鈴鹿中央斎奉閣
心温まる作品展があるお葬式
地域に根ざし、長年仕事に尽力され、会社役員まで務められたという故人様は、誠実で責任感の強い方でした。引退後は、誰に対しても優しく穏やかに接する温かな人柄を見せられていたと、ご家族様は語っておられました。
そんな故人様のお別れは、ご家族様にとっては初めてのご葬儀であり、何から始めたら良いか分からないという不安がありました。「細かなアドバイスをください」とのお言葉に、私たちスタッフもできる限り丁寧に、安心してご準備を進めていただけるよう心がけてご案内いたしました。
式の中で特に印象深かったのは、故人様が老人ホームで描かれた絵の展示です。受付前に、季節の生花とともにその作品を飾り、ご参列の皆様にご覧いただけるようご提案いたしました。作品には温かみのある色使いと共に、ご本人が綴られたコメントも添えられており、それらを目にしたご家族様からは「厳格な父親でありながら、心の奥底は素朴で優しい人柄が垣間見える」とのお言葉があり、「ぜひ展示してほしい」とのお気持ちをいただきました。
また、ご家族様が手作りされた「KAGURU(カグル)」は、祭壇の一部として飾られました。KAGURUは、ソラの木の皮を使って作られた天然素材のアートフラワーで、枯れないお花としていつまでも形に残り、お持ち帰りいただいた方々がご自宅の仏壇に飾ることができる心のこもったお供え物です。「祭壇にはたくさんの花があるけれど、いつまでも残るお花は嬉しいですね」と、ご参列の方々にも喜んでいただきました。
式場に展示された故人様の作品、そしてKAGURUの温もりある彩りが、ご参列の皆様の心に優しく語りかけるような空間をつくり出していました。
故人様とご親族様のあたたかな絆があふれるお別れの時間をお手伝いできましたことに、心より感謝申し上げます。このご葬儀が、ご家族様にとって故人様とのつながりを改めて感じていただける時間となっておりましたら、幸いに存じます。これからも皆様の絆が末永くあたたかなものでありますよう、お祈り申し上げます。
2025年9月14日 K家様(担当:石田)