富田斎奉閣
家族葬
たくさんのお花と大好きなビールとともに
2025年4月4日、T様が67年の生涯を静かに閉じられました。
若いころは仕事に打ち込み、家族のために懸命に働かれていました。
長男様が幼いころには、夜遅くまで仕事をされることも多かったそうです。
お話し好きというタイプではありませんでしたが、穏やかな笑顔とまなざしの温かさ、そして人を包み込むような優しさに、周囲の人々は自然と惹かれていました。
ご家族様からは、故人様はガーデニングがご趣味で胡蝶蘭とビールが大変お好きだったと伺うことができましたので、「Re胡蝶蘭」という供花をお勧めさせていただきました。
この「Re胡蝶蘭」は、お葬式では胡蝶蘭を供花としてお飾りし、花の部分は故人様とのお別れの際、棺へお供えします。その後お花がない状態でお預かりし、適切な温度管理のもと大切に保管し、花を再生させます。1年後の命日には再び美しい花をつけた胡蝶蘭を、もう一度お客様のお手元へお届けするという特別な供花です。
ご葬儀では胡蝶蘭がお好きだった故人様を偲び、一周忌では皆様で故人様を思い出していただけるのではないかと思ったからです。
また、故人様はビールが大変お好きだったことからビールをご用意させていただき、ご家族様にグラスに注いでお供えしていただきました。
思い出コーナーや祭壇にはご家族様からのメッセージや生前愛されたビールやお花など、たくさんのお供えが飾られました。その中にはお孫様と一緒に笑顔を浮かべた一枚の写真が飾られており、柔らかな笑顔のその表情には、ご家族と過ごした幸せな時間を感じました。
ご家族様からは、ビールを棺に入れてあげたいとご要望があり、出棺の際にご家族様の手で紙コップに注いだ後、いつものビールをそっと棺へ納めていただきました。
奥様は「本当はもっと一緒にいたかった」とおっしゃいました。長い時を共に歩んできたからこそ生まれる一言。会場には優しさと寂しさが入り混じるような、静かな涙が流れていました。
葬儀を通してお客様の想いや故人様のお人柄を知ることで、よりお客様に寄り添ったご葬儀のご提案ができると感じております。また、「思い出に残る良い葬儀にしていただきありがとうございます」というお言葉もいただき、お客様にとって一生に一度のご葬儀をお手伝いさせていただけることに、感謝とやりがいを感じることができました。
ありがとうございました。
2025年4月6日 M家様(担当:太田)