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白子斎奉閣

「和」と共に歩んだ人生-静かに眠るその姿に、改めて“美”を感じて―

公開:2025.11.07

水墨画や紙染め、茶道、そして着物の着付け—。故人様は和の伝統文化に深く親しみ、品のある生活を貫かれた女性でした。30歳の頃から始められた着付けでは、師範の資格を取得され、地元の公民館で教室を開かれるほど。そのご様子は、控えめながらも芯の強さを感じさせるお人柄を物語っていました。

 

 

 

ご家族にとっても、故人様はその穏やかな微笑みと揺るがない姿勢で、心の支えであり続けた存在でした。25年前に肺の病を患われながらも、闘病の日々を静かに、しかし力強く過ごされたその生き方は、深い尊敬の念を抱かせるものでした。

 

ご葬儀当日、喪主様が挨拶の中でふと漏らされた一言—「改めて見て、美人やなって思った」—その言葉には、ご家族様の愛情と、再び向き合った故人様の凛とした美しさへの想いが溢れていました。その一言が、私の心にも強く残っております。

 

 

式の準備を進める中で、故人様が眠るお棺に納められるご予定だった思い出のお品を拝見した際、私は「せっかくなので、会場に飾りませんか?」とご提案をいたしました。展示された茶道の道具を見て、喪主様が「やっぱり茶器がないと雰囲気出やんなぁ」とぽつりとおっしゃったその声に、故人様がご家族の記憶の中でいかに鮮やかに息づいているかを感じました。

 

 

展示された茶器を加えた道具は、静かな式場に温かな和の空気を添え、生前のご趣味がそのまま空間に息づいているようでした。その佇まいは、故人様のお人柄や生き方を静かに語っているようで、訪れた方々が自然とその前で足を止め、偲ぶ気持ちを深められているように感じました。

 

ご家族様にとって、故人様は「美しさ」と「強さ」を併せ持つ、まさに日本の女性らしさを体現された方だったのでしょう。その想いを形にするお手伝いができたことに、心より感謝しております。

このたびのご縁を通じて、私自身もまた、和の文化が紡ぐ心の豊かさを教えていただきました。故人様のご冥福を心よりお祈りするとともに、ご家族様の今後のご平安を願っております。

2025年10月26日 M家様(担当:谷口)