富田斎奉閣
家族に咲く、優しさの花
故人様はお花がとてもお好きな方で、さまざまな花を育て、色とりどりの花々に囲まれて暮らしていらっしゃいました。
足を怪我された時も、ご自宅は常に丁寧に整えられていたそうで、お伺いしたときには、故人様の暮らしぶりがそのまま伝わるような、美しく整った空間でした。
ご家族様にとって、故人様はとても個性的で、まっすぐで責任感のある、芯の強い方。
お孫様にとっては、いつも笑顔で応援してくれる大きな存在だったと伺っています。学業にも深く理解を持ち、しっかりと支えてくださった“孫想いのおばあちゃん”。
そして何より、岩手に単身赴任中の喪主様―たった一人の息子さんのことを、日々心にかけておられたそうです。
デイサービスのスタッフの方には、「いつでも息子のことを思っている」と、優しく語られていたと伺いました。
ご葬儀にあたっては、「自分が亡くなったら、必ず斎奉閣で」と、生前からおっしゃっていたとのこと。
エンディングノートもきちんと残され、ご遺影用のお写真までしっかりとご準備されていたそうです。
その想いに応えるように、私たちも一つひとつ丁寧に、葬儀の準備をお手伝いさせていただきました。
私からは、故人様が大切に育てられていたお庭のお花を、よろしければ会館までお持ちいただき、飾らせていただいてはいかがでしょうかとご提案しました。
ご家族様は「切って持っていくね」と笑顔でおっしゃり、白い紫陽花とスモークツリーを、故人様の大切にしていた素敵な花瓶とともに会館へ届けてくださいました。
ご出棺の際には、それらを花束におまとめし、お棺の上にそっと手向けてお見送りいただきました。
また、故人様は生前「大阪万博に行きたい」とおっしゃっていたことを、ご家族様から教えていただきました。
そのお気持ちに応えるように、ご家族様が実際に万博を訪れた際にスマートフォンで撮られた写真をプリントし、お花と一緒に飾らせていただきました。
きっと、故人様もその写真を通して夢を叶えられたように感じてくださったのではないでしょうか。
初七日法要を終えられた後、ご自宅に供花をお届けした際には、
「アジサイの提案、本当に良かったです。ありがとう」とのお言葉をいただき、私も胸が熱くなりました。
故人様が「必ず斎奉閣で葬儀をしてほしい」と願われていたこと。
そのお気持ちにどうすれば応えられるかを考えながら、通夜からご葬儀まで、心を込めてサポートさせていただきました。
最後にご家族様から「斎奉閣でお葬式をあげて本当によかった」とお言葉をいただいたとき、
故人様の願いに少しでも応えられたのではないかと、あたたかな気持ちで胸が満たされました。
このご縁に、心から感謝いたします。
2025年6月16日 服部家様(担当:寺岡)