鈴鹿中央斎奉閣
「らしさ」を大切にした、家族の想いが伝わるお別れ
家族を大切にし、趣味にも全力で向き合い、色鮮やかな人生を歩まれた方が、61歳で突然この世を旅立たれました。

最初のお打ち合わせの際、葬送品のパンフレットの中にあるメッセージボードを指差し、「このメッセージボードを作りたい」と真っ先にお話しくださいました。多くのお写真の中から数枚をお選びいただきましたが、ほかにもたくさんのお写真がありましたので、モニターの前に飾ってはどうかとご提案させていただきました。
通夜当日には、彩り豊かな数々の想い出のお写真に加え、ご家族やご親戚の皆さまが、故人様へ宛てたお手紙も添えられました。飾られた机のそばには皆様が集まり、「ええな、この写真」「いい笑顔やな」といった故人様との想い出を語らう温かく素敵な時間が流れていました。

お葬式にあたり、ご家族様の想いを音楽として形にした、オリジナル楽曲『ラシメロ~らしいメロディ~』をご提案しました。
通夜の日には、喪主様や娘様をはじめ、ご弔問に来られた方々が静かに耳を傾け、「故人らしいね」「素敵だね」といったお言葉が聞かれました。
葬儀当日には、開式前とお別れの場面で楽曲を流しました。
故人様が歩まれてきた人生や、ご家族との深い絆が音楽を通して伝わり、あたたかく心に残るお別れの時間となったように感じております。

また、「また会える」という想いを大切にするお守りとして、「会符(えふ)」のご案内もさせていただいたところ、その想いに共感してくださったご家族様より、「多くの方に持ってもらえたら」とのお気持ちを伺い、ご親戚をはじめ、皆さまへお渡しすることとなりました。
皆さまが会符の片方をお柩へ、故人様のそばに納め、もう片方をそれぞれ大切にお手元に取られました。お一人おひとりが故人様との思い出を胸に浮かべながら、これからもつながりが続いていくことを感じていただけたのではないかと思います。
会符を手にすることで、参列者一人ひとりが故人様との思い出を振り返り、感謝や想いを静かに伝えることができた、そんな時間でした。故人様がこれまで紡いできたご縁の深さと温かさを、改めて感じさせていただくひとときとなりました。

実は葬儀開式の一時間前に、喪主様より「不謹慎かもしれませんが……」と前置きされたうえで、ひとつお願いがあるとお話しがありました。
詳しくお伺いすると、「故人が生前、いつも口にしていた掛け声を、皆で一緒に言って送り出したい」というご希望でした。そのことをご参列された皆さまにお伝えすると、「ああ、あれね」と懐かしむ声が上がりました。
「右よし、左よし、つねよし(故人様のお名前)」。
それは、故人様が何かを始めるときに必ず発していた言葉で、ご家族様の表情からは、故人様を大切に想うお気持ちがまっすぐに伝わってきました。
その言葉を合図に、皆さまで声をそろえて送り出し、式場をあとにして霊柩車へと進み、火葬場へ。悲しみの中にありながらも、故人様らしい明るさと力強さに包まれ、「また会える」という想いがそれぞれの心に灯る、忘れられない旅立ちのひとときとなりました。

最後のご挨拶の際には、「担当が小室さんでよかった」とのお言葉を頂戴し、担当させていただいた者として、この上なくうれしく、胸に深く残るひとこととなりました。
お手伝いをさせていただき、そして大切な最後のお別れの場にご一緒させていただけたこと、心より深く感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
2025年12月23日 落合家様(担当:小室)