名張斎奉閣
一般葬
母の思い出
故人様は大変手先が器用な方で、刺し子をはじめとする手芸作品や己書など、心のこもった作品をたくさん残されました。日々の暮らしの中で、ご自身の想いを形にされていたそのお姿が目に浮かぶようです。また、コーヒーもお好きだったと伺いました。きっと、お気に入りのカップでゆったりとした時間を楽しまれていたのでしょう。
ご家族にとって故人様は、まるで太陽のような存在だったとお聞きしました。いつも明るく、活動的で、そして何よりご家族を心から大切にされていた――その深い愛情は、ご家族の皆様の故人様に対する感謝のお言葉の節々から、温かく伝わってまいりました。
ご家族様は、故人様の手による沢山の作品を前に、「どのように扱えばよいのか分からない」と戸惑いを口にされていました。そこで「よろしければ、皆様にもご覧いただけるよう、会場に展示をするのはいかがでしょうか」とご提案したところ、「ぜひお願いします」とのお返事をいただきました。
ご家族様が考えて選ばれた故人様の遺作は、それぞれの作品が持つストーリーを想像しながら、心を込めて飾らせていただきました。故人様が旅立たれた季節は桜のシーズンも近かったこともあり、桜の刺し子の作品に合わせて、思い出コーナーをピンクの花びらの切り抜きで装飾しました。また、故人様のお好きだったコーヒーとカップも一緒に並べました。
会場には色とりどりの作品が並び、訪れた方々が故人様の温もりを感じられる、やさしい空間となりました。また、会葬者やご親族の皆様には、故人様への想いを折り紙に綴っていただき、それを折り鶴にして、お別れの際にお柩の中へ納めていただきました。
さらに、娘様がご用意くださったメッセージカードもそっと添えられ、お柩は、たくさんの愛と感謝のお花と想いに包まれていました。娘様からは「本当にいいお葬式でした」と、感謝と労いのお言葉をいただき、胸がいっぱいになりました。
S家様のご葬儀を担当させていただけたことを、心からありがたく、感謝いたします。
2025年3月13日 S家様(担当:黒田)