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鈴鹿中央斎奉閣

家族葬

香りが届きますように

公開:2024.12.25

通夜当日の朝、ご家族の皆様と葬儀の確認や故人様の生前の思い出話を伺っていた時のことです。

 

私「故人様が生前好きだった食べ物や趣味はありますか?」

ご家族「一番はラーメンが大好きでしたね。」

私「ちなみに何ラーメンがお好きだったのでしょうか?」

ご家族「喜多方ラーメンです。とにかく好きでしたね。」

私「えっ!!本当ですか!?あまり関係ないですが、私の故郷のラーメンなので…ありがとうございます。」

 

生まれ育った福島県のソウルフード「喜多方ラーメン」の名前がまさか登場するとは露とも思わず、なかなかお目にかかれない喜多方ラーメン同志にめぐり逢い、感動と嬉しさのあまりその後もご家族と良い雰囲気でお話しさせていただきました。

 

故人様は外食するといえば、大好物の「喜多方ラーメン坂内」によくご家族を連れて行ってくれたそうです。そして、お亡くなりになる最期の時まで「喜多方ラーメンが食べたい」とご家族に伝えられていたそうです。

 

「叶えられなかった故人様の最後の望み…ぜひ叶えてあげませんか?」と提案しました。

ご家族も賛同いただき、追善供養として喜多方ラーメンのセットをご用意いただきまして、思い出のコーナーにお供えされました。

私の故郷の味を愛してくださった故人様に対し、福島県民代表としてできることはこれしかないと思い「明日の葬儀前に、ぜひ喜多方ラーメンを作らせてください。」とお願いしました。「そんな気を使わなくて大丈夫ですよ!」と最初は遠慮されていましたが、私の熱意が通じたのか、ご了承いただけました。

 

作らせてくださいと勇んで言ったものの、調理道具があるかどうかも不明でした…が探してみると意外にも斎奉閣にはたいていの調理道具が揃ってることもわかりました。

せめて香りだけでも故人様に届けばと、素人ながら丹精を込めた一杯をご用意しました。

「やっと喜多方食べれたね。」と故人様の最後の望みを葬儀の日に叶えることができ、ご満足されている皆様の様子を見て、県民代表として恥じない供養のお手伝いができたのではないかと思いました。

調理をするというひと手間だけかもしれませんが、ご遺族から涙ながらに「ありがとう」と深い感謝のお言葉をいただくことやお礼のお手紙をいただくことを励みに、今後も皆様に寄り添ったご葬儀の提案ができるよう精進していきます。

2024年11月8日 K家様 (担当:道内)