四日市中央斎奉閣
家族葬
思い出のドレスをメロディーにのせて
故人様は80代からシニアハーモニーのクラブに参加され、歌を歌うことを心から楽しんでおられました。発表会では仲間とお揃いのドレスを身にまとい、歌声を披露されていたそうです。ご家族様もその様子をあたたかく見守り、たくさんの思い出を共有されていたようです。
そんな折、葬儀のお打ち合わせの際に、ご家族様より「このドレスを棺に入れたいのですが」とのご希望をいただきました。ピンクと白のキラキラとしたロングドレスが2着、ビニール袋に入れられ、ハンガーにかけられたまま、大切に保管されていました。そのドレスは、故人様の人生の輝かしい一場面を象徴するものでした。
ただ棺に納めるだけではなく、ぜひ皆様にもその素敵なドレスをご覧いただきたいと考え、「よろしければ式場入り口に飾らせていただけませんか?」とご提案したところ、ご家族様は「入り口に飾ったら皆さんに見ていただけますね」とお応えくださいましたので、マネキンを手配しご準備させていただきました。さらに、「湯かんをしてもらった後ドレスに着替えさせてもらったんですけど、一番好きだった紫色のドレスなんですよ」と、しみじみとお話しくださいました。また、「遺影の額も紫色にしたんですよ」と、微笑ましく語ってくださったその姿が印象的でした。
式場入り口に飾られたキラキラと輝くピンクと白のドレスを見て、参列者の皆様は立ち止まり、写真を撮ったり笑顔で思い出話をされていました。「このドレスを着て歌っていたね」と懐かしそうに語り合うその光景に、故人様がどれほど皆様に愛されていたかが伝わってきました。
やがてお別れの時間が訪れ、2着のドレスは丁寧にお棺の中へ手向けられました。「天国でもこのドレスを着て歌ってね」。ご家族様のその言葉に、故人様が大切にしていたドレスと共に旅立たれたことへの温かい気持ちが込められていました。
大切なドレスを皆様にご覧いただけたこと、そして故人様の人生の輝きを分かち合えたことに深く感謝申し上げます。葬儀後にご自宅でいただいた「お世話になりました。ありがとうございました」というお言葉は、私にとってもかけがえのない宝物となっています。
2025年3月14日 A家様(担当:垣内)