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家族葬会館桑名斎奉閣

母と娘の絆

公開:2025.11.07

桑名の地で生まれ育ち、生涯を過ごされた故人様は、若かりし頃に洋裁学校へ通い、裁縫や刺繍を得意とされていました。ご家族のために手作りのワンピースやスカートを縫い上げ、時にはご自身とお父様、そして長女様の三人でお揃いの洋服を着た思い出もあったそうです。「とても嬉しかった記憶があります」と語られるそのエピソードには、ご家族に寄せる深い愛情と細やかな気遣いが感じられました。

ご家族様にとって故人様は、優しく、時には厳しさも持ち合わせた、かけがえのない存在でした。病を患い、思うように食事もできなくなった晩年の日々は、心苦しいものであったと伺いました。そんなお母様に対して、「安らかに旅立ってほしい」「20年前に亡くなった父と再会して仲良くしてほしい」という願いが、ご家族様の口から自然とあふれていました。

 

故人様の遺言により、家族だけで見送る小さな葬儀を希望されていました。桑名斎奉閣の最も小さなお部屋で、静かで温かな家族葬が執り行われました。私は、式の準備の際に「お供えしたいものはございますか」とお尋ねしました。すると喪主様から「母は甘いものが好きでした、特にケーキやフルーツが大好きでした」とのお言葉をいただきましたので、好物を棺のそばにご用意させていただきました。

 

式の最後には、お花とともに故人様の好物を棺に納めていただきました。喪主様が「ありがとう、ありがとう……」と繰り返し語りかけられていた姿がとても印象的で、その言葉の一つひとつが母娘の絆の深さを物語っていました。

 

納棺の際には、「こちらの木札を納めたいです」と喪主様からのお申し出がありました。それは、斎奉閣のオリジナル商品「会符(えふ)」によく似た木製の札でした。「会符」とは”いつまでも繋がっていたい””来世でも会いたい”そのような故人様への想いを形にしたもので、木製の割符になっており、ぴったりと合うものはこの世に1対しか存在しませんので、来世で会えるための符合のしるしとなり、ご家族様が最後に故人様のお棺へ納めていただいております。

 

「私共の会符に似ていますね、どちらで購入されたのですか?」と伺うと、「東京の浅草に旅行に行った際、母と自分用に購入しました」とのこと。一方の木札には故人様の、もう一方には喪主様のお名前が印字されており、来世でも繋がっていたいという願いを表すかのようでした。最後に喪主様の名前入りの札と、私共の会符も共にお棺に納めていただきました。二つの木札が寄り添うように納められる姿は、まさに二倍の絆を象徴しているようでした。

  

 

参列されたお寺様からも、「故人様は本当に優しく、いつも気遣いをしてくださる方でした」とのお言葉をいただきました。特に、夏のお参りのたびに一玉のスイカをいただいたことを懐かしそうに語られていました。

式の後、喪主様の涙を見て、私はお母様への深い愛情と感謝の気持ちが、このご葬儀に込められていたのだと改めて感じました。お母様と娘様の深い繋がりに心を打たれた、忘れがたいご葬儀でした。この大切な時間を共に過ごさせていただいたことに、心より感謝申し上げます。

2025年11月3日 M家様(担当:鈴木)