生桑斎奉閣
世界に一つだけの歌
静かな会場には、故人様の好きだった胡蝶蘭が優しく彩りを添えていました。そのひとつひとつが、まるで故人様の笑顔を思い出させるように咲いており、ご家族の皆様の心にあたたかい記憶を呼び起こしていました。
故人様は、明るく面倒見のよいお人柄で、いつもご家族の中心で輝いていた方でした。その存在は、ご家族様にとって太陽のように欠かせないものでした。そんな大切な方とのお別れに、ご家族様からは「好きだったものを棺に入れてあげたい」「家族や親族みんなで、心を込めて送りたい」というご希望をいただきました。
お別れのとき、大切にされていたスカーフを、やさしくそっと棺の中に納めるご家族様の手元からは、静かで深い愛情が感じられました。そして何より、ご家族の皆様が声をそろえて伝えられたのは「ありがとう、ありがとう」とあふれる感謝の言葉でした。涙とともに語られるその言葉は、何よりも強く、故人様への想いを物語っていました。
私からは、故人様への想いをかたちに残すご提案として、オリジナル楽曲『ラシメロ~らしいメロディ~』の制作をご提案いたしました。
『ラシメロ』とは、ご家族様の想いを元に制作される世界にひとつだけの歌―『故人様らしいメロディ』で、ご葬儀で流すことで、参列された皆様が故人様への想いを共有していただけるものです。
ご依頼をいただき、通夜とご葬儀の両日で『ラシメロ』をお流ししたところ、ご家族様は涙を流しながら「本当にお願いしてよかった」と喜んでくださいました。式中には、参列されたご親族の方々が「本当に明るい人だった」「立派な胡蝶蘭を見て、きっと喜んでるわ」と、故人様との思い出を語り合うあたたかな場面もありました。
私自身も、このご葬儀で初めて『ラシメロ』を皆様と一緒に聴くことができ、そこに浮かび上がったのはまさに、明るく、優しく、ご家族様を包み込むような故人様の姿でした。この特別な時間に関わらせていただけたことに、心から感謝しております。
これからも、大切な人とのお別れが、感謝と愛情に包まれた時間となるよう、精一杯お手伝いをさせていただきます。
2025年7月14日 M家様(担当:広瀬)