上に戻る
無料
資料請求
無料
終活・事前相談
お急ぎの方へ

和ごころ壬生野

家族の架け橋

公開:2025.06.26

ご家族様は、今回のお母様のご葬儀にあたり、「入院中の父に代わって、きちんと母を送らなければ」と、静かに強い責任感を口にされていました。
突然のご逝去に驚きと悲しみが入り混じる中、特に悩まれていたのは、お父様が入院中で外出許可が出ず、通夜・葬儀に参列できないという現実。
そしてもう一つ、お母様のご逝去を、お父様にどう伝えるかという大きな壁でした。

打ち合わせの際、お父様のご様子についてお聞きしたとき、私からは「外出許可は下りそうでしょうか?ご参列は難しそうですか?」と伺いました。
「残念ながら、外出許可は出ないんです…」というお返事に、ご家族の寂しさがにじんでいたのを覚えています。

 

そんなご不安に寄り添えればと、私からご提案させていただいたのが「会符(えふ)」でした。
この会符は、故人様のお名前を書いた木の札を二つに割り、一片をお棺へ、もう一片をご家族のもとへ残すというもの。

私からは、ご家族様にはお父様の代わりに、その一片をお母様の胸元へお納めいただき、もう一方の札は、お父様のもとへ「お守り」としてお届けいただくことをご提案しました。
「亡くなられたことを伝えるきっかけとして、そしてきちんと見送れたことを報告する手段として、この会符を届けてはいかがでしょうか」とお話ししたところ、ご家族様は「それはとてもありがたい提案です」と深くうなずかれました。

「お守りとして母が見守ってくれると思うと、きっと父も安心してくれる」
そう語られたご家族様のまなざしには、やさしい決意と温かな絆が込められていました。

それでも、ご葬儀当日には、「良い提案をしていただき、本当にありがとうございます。母もきっと喜んでいます」と、笑顔でおっしゃっていただき、私の胸にも静かにあたたかい想いが広がりました。

お母様はご家族の想いに包まれて、そして参列が叶わなかったご主人様とも心でしっかりつながったまま、旅立たれました。

私にとっても、ご家族の絆の架け橋となるお手伝いができたことを、心から嬉しく思います。このたびのご葬儀に関わらせていただけたことに、深く感謝いたします。

2025年6月3日 O家様(担当:中子)