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白子斎奉閣

伊勢型紙とともに歩んだ日々

公開:2025.09.01

故人様は、伊勢型紙の伝統を受け継ぐ着物作家として、長年にわたり芸術の道を歩まれた方でした。

平成8年、還暦を迎えられた節目に、人間国宝のお父様より雅号を継承され、二代目として活躍を続けてこられました。代々受け継がれる技術を守るだけでなく、新たな表現を追求し、数々の作品を精力的に制作されたその姿は、多くの人々の記憶に残っています。

喪主様は、そんな故人様について、「繊細な仕事柄、我慢強い人だった」と語っておられました。幼少期には、夏休みによく海水浴に連れて行ってもらったという温かな思い出があり、「おい、みんな元気にしとるか」という口癖が今も耳に残っているとおっしゃっていました。優しく、家族を大切にされたお父様に対し、「ここまで育ててくれてありがとう」という感謝の想いを素直に伝えてくださった姿が印象的でした。

 

ご葬儀にあたって、私はご自宅に飾られていた写真や伊勢型紙の作品を会場にお持ちいただき、皆様に見ていただくことをご提案しました。また、お酒がお好きだったという故人様のために、末期の水ならぬ「末期の酒」のご案内をし、ご遺族の皆様に特別なお別れのひとときをお過ごしいただきました。

ご家族様は、会場に飾られた型紙や写真をご覧になり、とても喜んでくださいました。中でも、元サッカー日本代表の中田英寿さんと一緒に写った写真があり、これにはご参列の皆様も驚かれていました。また、末期の酒を実現できたことについても、ご満足していただけたようです。

さらに、「故人様への想いを歌詞とメロディに乗せて、他にないオリジナルの曲を作りませんか?」とご提案し、『ラシメロ~らしいメロディ~』のご依頼をいただきました。

『ラシメロ』とは、ご家族様の想いを元に制作される世界にひとつだけの歌―『故人様らしいメロディ』で、ご葬儀で流すことで、参列された皆様が故人様への想いを共有していただけるものです。

はじめてこの曲をお聴きになったとき、喪主様は目を赤くされ、深い感動に包まれていたご様子が今も心に残っています。この曲は、お別れの場面で静かに流れ、会場全体が故人様への想いに包まれたようでした。

伊勢型紙や写真、音楽を通じて、故人様の歩まれた人生やご家族の想いを、しっかりとご参列の皆様にお伝えできたこと、そしてそのお手伝いができたことを、心から嬉しく思っております。これからも、故人様とご遺族の皆様をつなぐ「想い出を形にするご提案」を大切にしてまいります。ご家族の皆様に、心より感謝申し上げます。

2025年8月21日 R家様(担当:村田)