津斎奉閣
想いを納めた桐箱とともに
故 中川 博様は、「木箱-中川(きばこのなかがわ)」の職人兼経営者として、桐箱を中心とした木箱製作に長年携わってこられました。
神社のお札を納める木箱や、贈答用の桐箱など、ひとつひとつ丁寧に仕上げられた製品は、使う人の想いを大切に包み込む存在だったのではないでしょうか。

突然のご逝去というあまりにも急な別れの中、長男である智貴様が喪主を務められました。
お打ち合わせ当初は、深い悲しみと戸惑いの中にいらっしゃるご様子でしたが、故人様のお仕事についてお話を伺うにつれ、智貴様の中で「その歩みをきちんと形として伝えたい」というお気持ちが、少しずつ言葉として表れていきました。

通夜に先立ち、祭壇の横には、故人様が「木箱‐中川」として生前手がけられていた木箱を展示させていただきました。
インターネット通販などで用いられる贈答品用の桐箱、おせち料理を納める桐箱のお重、そして神社のお札を収める木箱。
どの品にも、職人としての確かな技と、誠実なものづくりの姿勢が感じられました。
智貴様は、「特殊な箱も多く、まだ父と同じものをすべて作れるわけではありませんが、父の作った箱を見ながら、同じ仕事ができるよう精進していきたい」
と静かに語られていました。
故人様の想いを受け継ぎ、「木箱‐中川」を守り育てていく決意が伝わってくるお言葉でした。
通夜の喪主挨拶では、参列された皆様に向けて、故人様の仕事について誇らしげに紹介されるお姿が印象的でした。
その凛とした佇まいからは、親子の深い絆と、次の世代へと受け継がれていく職人の道が感じられました。

このお葬儀を通して、ご家族があらためて感じられた故人様の存在の大きさ。
その想いを胸に、力強く新たな一歩を踏み出されるご家族のお姿に、私どもも深い感銘を受けました。

このたびの大切なお葬儀のお手伝いをさせていただいたご縁に、心より感謝申し上げます。
2026年1月12日 中川家様(担当:近田)