが自然と湧き、お帰りの際にいただいた感謝の言葉は、今も私の支えとなっています。
心からの「ありがとう」に出会えたこのご葬儀を担当できたこと、深く感謝申し上げます。
2025年5月21日 I家様(担当:奥田)