上に戻る

津北斎奉閣

家族葬

大好きなおばあちゃん、また会おうね。

公開:2024.04.30

お通夜の打ち合わせのため、お宅へ訪問した際、玄関にコルクボードが置いてありました。お客様から「葬儀の式場に写真を飾っても良いですか?」と聞かれました。私は「もちろん良いですよ。玄関に置いてあったコルクボードに写真を貼り付けて飾るんですよね?」とお聞きしました。実は玄関にあったコルクボードは写真用にご準備されたものではありませんでした。私の言葉を聞いたご家族様は「なるほど、じゃあそうしよう!」と話されていました。式場に飾らせていただいたコルクボードには、とてもたくさんの写真が貼ってあり、どのお写真も楽しそうな一コマ一コマで、ご家族皆様の愛が溢れ出ていました。

このコルクボードは、奥様が倒れられる前日に、奥様ご自身が「もうこのコルクボードは使わないから、次のゴミの日に出そう。」と、玄関に置いておいたそうです。喪主様から「妻は何かを察していたのかなぁ。ほんとに不思議だけど、何かの縁で使うことになったんですね。」と、ご葬儀の前に教えていただきました。

打ち合わせの際に、お子様用の花束を3束ご注文いただきました。私が花束を注文しようとした時に、ふと「お孫様が3人とはお聞きしたが、男の子?女の子?花の色は性別に合わせた方が良いよなぁ」と思い、喪主様に確認しました。すると、6年生の女の子、4年生と1年生の男の子ということが分かり、お花の色をピンク系で1束、黄色系で2束にしました。また、花束と一緒に、メッセージカードを依頼しました。
お通夜の前に喪主様へお花の色のこと、メッセージカードのことをお伝えして、3人のお孫様におばあちゃんへの想いを記入していただくようお伝えしたところ、とても喜んでいただきました。私はおばあちゃんへのメッセージを書くことしか考えていませんでしたが、3人とも表にはメッセージ、裏にはなんとおばあちゃんの絵を描いていただき、お孫様たちがおばあちゃんのことを大好きなことや、おばあちゃんへの想いの強さを感じました。

花束と一緒に、おばあちゃんへの想いが届くようにとメッセージカードを添えて飾りました。

最後のお別れの際、お孫様3人には、それぞれが一生懸命に書いたメッセージカードを花束に差し込んでいただき、ご自分でお棺に入れていただきました。お一人お一人が「おばあちゃん、ありがとう」と言いながら花束を入れられました。

喪主様に奥様の人柄をお聞きしたところ、「素直でまじめ、何事にも一生懸命で、他人に頼まれると断ることができず、自分のことよりも他人のことを優先する、人間の鑑のようなひとだった。」と仰られました。そのことを象徴するかのように、奥様の友人・知人がたくさん参列されました。ご家族はもちろん、関わった方々が故人様のことを好きで、好きでたまらなかったのだと思いました。

ご葬儀のあと、喪主様から「いろいろと気にかけていただいたり、考えてくれたりして、ありがとうございました。」と感謝のお言葉をいただきました。私は日ごろから少しでもお客様に喜んでいただけるように、とお手伝いさせていただいております。今回はこのような心温まるご縁をいただきまして、私の方こそありがとうございました。

 

2024年4月16日T様(担当:山本)