悲嘆反応とは?プロセスや期間を解説|つらさを少しずつ和らげる対処法も

公開:2025.06.05

悲嘆反応とは?プロセスや期間を解説|つらさを少しずつ和らげる対処法も

喪失という大きな出来事を経験したときに表れる悲嘆反応は、誰にでも起こり得る自然な心と体の働きです。
とくに、大切な人との別れは、私たちの価値観や世界の見え方すらも大きく変えてしまいます。

悲嘆はときに長期化し、日常生活や心身の健康に支障をきたすこともあります。
ご自身や大切な人の苦しみを和らげるためにも、悲嘆反応について正しい知識を身につけておくことが大切です。

この記事では、悲嘆反応の種類や典型的なプロセスや症状の表れる方を解説します。
悲嘆反応のつらさを和らげる対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

▼気軽にご相談ください。

 

悲嘆反応とは

悲嘆反応とは、大きな悲しみや喪失を経験したときに、心や体に表れるさまざまな変化の総称です。
中でも、親しい人との死別によって起こる反応は「死別反応(ビリーブメント)」と呼ばれ、深い悲しみや混乱などの感情が長期間続くこともあります。

しかし、悲嘆は心や体が喪失を少しずつ受け入れ、回復しようとする自然な働きです。
ここでは、心の回復に向けた道のりを、以下に挙げる2つの観点から解説します。

  1. 4つのプロセス
  2. いつまで続く?悲嘆反応の期間

それぞれを詳しく見ていきましょう。

 

4つのプロセス

悲嘆反応は、一般的に以下の4段階で進んでいきます。

  1. 思慕・追慕
  2. 気後れ感・疎外感
  3. うつ的不調
  4. 適応と変化

最初に表れるやすいのが、亡くなった方を思い出す「思慕・追慕」の感情です。
仏壇に手を合わせるとき、思い出の場所に立ったときなど、無意識にその人の存在を感じ取ろうとする姿勢も思慕のあらわれといえるしょう。

また、深い喪失感により、周囲との関わりに違和感を覚えたり、体調面の不調が見られたりすることもあります。
時間の経過とともに故人との思い出を心に抱えながら、少しずつ日常のリズムを取り戻せるようになります。

しかし、その過程は一様ではなく、感情が揺れ動くケースも少なくありません。
無理に「順番通り」である必要はなく、ご自身のペースで乗り越えていくことが大切です。

 

いつまで続く?悲嘆反応の期間

悲嘆反応は、一般的に半年から1年ほど続くことが多いとされています。
しかし、気持ちが落ち着き、以前とほとんど変わらない日常生活を送れるようになるまでには、さらに長い時間がかかる傾向にあります。

たとえば、親を亡くした場合は3年ほど、配偶者や子どもを亡くした場合は4年半〜5年ほどであり、人によってはさらに時間がかかるケースも少なくありません。
数か月で落ち着く方もいれば、数年かけて少しずつ立ち直る方もいます。

大切なのは、「亡くなってからもう〇年も経ったのだから、元気になるべき」とご自身を責めないことです。
立ち直る一歩を踏み出したい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

【関連記事】死別から立ち直るまでの期間はどれくらい?長引く要因や乗り越える方法も

 

悲嘆反応の種類

大切な人を失ったあとにあらわれる悲嘆反応の種類は、以下の3つです。

  1. 身体症状
  2. 精神症状
  3. 行動上の変化

後述するようなつらい症状があるときは、無理に1人で抱え込まず、専門機関に相談することが大切です。
それぞれを詳しく見ていきましょう。

 

種類①:身体症状

悲しみによる影響は、以下のような体の不調として表れることがあります。

  • 食欲がない、または過食
  • 不眠、または過眠
  • 頭痛
  • めまい
  • 倦怠感
  • 動悸 など

一時的なこともありますが、症状が続く場合は身体的なケアが必要です。

 

種類②:精神症状

感情の変化は、以下のように心の疲れやストレスとして強く表れます。

  • 何をしても虚しく感じる
  • ひどく不安になる
  • イライラする
  • 物事に集中できない
  • 故人が生きているように感じる など

悲しみを無理に押さえ込んでしまうと、心の負担が積み重なり、時間がたつにつれてストレスや体調不良として表れることがあります。
無理に「元気にならなくては」と思わず、ご自身のペースで過ごすことが大切です。

 

種類③:行動上の変化

心や体の変化にともなって、普段の生活にも以下のような影響が出ることがあります。

  • 人とのかかわりを断つ
  • すぐに涙が出る
  • 落ち着きがなくなる
  • 故人のものをいつも身につける など

何もする気が起きなくなるのは、心が深い喪失を受け止めようとしている過程と考えられます。
ただし、こうした状態が数か月以上続くと、日常生活に支障をきたすため、家族や専門の医療機関などに相談することが大切です。

 

悲嘆反応から目を背け続けると起こりうる精神疾患

悲嘆反応に関連して起こりうる代表的な精神疾患は、下表の通りです。

病気

概要

遷延性悲嘆症

喪失に関する悲嘆が強く、長期間続くことで日常生活に支障をきたす

うつ病

何に対しても興味や喜びを感じられない状態が続き、生活機能に障害をきたす

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心に強い衝撃を受けるような体験のあとに、精神障害をきたす

気分の落ち込みや無気力といった似たような症状が見られますが、原因や症状の続き方には違いがあります。
遷延性悲嘆症は、亡くなった人への喪失体験に結びついて表れる障害です。
一方、うつ病は、特定の出来事に限らず気分が落ち込む状態が続きます。

また、事故や事件など強いショックを伴う状況で大切な人を亡くした場合などは、遷延性悲嘆症とPTSDを併発しやすいとされています。
精神的につらい症状が強い場合は、専門機関へ早めに相談・受診しましょう。

 

悲嘆反応を少しずつ和らげる方法

身近な人の死による悲嘆を和らげるには、下表のようなステップを行き来しながら、ゆっくりと心を整えていくことが大切です。

方法

取り組み例

悲しみに向き合う

・気持ちを言葉や行動で表現する
・信頼できる人に話をする
・思い出の品や写真に触れる
・専門家に相談する など

新しい生活に目を向ける

・散歩や読書など好きなことを再開する
・規則正しい睡眠や食事を意識する
・小さな目標を立てる
・サポートを受ける など

悲しみが長く続くと、気力が湧かず生活にも影響が出やすくなります。
ご自身に合った方法で感情を整理しながら、気分転換になることに少しずつ意識を向けてみましょう。

身近な人の死をきっかけとしたストレスの対処法について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】身近な人の死によるストレスと心身の変化|心の痛みを和らげる方法も解説

 

悲嘆反応による心身のつらさを軽くしたい方は

悲嘆反応は、誰にでも表れる自然な反応であり、時間と共に軽くなる場合もあります。
しかし、その過程で心身に過度の負担がかかり、回復が遅れる可能性もあります。
悲しみを和らげるためには1人で抱え込まず、専門的なサポートを受けることが大切です。

なお、斎奉閣は三重県内で葬儀施行数No.1(※)の実績を誇る地域密着の斎場であり、グリーフケア士の育成にも注力しています。
※当社調べ/2024年1月~12月の四日市市、いなべ市、東員町、桑名市、菰野町、亀山市、津市、名張市、伊賀市内の斎奉閣・和ごごろ23会館合計葬儀施行数

現在5名のグリーフケア士が在籍しており、そのうち1名は三重県初の上級グリーフケア士です。
大切な人を失った後の心のケアを専門家として、悲しみや苦しみに寄り添いながら回復をサポートをいたします。
悲嘆反応による心身のつらさを軽くしたい方はグリーフケアページをご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。

 

まとめ:悲嘆反応の出方や期間は人によって異なる

喪失にともなう悲しみは、人によって感じ方が異なります。
強い悲しみが長く続く人もいれば、日常生活の中でふと涙がこぼれるような形で表れる人もいます。
しかし、どのような反応も自然なものであり、無理に気持ちを押し込めたり、「早く立ち直らなければ」と責める必要はありません。

大切なのは、ご自身のペースで向き合っていくことです。
辛いときは、無理をせず、周囲や専門家に頼ることも検討しましょう。

なお、斎奉閣にはグリーフケア士が在籍し、少しずつ日常を取り戻していけるよう心のサポートを行っています。
心に平穏を少しずつ取り戻したい方は、グリーフケアページをぜひ一度ご覧ください。

グリーフケアとは

  • 食欲がない
  • 体がだるく疲れやすい
  • 理由もなく泣き出す
  • 大切な人の死を防げなかった自分に罪悪感を覚える
  • 人生がむなしく感じ、意味のないものに思える

このようなときにグリーフケア士をお頼りください

この記事の監修者

笹浦久朋(ささうら ひさとも)桑名地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター

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