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いなべ斎奉閣

大切な3日間

公開:2025.11.07

いなべ市内にて、女性最高齢となる108歳でご逝去された故人様は、長い人生の中で、多くの人に慕われ、やさしさに包まれて生きてこられた方でした。晩年は骨折をきっかけに施設での生活を余儀なくされましたが、そこでも人柄の良さから親しまれ、愛されていました。ご自宅に帰れなかった12年の歳月の中でも、故人様は、あの穏やかな雰囲気のまま、静かに時を過ごされていたのだと思います。

  

趣味は大正琴や旅行、そして木目込人形の創作。ご自分の手で生み出した作品は、今回のご葬儀でも展示され、訪れた方々の目を引いていました。手仕事を大切にされてきたその人生は、ご家族様にとってまさに「優しさ」で彩られたもので、幼い頃に着た手作りの洋服や、故人様が丁寧に仕立てられた着物など、ひとつひとつに込められた温もりを懐かしそうに振り返っておられました。編み物、書道、料理、花づくり、野菜づくり…あらゆることに手をかけられ、心を込められる方でした。

そんなお母様への想いをお尋ねすると、「感謝です」と、静かで温かい言葉が返ってきました。人生をかけて家族を包み込んできた故人様への深い敬意がにじみ出ているように感じました。

ご葬儀に際して、ご家族様からは「お花が大好きだったので、明るく華やかなお花いっぱいのかわいい祭壇を」とのご希望をいただきました。また「多くの方に見送ってもらいたい」「長寿の表彰状や銀杯、木目込人形などの作品も飾りたい」と、故人様の歩まれた人生を形にしたいという想いをお持ちでした。

私は「可能な限り、作品や思い出のお品をご持参ください」とご提案し、また「お好きだった食べ物も一緒に飾りましょう」とお声掛けしました。それに対してご家族様は「母も喜んでいます」と、微笑みながら応えてくださいました。

 

式場には、長寿の証である銀杯や表彰状、丁寧につくられた木目込人形が美しく飾られ、優しい色合いの花々に囲まれて、会場はまるで故人様の人生を物語るような空間になりました。喪主様は「母には沢山の心配をかけたので、最期の3日間は共に過ごします」と語られ、会館でお母様と寄り添いながら過ごされました。そのお姿は、まさに絆を結ぶ「大切な3日間」であったと感じます。

最後に、ご葬儀を終えて私自身が感じたのは、微力ながらもこの温かなひとときを共にさせていただいたことへの感謝の気持ちです。故人様、ご家族様に心よりお礼申し上げます。誠にありがとうございました。

2025年11月2日 村上家(担当:伊藤)