鈴鹿中央斎奉閣
作品に込められた想いを共に偲ぶひととき
公開:2025.08.02
祭壇の横に、美しく並べられた川柳の作品と、数々の賞状や盾。それはまるで、故人様が歩まれた人生そのものを映し出す「言葉の軌跡」でした。
学校の先生として多くの生徒たちを導かれ、退職後は「小河柳女」という雅号で川柳の世界に身を投じられた故人様。句会や大会にも積極的に参加され、自費出版までされるほど情熱を注いでこられたその歩みは、市内では広く知られていました。
「厳しい人だったな…」と、喪主様がぽつりと語られたその一言。その言葉の奥に、まっすぐで誠実なお人柄がにじんでいました。
私どもがご提案したのは、川柳の作品などを祭壇横に展示し、ぜひ皆様にご覧いただきましょうということ。すると、ご家族様は作品を大切に包んでお持ちくださり、式後には参列された方々が自然と展示の前に集まりました。
扇子に書かれた一句に目を留めて、生前の故人様を懐かしそうに話す方々。作品一つひとつに宿る言葉の温もりが、静かに心と心を結んでいました。
そして、お一人おひとりが、故人様へそっと「ありがとう」と声をかけていかれました。その光景に、故人様がどれだけ多くの人に愛され、影響を与えてこられたのかが胸に迫ってきました。
ご家族からいただいた「きれいに飾っていただいてありがとうございます」というお言葉は、私にとって何よりの励みとなりました。
川柳という言葉の花を咲かせ続けた故人様の人生。その一節一節が、皆様の心に深く刻まれ、あたたかな余韻を残すご葬儀となりました。
この大切なお見送りのひとときをお手伝いできたことに、心より感謝申し上げます。
2025年7月25日 小河家様(雅号 小河柳女 様) (担当:佐藤)