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白子斎奉閣

人生という名の巡礼 ― 挑戦と祈りの軌跡 ―

公開:2025.12.20

故人様は好奇心旺盛で、何にでも新たにチャレンジする性格の持ち主でした。

仕事を退職されてからは、今まで携わることのなかった「声楽」の習い事を始められ、人生初の海外旅行としては珍しいオーストリアの地に赴き、音楽の都として名高い現地のオーケストラと共演されるなどご家族を驚かせていたそうです。

他にも、全国の霊場巡りにもたいへん熱心で、四国八十八ヶ所、西国三十三所、坂東三十三観音、秩父札所三十四観音と、日本各地の札所を巡礼なされました。特に、四国巡礼では56日間をかけての“歩き遍路”の偉業を成し遂げられ、ご趣味のカメラで撮影した旅の記録がアルバムにまとめられておりました。参列者の皆様のみならず、ご寺院様も私たちスタッフも故人様の信心深さとその行動力に感服しておりました。

ご葬儀のお打合せでは「お遍路で使用した巡拝用品、納経帳や掛け軸を飾りたい。可能なものは棺に入れて欲しい。」というご希望をいただきました。そこで私は、「故人様の偉業や生前のご様子が伝わるような展示にさせていただきましょうか。」とご提案しました。

   

式場祭壇の両脇には、各霊場で受けた納経と朱印が記された2mに及ぶ納経軸がずらりと並びまさに圧巻の一言でした。使い込まれた金剛杖や白衣の展示をご覧になられた皆様が「すごい…」と感嘆の声を漏らされて、まるで故人様の歩みを追体験するかのような思い出をたどる展示となりました。

「ぜひ納経帳は故人様の足跡が伝わるよう一面に開いてお入れください」。

  

式の最後には、ご家族の手によって納経帳や巡礼用品の一部が丁寧にご納棺され、その瞬間、故人様の旅が本当に完結したような厳かさが会場を包みました。葬儀後「要望に沿った葬儀でした。」と感謝のお言葉をいただきました。

 

ご葬儀を通じて、私は改めて「全力で人生を全うする」という言葉の意味を深く感じました。好奇心のままに、自由に、そして情熱的に生きた故人様。その生き様を大切に想い、ご希望を丁寧に伝えてくださったご家族様がいたからこそ、このようなご葬儀を執り行うことができたと考えています。

この経験を活かし今後もお客様に寄り添ったご葬儀となるよう精進致します。

2025年12月10日 柴生家(担当:道内・久楽)