伊賀斎奉閣
涙いっぱい、笑い声いっぱい~家族に愛された故人様のあたたかなお葬式~
長年、市内で青果店を営まれ、地域の暮らしに寄り添ってこられた故人様。中学生の頃から八百屋さんで修行を始め、四十五~六年前に独立されました。青山リゾートや市内のゴルフ場などに食材を運んだり、ご近所のお客様に接客したりと毎日忙しく働いて来られました。明るい性格で暗い雰囲気が大嫌い。夜もテレビをつけっぱなしで眠るほど、いつもにぎやかに、周囲を自然と明るくしておられたそうです。

ご家族様にとって、故人様は家の中心にいる太陽のような存在でした。ご葬儀の準備が進む中でも、集まるのは悲しみだけではなく、懐かしい思い出話と笑顔。その人柄を映すように、会話の端々からあたたかさが伝わってきました。
七人のお孫さんたちは、式場に到着するとまっすぐにお棺のそばへ駆け寄り、棺の窓越しに「じいじ」と声を掛けられ、私たちスタッフから見ても故人様とお孫さんがどれほど深い愛情と絆で結ばれていたのかが感じられました。

伊賀斎奉閣では故人様への想いを書いた小さな折り紙を折り鶴にして、お棺に入れていただくようにご案内しておりますが、告別式の朝にお部屋へ伺うと、小さな折り紙では想いを綴るには小さすぎたのか、驚いたことに棺のお顔まわりにお気持ちいっぱいのメッセージがたくさん書き込まれていました。

十数年前に肺がんを患ってからは控えておられたものの、かつて大好きだったタバコを、お子様やお孫様が棺に入れていました。そこで、「ご遺族の皆さんとおじいさん “最後の一服”をしませんか?」とご提案させていただきました。
その際のご家族様の反応は、
「えっ いいの?」「うれしいわ~」「そんなことできるの?」
と、驚きと喜びが入り混じったものでした。
葬儀が終わりお棺を霊柩車の前へ、いつもと変わらぬ感じで故人様と遺族が一服するとお棺周りはタバコの香りと煙、そして故人様を想うあたたかい落ち着いた雰囲気に包まれました。

後日、ご自宅へお伺いした際には、エンちゃんというネコが静かに迎えてくれました。奥様は、
「この子はおじいちゃん子で元気ないねん。店の中をウロウロしたり、探してんねんな」とお話しくださいました。
「いつも、おじいさんと一緒に店番してたんですね」
とお声掛けすると、「おじいさんが可愛がって、猫が大好きなおやつをよくあげてたわ」
と、少し笑いながら教えてくださいました。故人様とエンちゃんが並んで店番をしていた、穏やかな日常の光景が、自然と目に浮かびました。

ご葬儀を終えて改めて感じたのは、故人様が生前に築いてこられた人との絆の深さと、ご家族様のあふれる愛情でした。「涙いっぱい、笑い声いっぱい」のお葬式をお手伝いさせていただけたことに、担当者として心から感謝しております。大切なひとときをお任せいただき、本当にありがとうございました。

2026年1月29日 O家様(担当:阿部)