鈴鹿中央斎奉閣
家族の想いを歌にのせて…大好きなおじいちゃんへ
7人兄弟の長男として生まれ、中学時代にご両親を亡くされて以降、ご自身が親代わりとなって家族を支えてこられた故人様。その歩みには、厳しさの中に深い愛情と責任感がにじみ出ています。旅行を趣味とされ、北海道から海外までさまざまな地を巡られました。特に飛行機が大好きで、お孫様と一緒に半日眺め続けるほどだったそうです。何よりも大切にされていたのは、奥様である「おばあちゃん」と、愛するご家族の皆様でした。
ご家族にとって、故人様はまさに「K家のシンボル」。優しく、時には厳しく、そして何より仕事一筋に生きてこられたその姿は、家族の支柱であり誇りでした。そんな故人様に対しご家族様は、「人生に厳しく、でも遊びはしっかり楽しむ」その生き様をお手本にしてきたと話されました。最後まで楽しく愉快に人生を全うされたことへの感謝とともに、「その想いを家族みんなで繋いでいく」との言葉が胸に残りました。
初めてのご葬儀ということで、ご家族は「ちゃんとできるか心配だった」と不安を口にされていました。「しっかりとお見送りしたい」という強い想いをお聞かせいただき、できる限りのサポートをしたいと感じました。
そこでご提案したのがオリジナル楽曲『ラシメロ~らしいメロディ~』でした。
『ラシメロ』とは、ご家族様の想いを元に制作される世界にひとつだけの歌―『故人様らしいメロディ』で、ご葬儀で流すことで、参列された皆様が故人様への想いを共有していただけるものです。
最初はあまりピンとこなかったようですが、「想いを歌にのせて届ける」ことの意味や、私自身の過去の経験をお伝えし、ご家族がイメージしやすいようにご説明させていただきました。また、故人様が施設で作られた作品や思い出の写真がたくさんあると伺い、ボードとマグネットを使った展示も提案させていただきました。
お通夜では、ご焼香の前に「ラシメロ」を流し、皆様にじっくりと耳を傾けていただきました。お寺様が退席された後の静かな時間に響いたその歌声は、ご家族の想いや故人様の人柄を自然に参列者へと伝えてくれました。故人様を偲ぶお気持ちが溢れ静かに席を立たれる方や、目に涙を浮かべるご親族の姿も見られ、改めてこのご提案をしてよかったと心から感じました。
ボードには、お孫さんが描かれた可愛らしい故人様の似顔絵を中心に、たくさんの写真と思い出が飾られ、式場はまるで故人様との時間がよみがえったかのような、温かな空間となりました。
式後、ご家族から「思った以上に良かった」とのお言葉を頂き、心から安堵と喜びを感じました。さらに、ラシメロの曲を今後の法事などでも「毎回聴こうね」と話されていたことを伺い、このご縁を通して少しでもお力になれたことを嬉しく思います。
このたびのご葬儀を通じて、深い家族の絆と、故人様の豊かな人生に触れさせていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。K家の皆様、本当にありがとうございました。
2025年8月16日 K家様(担当:津田)