俳句と書に情熱を注いだ人生～温かな想いに包まれたお別れの時間～

故人様は、25年前にご主人を亡くされた後も前を向き、俳句や書道といった新たな趣味に出会い、日々を大切に生きてこられた方でした。本を愛し、読書や文章を書くことにも親しまれ、俳句は本に掲載されたこともありました。いくつものお仕事に従事され、様々な方とのふれあいの中で多くの学びと喜びを得られていたと伺いました。何事にも真面目で、80歳まで働き続けたその姿勢には、頭が下がる思いです。

ご家族にとって故人様は、長年にわたりご主人を支え、ご家族全体を包み込むような存在だったといいます。喪主様は、「優しい人で、好きなようにさせてくれた」と語り、感謝の思いがあふれていました。式の際には、棺の上に愛用のエプロンがそっと添えられていました。長年使い続けてこられたその品が、いかに故人様の生活と共にあったかを物語っていました。最後は静かに旅立たれたとお聞きし、その穏やかな生き様が偲ばれました。

ご葬儀にあたり、ご家族からは特に大きなご希望や不安は伺いませんでしたが、喪主様は故人様のために心を込めて、全てご自身で展示品のご準備をされており、その深い愛情に胸が熱くなりました。また、式場では故人様のご愛用の品々や作品の展示をお手伝いさせていただきました。

式の際、参列された方々は故人様の俳句に目をとめ、手に取ってゆっくりと読まれていたのが印象的でした。その一つひとつの言葉に、故人様の感性や人生の軌跡が映し出されているようでした。遺影写真をご覧になったある方からは、「とても嬉しそうなお顔ですね、どこでの写真ですか…？」との声があり、写真の表情が故人様らしさをよく表していることを感じさせました。

ご葬儀の後、喪主様のご挨拶には、故人様への感謝の想いがにじんでいました。一言一言が心に響き、故人様の人柄とご家族の絆の深さが伝わってまいりました。

この度のご葬儀を担当させていただき、故人様の歩まれた人生と、その温かなご家族の想いに触れ、深い感動を覚えました。大切なひとときを共に過ごさせていただけたことに、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

2025年11月29日　H家様（担当：瀧本）