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富田斎奉閣

家族葬

働き者のお母さんへ

公開:2019.12.23

故人様は、本当にご商売が好きな方だったそうです。 趣味などが特に無く、ご主人とずっと一緒にいた場所だからか、お客様が来ても来なくても、一日中店のレジに座っているのが、本当に好きだったとおっしゃっていました。 お店の名前は「八百八」。亡きご主人と2人で約55年前にオープン、喪主様がまだ小学校時代の頃です。 お2人でずっと一緒にお店をしてきましたが、ご主人が施設に入ってからは、故人様が1人でお店を開けていました。 ご主人が亡くなってからも、1年程はお1人でお店を切り盛りしていましたが、1人ではなかなかお客様の注文や仕入れの発注などが難しくなり、年齢の事もあって、心配されたお子様たちの説得の元、店を閉じたのです。 故人様は、常々「私は店の中で倒れて死にたい。」と言っていて、お子様たちも苦渋の選択だったようで、本人の事だけでなく、関わる皆さんにご迷惑掛けるわけもいかないのでと、おっしゃっていました。 そこで、「想い出のお品は何かありますか。」とお聞きした所、昔使っていた5つ玉のソロバンを飾りたいとの事で、お写真と一緒に置く事にしました。 合わせて50年程前に配っていたタオルも一緒に飾りました。 タオルに記載の住所や電話番号は、現在では使われていない住所表記や桁数の違う電話番号だったため、「この住所今は使わない住所だね、それにこの電話番号の頭一桁の頃だよ。」と懐かしそうに笑ってお話しされていました。 喪主様の最後の挨拶でも、故人様との想い出話を、涙を浮かべながらお話しされていました。親しい親族みんなで送りたいと、家族葬を選ばれましたが、とてもなごやかな葬儀になり、皆様喜んでいらっしゃいました。

2019年12月10日 佐藤家(担当:神内)