身近な人の死によるストレスと心身の変化|心の痛みを和らげる方法も解説

公開:2025.05.22  更新:2025.06.07

身近な人の死によるストレスと心身の変化|心の痛みを和らげる方法も解説

両親や配偶者といった身近な人の死による悲しみは、心身に大きなストレスをもたらします。
悲嘆によるストレスの程度は人それぞれ異なり、日常生活に支障をきたす恐れもあります。
とはいえ、「自分の悲嘆反応が正常な範囲内なのか」を判断するのは、容易ではありません。

この記事では、身近な人の死によるストレス反応と心身の変化を解説します。
ストレスを放置すると起こる病気や心の痛みを和らげる方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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身近な人の死によるストレスで起こる悲嘆(グリーフ)とは

身近な人の死に直面すると、心身には悲嘆(グリーフ)による変化が起こります。
悲嘆とは、大切な人の死によって生じるさまざまなストレス反応のことです。

喪失体験に対するストレス反応は誰にでも起こり得ますが、通常は時間とともに回復していきます。
ここでは、悲嘆反応の基礎知識として以下の2点を解説します。

  1. 心身の症状や行動上の変化
  2. 立ち直るまでのプロセス

なお、悲嘆による反応は個人差があり、強すぎたり長期化したりすると心身に大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのように注意が必要な状態については、次項の「身近な人の死によるストレスを放置すると起こること」を参考にしてください。

 

心身の症状や行動上の変化

身近な人の死による悲嘆は、以下のようなストレス反応として現れます。

心身の症状

身体面

・不眠
・胸の締め付け感
・食欲低下 など

心理面

・無力感
・不安
・怒り など

行動上の変化

・日常生活動作の低下
・引きこもり
・落ち着きのなさ など

身近な人の死に直面すると、上記のような変化が起こって日常生活に支障をきたすことがあります。
心身の変化は自然な反応ですが、症状の現れ方や程度には個人差があるため、周囲の理解と配慮が重要です。

このようなストレス状況下でも、遺族は葬儀の準備や各種手続きなどの対応を進めていく必要があります。
身近な人の死が起きた際に進める手続きや周囲への連絡方法などを知りたい方は、下記の記事をチェックしてください。

【関連記事】身内の不幸とは?すべきことや電話・メール連絡時の言い方も例文付きで

引用元:福島県|大切な人を突然亡くされた方へ

 

立ち直るまでのプロセス

身近な人の死による悲嘆から立ち直るまでのプロセスは、一般的に以下4つの段階を経るとされています。

  1. ショック
  2. 怒り
  3. 抑うつ
  4. 立ち直り

上記は必ずしも順序どおりに進むわけではなく、個人によってパターンは異なります。
悲嘆のプロセスは故人との関係性や死に至る状況など、さまざまな要因に影響されるためです。

たとえば、初期段階で冷静に見えたとしても、内面では強いショックを受けている可能性があります。
また、怒りや抑うつの段階を行き来したり、立ち直りかけてもまた悲しみに戻ったりすることもあるでしょう。

人によっては悲しみを抑え込んでストレスが蓄積し、立ち直りまでのプロセスが長期化します。
悲嘆からの回復は、個々のペースで進み、決まった期間で完了するものではないことへの理解が必要です。
身近な人の死に対する悲嘆から立ち直るまでの期間や、影響する要因を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】死別から立ち直るまでの期間はどれくらい?長引く要因や乗り越える方法も

 

身近な人の死によるストレスを放置すると起こること

身近な人の死による悲嘆が長すぎたり、強いストレス反応が放置されたりすると、下表のように深刻な不調を引き起こす可能性があります。

病気

概要

症状

遅延性悲嘆症

喪失に関する悲嘆が強く、長期間続くことで日常生活に支障をきたす

・身近な人の死への執着感 
・不安 など

うつ病

何に対しても興味や喜びを感じられない状態が続き、生活機能に障害をきたす

・不眠
・食欲がない など

不安障害

過度な心配や不安が続くことで身体症状を引き起こし、日常生活に支障をきたす

・動悸
・腹痛 など

PTSD
心的外傷後ストレス障害

心に強い衝撃を受けるような体験のあとに、精神障害をきたす

・恐怖
・感覚の麻痺 など

病気によっては、適切なケアを受ければ症状の改善や回復が期待できます。
症状が深刻化する前に、病院やグリーフケア専門の相談窓口といった専門機関へ相談しましょう。

なお、弊社ではグリーフケア士によるサポートを行っております。
身近な人の死によるストレスを緩和したい方は、グリーフケアページをぜひご覧ください。

 

身近な人の死で起こるストレスへの誤解

身近な人の死で起こるストレス反応への誤解があると、適切なケアの妨げとなり、悲嘆の長期化につながる恐れがあります。
実際、ストレスに対して以下のような誤解を抱く方も少なくありません。

  • 時間が悲しみを癒してくれる
  • 考えないようにすれば苦しまない
  • 周囲の人は、死別に触れない方がよい
  • 幼い子どもは死が理解できないため、成長するまで話さない方がよい
  • 薬物やアルコールは悲嘆の痛みを和らげる
  • 怒りは正常な反応ではない など

上記のような誤解は、悲嘆から立ち直るための行動を抑止し、回復を遅らせる要因となります。
身近な人の死によるストレスへ対処するには、ご自身の感情と向き合い、適切な支援を受けることが大切です。

引用元:日本トラウマティック・ストレス学会|大切な人との死別による悲しみの理解と対応

 

身近な人の死をきっかけとしたストレスの対処法

身近な人の死によるストレスに対処するためには、以下2つのプロセスが重要です。

  1. 悲しみに向き合う
  2. 新しい生活に少しずつ目を向ける

回復へのプロセスでは、上記を交互に行き来しながら進みます。
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。

 

対処法①:悲しみに向き合う

身近な人の死によるストレスへ対処するには、下表のように悲しみと向き合うことが回復への重要なステップです。

活動

内容

話す

信頼できる人に気持ちを話す

思い出の時間を持つ

故人の写真を見るなどして思い出にふける

書く

気持ちを日記やメモに記す

専門家に相談する

カウンセラーや医師などに気持ちを聞いてもらう

悲しみを抑え込むと、心の中に蓄積され、長期的なストレスや心身の不調につながる恐れがあります。
ご自身に合った形で悲しみと向き合うことが、回復への第一歩です。

 

対処法②:新しい生活に少しずつ目を向ける

身近な人の死によるストレスへ対処するには悲しみと向き合いつつ、新しい生活に少しずつ目を向けることも重要です。

活動

内容

好きなことをする

本を読んだり運動をしたり、好きな活動を再開する

健康に気を配る

・消化によい食事を少しずつ摂取する
・十分な睡眠を心がける

小さな目標を決める

一歩前進したら褒めたり認めたりする

サポートを受ける

・悲しみを乗り越える方法などの情報を集める
・専門家にアドバイスを求めたり、同じように苦しんでいる仲間と話したりする

悲しみから気持ちを切り替えられずにいると、ストレスが増強して日々の暮らしに支障をきたす恐れがあります。
無理に気持ちを切り替えるのではなく、違うことに意識を向ける時間を少しずつ持ってみましょう。

 

身近な人の死でストレスを抱える方にかけるべきではない言葉

身近な人の死でストレスを抱える方が悲嘆から立ち直るためには、周囲からの言葉かけが大きな影響を与えます。
配慮のない言葉は、悲嘆を増長させる恐れがあるためです。
以下は、身近な人の死でストレスを抱える方にかけるべきでない言葉の種類です。

  • 罪悪感を増長させる言葉
  • 他の人と比較する言葉
  • 強くなれという励まし
  • 感情を表出することの禁止
  • ご自身の道徳観念や宗教観のおしつけ など

たとえば、「もし、あなたが~だったら」や「泣いてばかりじゃ」のような言葉は、悲嘆から回復するプロセスを遮断する恐れがあります。
支援する際はアドバイスや気休めを口にせず、ストレスを抱える方の話を丸ごと受け止める姿勢が重要です。
なお、お悔やみの言葉と正しい使い方を詳しく知りたい方は、下記の記事をチェックしてください。

【関連記事】お悔やみの言葉とは?例文やマナー、正しい使い方をわかりやすく解説

引用元:日本トラウマティック・ストレス学会|大切な人との死別による悲しみの理解と対応

 

身近な人の死をきっかけとしたストレスを癒したい方は

身近な人の死を経験した場合、悲嘆から回復するまでには長い期間が必要です。
悲嘆によるストレスは自然な反応ですが、適切なサポートを受けなければ、心身の健康を害する恐れがあります。

専門的なサポートを求める方には、斎奉閣がおすすめです。
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※当社調べ/2024年1月~12月の四日市市、いなべ市、東員町、桑名市、菰野町、亀山市、津市、名張市、伊賀市内の斎奉閣・和ごごろ22会館合計葬儀施行数

グリーフケア士の育成にも注力しており、現在5名が在籍し、そのうち1名は三重県初となる上級グリーフケア士の資格を保有しています。
斎奉閣では、経験豊富な専門家が寄り添い、悲嘆からの回復をサポートいたします。
身近な人の死を少しずつ受け入れ、ストレスを癒したい方は、グリーフケアページをぜひご覧ください。

 

まとめ:身近な人の死によるストレスはごく自然なもの

身近な人が亡くなった場合、深い悲しみは心身に大きなストレスをもたらします。
このような反応は回復への自然なプロセスとなりますが、長期化しないためには適切なケアや支援が必要です。

弊社では、グリーフケア士が身近な人の死に苦しむ方に寄り添い、回復に向けて一歩を踏み出せるよう支援しています。
悲しみを抱えつつも、新しい生活に目を向けたい方は、グリーフケアページをぜひ一度ご覧ください。

グリーフケアとは

  • 食欲がない
  • 体がだるく疲れやすい
  • 理由もなく泣き出す
  • 大切な人の死を防げなかった自分に罪悪感を覚える
  • 人生がむなしく感じ、意味のないものに思える

このようなときにグリーフケア士をお頼りください

この記事の監修者

深田真毅(ふかだ まさき)津地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター

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