

社葬とは
社葬は、故人がお勤めの企業が主体となり、業務の一つとして執り行われます。各界からの主要関係者が会すため、故人への哀悼の目的にとどまらず、企業にとって意義のあるイベントと言えます。
特に、企業のトップの死となると、決して「故人の死」で終わらせることができません。社会的・文化的な意味を持ち、生きている者への死生観や、生きることへの意味を与える行事となります。

社葬
故人が亡くなった直後、ご家族主催で近親者のみが参列する個人葬(密葬)を行った後、社葬(本葬)を行う葬儀。個人葬の後、2~4週間後に企業主催の社葬が実施されます。
お別れの会
故人が亡くなった直後、ご遺族の主催で近親者のみが参列する個人葬が行われます。その後、本葬の代わりに斎奉閣やホテルなどを会場として、お別れの会を行います。自由な形式であるため内容は様々です。儀式的なものから、会食を中心としたパーティー形式、ビデオやスライドなどを使って故人を偲ぶ形式もあります。
合同葬
企業が遺族と合同で葬儀を主催し、個人葬と本葬を一緒に行うのが合同葬です。また、2つ以上の企業や団体が合同で行う葬儀も合同葬と呼ばれます。亡くなられてから葬儀までの時間が短いため、準備が非常に慌しくなりがちです。
社葬の様子
他の葬儀との違い
運営主体が企業であるため
企業の経費で執り行われる
社葬と一般葬など他の葬儀と大きく異なる点は、運営主体が企業であることです。そのため、葬儀は企業の経費で執り行われます。
葬儀の代表者が
喪主一人ではない
喪主は遺族の代表者、施主は企業、葬儀委員長は企業の代表といった役割分担が行われます。一般葬の場合、葬儀主催者の喪主と、葬儀の費用負担・運営責任者である施主が同一であることが多いです。
企業を最大限
アピールできる葬儀
社葬は、故人の関係者だけでなく、参列者に対して企業の組織力や後継者を中心とした万全な体制をアピールする場でもあります。また、社葬が企業を結束させ、より強固な社内体制にする役割を果たします。
大規模な葬儀
高額な葬儀費用
個人の一般葬に比べて会葬者の数が多くなり、費用も高額になります。
社葬に精通した
専門的なノウハウが必要
多くの会葬者への対応を滞りなく行えること、運営ノウハウが必要です。
社葬の流れ
1. 企画・準備
生前のトップの意向確認
トップの葬儀に対する見解を把握し、趣旨・方針を共同理解すること。
社内・社外を問わず、必要な連絡先を調べあげて区分しておく。 (区分の一例:社内・グループ関連企業/取引先/株主/所属団体/友人代表)
不測の事態が起こる前に、社葬の対象者に応じた範囲・規模、企業の費用負担割合などを基準化した「社葬規程」を作成しておく。
2. 取締役会の開催
訃報後、社葬の決定を行うため、社葬規程に基づいて取締役会を開催し、社葬を決定します。
3. 遺族との打ち合わせ
ご遺族を訪問して打合せ。社葬の執行、葬儀様式、葬儀日時、ご遺族側の参列人数、葬儀費用の負担の仕方などについて相談します。
4. 社葬実行委員会の設置
以下の項目を決定していきます
・香典の処理の決定
・葬儀社の指定、会場の下見
・喪家側への詳細連絡
・寺院・僧侶への依頼
・担当係の詳細決定
・案内状発送簿の作成・発送
・社葬案内広告の出稿
・弔辞の依頼
・参列者座位の決定
・焼香順位の決定
・弔電の整理
・供花類の決定
・会葬礼状の手配
・粗供養品の手配
・服装の確認、徽章・腕章の手配
・実行前の最終確認
税法上の取り扱い
法人税法基本通達では、「法人がその役員または使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入できるものとする」とされています。
社葬費用は、故人様の企業に対する貢献度や死亡の事由などによって、一般的な会葬に要する費用の範囲内で法人の経費として認められますが、社葬を決定した取締役会の議事録と領収書が必要です。経費として認められない費用については、遺族が負担することとなります。
損金処理できる費用 (経費として認められる費用)
生花・祭壇費
飾りつけ考案料
屋外設備一式
会葬礼状・返礼品
式場使用料
新聞広告
お布施(読経料、但し仏式の場合)
飲食代
タクシー代
霊柩車
火葬費用
アルバイト日当など
損金処理できない費用 (遺族が負担する費用)
香典返し
戒名料
墓地購入費
死亡診断書費用
仏壇購入費
接待費用(接待交際費になる)
法要費用(社葬以後など)
社葬の費用目安
ご要望、会社の規模によって価格の幅が大きいため、平均の金額がいくらとは言えません。自社施設の利用などでも費用は変動します。まず、どの項目にどれくらいの費用がかかるのかを把握してください。下記に社葬に必要な項目を記します。
会場使用料 | 寺院、斎奉閣会館、ホテル、公共施設などの使用料 |
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設備費 | 音響設備、照明設備、仮設ステージ設営、テント、椅子、 ストーブ、スポットクーラー、その他必要な用品 |
企画費 | 運営全体に於けるアドバイス、映像編集、遺品等の展示 や略歴紹介写真展示(メモリアルコーナー)のディレク ション及び制作費用 |
運営費 | 寺院、斎奉閣会館、ホテル、公共施設などの運営費、人 件費 |
祭壇 | 式進行管理、施工管理、人件費など |
返礼品 | 香典返し |
食事 | 葬儀委員、僧侶、葬儀委員長など |
その他の項目 |
印刷費用・・・ご案内状、会葬礼状など 車輌費用・・・ハイヤー(役員・親族・宗教者用など) 広告費用・・・新聞などの死亡広告 |
その他のプラン
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訃報の告知方法は?
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業界団体や取引先、会社OBなどへの告知、問合せ対応を間違いのないように確実に行わなくてはなりません。葬儀の日時・場所などが決定したら、社外の取引先や関係者向けに訃報を発信します。その後、死亡記事・広告掲載のために各新聞社や記者クラブなどに連絡を入れます。
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社葬の目的、狙いは何ですか?
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社内的な目的では、企業文化を体現して結束を図ること。社外に対しては、企業の社会価値観を示すという狙いがあります。葬儀委員長や来賓、焼香順位などは、企業の価値観が表れています。
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社葬を連絡する際のポイントは?
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営業-販売先、購買-仕入先、経理-金融関係先、総務-親族・故人の私的関係者…などと各部ごとに区分けし、先方と面識のある管理職の方が連絡することがポイントです。
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葬儀委員長は誰にお願いするものですか?
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最終責任者である委員長は、一般的に公的立場の議員(加盟組合連合会等の会長、国会議員、市長)、重要取引先の会長・社長、自社役員・社長・副社長などに依頼します。
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僧侶へのお礼は?
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人数・規模によっても変わりますので依頼の際、直接伺うとよいでしょう。お礼を渡すタイミングは、社葬が終わり、僧侶が控え室に戻られた際、お礼の言葉を添えて、お布施とお車代に分けてお渡しするのが通常です。