和ごころ津
お母ちゃんの娘で本当に幸せでした。お母ちゃんいっぱい愛しています。
故人様はご家族にとって、「やさしさのかたまり」のような存在だったそうです。
穏やかで人を癒す方でありながら、芯の強さも持ち合わせておられました。
厳しい父親と子どもたちの間に立ち、優しく包み込むように支えてくれていた。そんな姿が、ご家族の記憶に深く残っています。
特に印象的だったのは、どんな時も家族に「ありがとう」と伝えていたこと。
娘様が「ありがとうなんて、言わなくてもいいよ」と返しても、「家族にも、してもらったことには感謝」と笑顔で語る、その姿勢に深い思いやりが感じられました。
想い出コーナーを飾らせていただいていたときのことです。
たくさんの色とりどりの折り鶴の中に、ひときわ目を引く一羽の白い鶴がありました。
「何か意味があるのかな」と思い、私はその白い鶴を中央に飾らせていただきました。その後、飾り終えた想い出コーナーをご覧になった娘様に、そのことをお伝えしたところ、こうおっしゃいました。
「気づいてくださってありがとうございます。この白い鶴の中に、母への手紙が書いてあるんです」と。娘様は白い折り鶴に、深い想いを綴られていました。
お母ちゃんへ「生んでくれてありがとう。育ててくれてありがとう。守ってくれてありがとう。
いっしょにいてくれてありがとう。いっぱい愛してくれてありがとう。
お母ちゃんの娘で本当に幸せでした。お母ちゃんいっぱい愛しています。」
私は思わず「こんなにたくさんの鶴、どなたが折られたのですか?」とお聞きすると、
「私一人で折りました。母が入院してから、早く治りますように、長生きしますように、と願いながら、毎日少しずつ折っていました」と話してくださいました。
一羽一羽に込められたその想いが、式場全体をやさしく包み込んでいたことに、静かに気づかされた瞬間でした。
ご家族様は、前年にお父様のご葬儀を和ごころ津で行われており、今回も同じ会場を強く希望されていました。
当初は先に打ち合わせをされていたお客様が和ごころ津を希望されており、使用が難しい状況でした。しかしながら、最終的に、H様とは日程が重ならず、お父様と同じ和ごころ津でご葬儀をするというご希望が叶いました。
「母の力が働いたのかも」と、ご家族様はとても喜んでくださいました。
祭壇や枕花は、故人様の好きだったピンクを基調にご用意しました。
お通夜前にご覧いただいた際には「とても良くしてくれてありがとう」とのお言葉をいただきました。
また、折り鶴やお写真、帽子などをお預かりし、想い出コーナーに丁寧に飾らせていただいた際も、「きっと母も喜んでいると思います」と、温かい笑顔を向けてくださいました。
お通夜の前に次女様から「母への手紙を棺に入れたい」とご相談いただき、「今夜は棺の上に置いて、お母様に読んでいただき、明日、お別れの際、それぞれ書かれた方がご自身で入れていだだくのはいかがでしょうか」とご提案しました。
「棺の上に置いていいんですか?」と驚かれながらも、そっと手紙をお母様のそばに置かれる姿が、とても印象的でした。
ご葬儀を終えたあと、「きっと母も喜んでいると思います」と語ってくださったお言葉が、今も胸に残っています。
いろいろなご要望にお応えでき、「ありがとう」をいただけたこともうれしかったのですが、まるで故人様から直接「ありがとう」と言っていただけたように感じられたことが、このご葬儀での何よりの喜びでした。
この大切なお見送りに関わらせていただけたこと、心から感謝しております。「ありがとうございました」
2025年6月17日 H家様(担当:山本)