鈴鹿中央斎奉閣
一般葬
故人様が愛した「一番」
63歳という若さでご逝去された故人様は、人と違ったことをするのが好きな周囲の皆様に好かれる気さくな方だったそうです。故人様の奥様、お母様、娘様も葬儀の風習に縛られることのない、それぞれの思いを込めた葬儀にされたいとおっしゃってました。
「私からもお花をお供えしたい。」 喪主である奥様からの要望でした。
一般的に鈴鹿地区の供花供物には喪主様の名前で名札を付ける風習はありません。念のためその風習があることをお伝えましたが、
「それでもかまいません。どうしてもしてあげたいんです。」と強いご要望がありました。
打合せを進めるにつれ皆様が故人様をとても慕っておられるのが伝わってきたので
「奥様、お母様、娘様の皆様のお名前を出しましょう。」と提案しご賛同いただけました。
会場に飾る思い出の写真もたくさんご用意されておりました。毎年同じポーズで撮影している記念日写真はもちろん、道路をバージンロードに見立てて娘様と仲良く歩く何気ない日常の写真など…。全て拝見し故人様がとても愛されていた存在であることが伝わりました。
その写真の中で異彩を放つ一枚の写真がありました。
「カレーが一番の大好物だったんです!!」
とても嬉しそうに奥様がお話されていたので
「…とてもお好きだったんですね!!このカレーの写真もぜひ飾りましょう!ちなみに他にも好きな食べ物はありましたか?色々飾れますのでなんでもおっしゃってください。」
これがその時の私の返答でした。
本来であれば「ココイチのカレーですよね!?ぜひ用意しましょう!」と、すぐ提案するべきかもしれませんが、多くの方が利用する館内ではカレーの匂いなどの制御が難しく、私はお供え物としての用意は今まで避けておりました。
通夜には想定以上の方々が参列され、思い出の写真やグッズなど皆様思い思いにご覧になられ、喪主様もご満足なされている様子でした。
その日の夜。…私はなかなか寝付けませんでした。
喪主様のおっしゃった「一番好きだったもの」を用意しなくて本当に良かったのか。
「やっぱりカレーをやるべきだ。」
翌日の朝、偶然にも葬儀は永戸家様のみ、葬儀開式は午後だったため、最寄りのCoCo壱番屋に向かい開店と同時入店しました。
「故人様が好きだったこの写真のカレーをなるべく再現し、お供えしたいと考えています。でも、さすがにお皿はお借りできませんよね…?」
とお伝えすると、快くご賛同いただきカレー皿とスプーン、アドバイスをいただくなど全面的にご協力いただけました。
すぐに会館へ戻り CoCo壱番屋ロゴ入りのお皿に盛り付け、メモリアルボードにお供えいたしました。
喪主様がご覧になられた瞬間、涙を流して喜んでいただく姿を見て、故人様が愛した「一番」を用意して良かったと改めて思いました。
今回のご葬儀で、風習や慣例にとらわれすぎず、可能な範囲で最大限のおもてなしをすることの大切さを学ばせていただきました。
また突然押しかけたにも関わらず誠実にご対応いただきました カレーハウス CoCo壱番屋 鈴鹿三日市店 様 ご協力いただき誠にありがとうございました。
2024年10月17日 永戸家様(担当:道内)