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和ごころ末広

刺繡が紡ぐ想い出の日々

公開:2025.08.25

刺繍の先生としても活動されていた故人様は、ご自身の手で生み出した数々の作品を大切にされ、生涯を通して「丁寧に生きる」ことを体現された方でした。展示会に出展すると、作品を譲ってほしいと声をかけられる可能性があるため、大切な作品を手元に残すために出展は控えておられたそうです。そのお話から、一針一針に込められた深い思いが感じられました。また、ひ孫さんやお孫さんと一緒にオセロを楽しみ、負けると「もう一回しよう」と言っていたというエピソードには、勝負にも人生にも真剣だったお人柄が滲んでいます。

 

ご家族にとって故人様は、ただの「おばあちゃん」ではありませんでした。お孫さんたちにとっては母のような存在であり、娘様たちにとっては、100歳まで元気に過ごされ、ほとんど入院もされなかった「いつまでも元気で、家族に安心をくれる存在」でした。その存在は、日々の暮らしの中に自然と溶け込み、家族の中心として温かな影響を与え続けてこられたのだと感じます。

 

ご家族様からは、「私はほかの人に比べたら元気」と語られていた故人様の姿を思い出しながら、「これからも私たちを父と一緒に見守っていてほしい」とのお言葉をいただきました。その言葉には、感謝と敬愛、そして別れの寂しさが込められていました。

 

お式にあたり、ご家族様からは「たくさんの花で囲んであげたい」「この季節に好きだったひまわりをできれば入れて欲しい」とのご希望を頂戴しました。また、故人様が刺繍された屏風も飾って欲しいとのことでした。そこで私は、屏風は式場の入り口に飾り、ひまわりは祭壇横の生花として取り入れることをご提案しました。さらに、故人様の生前のご様子を音楽で表現するオリジナル楽曲『ラシメロ~らしいメロディ~』(故人様らしいメロディ)をご提案し、故人様との想い出を引き出すための質問項目へのご記入を一緒に進めさせていただきました。

 

『ラシメロ』の質問にお答えになる際、娘様たちは「そういえばこんなこともあったね」と語り合いながら、たくさんのエピソードが蘇ってきたご様子でした。その姿に、故人様と過ごした日々がいかに深く心に根付いていらっしゃるかを感じました。

ご家族様とのやり取りの中で「刺繍が趣味でまだまだ作りかけの物もあったんです」とお話しくださった際、私は「続きを向こうでしてもらえるように、糸や布を棺に納められたらどうですか」とご提案させていただきました。思い出の続きを天国でも紡いでいただけたら——そんな願いを込めて。

「刺繍の作品を拝見させていただきましたが、ものすごく細かい色使いですね」と屏風、カバンを見せて頂いた時に、私は感嘆しました。繊細な手仕事は、まさに故人様の生活を表しているなと感じました。

 

ご葬儀の最中、ひ孫さんからの手紙を棺に納められるご様子を拝見し、故人様が「大事なおおばちゃん」として慕われていたことが胸に染みました。刺繍という形で日常を彩りながら、家族の記憶にそっと寄り添い続けた故人様。そのお姿を思いながら、このたびのご葬儀のお手伝いができたことに深く感謝しております。

故人様とご家族様の絆が、これからも穏やかな光となって在り続けますように—心よりお祈り申し上げます。

2025年8月19日 担当:中村