四日市中央斎奉閣
幸せな思い出に彩られた写真と喜びを贈る墨絵
故人様は、色んな人に気さくに声をかけて、誰とでもすぐに打ち解けてしまうような、明るく社交的な方でした。ご家族やご友人を何よりも大切にされ、人生の楽しみを余すことなく味わわれたご様子が、ご遺族の言葉からも伝わってまいりました。
旅行がご趣味で「もう行く所が無い」とおっしゃるほど全国各地を巡られ、美術館もよく訪れたそうです。なかでも、亡きご主人と訪れた「足立美術館」や、ご家族皆さまで出かけた「MOA美術館」は、特に印象深い思い出の場所でした。
また、故人様は美味しいものを味わうのもお好きで、中でもある老舗和菓子店のうすかわ饅頭はお気に入りだったとのこと。春には花見にもよく出かけられ、好きな花はクリスマスローズ。60歳頃から始めたという墨絵は、作品をプレゼントしては相手の喜ぶ顔を見ることを楽しみにされていました。その優しくあたたかな人柄は、「しっかり者でとても元気」「“気つけや”といつも家族を気遣ってくれていた」というご家族の言葉に表れていました。
ご葬儀にあたっては、「長いこと頑張ってくれてありがとう」というご家族のお気持ちとともに、「花が好きだったから、お花をたくさん飾りたい」「顔が明るく見えるような仏衣を選びたい」とのご希望をいただきました。ご家族様には襟元にピンクが入った仏衣をお選びいただき、祭壇まわりには色とりどりのお花をふんだんにあしらいました。
また、施設でいつも飾っていたご家族との写真や、お花の写真、そして故人様が描かれた墨絵も飾りたいとのご希望がありましたので、コルクボードをご用意し、自由に装飾していただきました。仕上がった展示には、墨絵の作品が優しく彩られ、参列者の皆様の目を楽しませていて、ご家族様が「色んな人に見てもらえて嬉しい」と微笑まれていたのが印象的でした。
故人様が遺してくださった数々の作品やご家族様への想い、そして日々の生き方を通して、私は改めて「家族の大切さ」を感じさせていただきました。おひとりおひとりの想いがかたちになり、心のこもったお見送りの時間となったことに、担当として感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
2025年9月21日 担当:髙木