上に戻る

鈴鹿中央斎奉閣

家族葬

いつもの、と一緒に。

公開:2025.03.01

「背広を出棺時にかけてあげたい」

喪主様との最初のご挨拶で、そのようなご要望をお伺いいたしました。
故人様がよく着ていらっしゃったジャケットとのことでしたので、ただお預かりするのではなく、故人様に身に着けていただけるよう、心を込めてお棺に掛けさせていただきました。

通夜後には、翌日の出発に備えて、ハンガーに掛けて、静かに飾らせていただきました。

  

 

 

また、ご家族様が持ち込まれたものの中に、故人様のお気に入りのコーヒー袋がありました。

 

 

いつもよく飲まれていたと伺い、「一杯コーヒーをお棺にお入れしてもよろしいでしょうか?」とお尋ねしました。
すると、驚きと共に「本当にいいんですか!?」と嬉しそうにおっしゃってくださり、その瞬間、私も胸がいっぱいになりました。
お別れの直前には、心を込めて温かいコーヒーをお棺にお入れさせていただきました。

 

ご家族様はジャケット、コーヒー、お花をお棺にお入れする際、「これが兄らしいね」と微笑みながらおっしゃいました。そのお顔を見た瞬間、悲しみの中にも、故人様への深い愛と感謝が溢れ出しているのを感じ、私も包まれるような温かな気持ちでいっぱいになりました。

 

故人様が幼少期に嗜まれたバイオリンの音色、そして葉加瀬太郎さんの楽曲が静かに流れる中、愛用の背広とお気に入りのコーヒーとともに、故人様は火葬場に向かわれました。

ご収骨後、会館で行われた初七日の法要のお部屋にも、故人様が愛したコーヒーをお供えさせていただきました。

 

そして、最後にご家族様が笑顔で帰られた時、私の心にも温かい感謝の気持ちが込み上げてきました。本当にありがとうございました。

2025年2月14日 T家様(担当:小室)