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白子斎奉閣

家族葬

放鳥の儀

公開:2020.06.09

放鳥の儀とは、ご出棺の際に白いハトを飛び立たせる儀式のことです。なぜ鳥なのかというと、鳥は昔から人間の魂を運び移すものされていました。 「古事記」にも「ここに八尋千鳥になって、天にはばたいて、浜に向かって飛び立った。」と記してあります。現在の白い鳩を用いた方法は江戸時代から行われていたそうです。 今回担当させていただきました喪主様が放鳥の儀をご覧になられたのが十数年前。その時にご両親が私たちの時にも同じことをやってほしいとおっしゃったそうです。 十年程前のお父様のお葬儀では約束を果たされました。 そして今回、お母様のお葬式では最初にお話を伺った時には確認が取れる時間ではありませんでしたので「できるかどうかはわかりません」としかお答えできませんでした。 担当者として、何とかお母様とのお約束を果たして頂きたいという思いで放鳥の儀を行っていただける方を探しました。見つかった時には喪主様に良い報告ができるとホッとしたのを覚えています。 お通夜の前のお打ち合わせの際、喪主様から「鳩どうでしたか?できますか?」と早速お伺いがありました。私が「できます」とお伝えすると「よかったー」とご一同様が安堵の表情をなさっていたのが印象的でした。 放鳥の儀を行うにあたり、鳥を放つタイミングの話になりました。 「本来であれば霊柩車がご出棺の際に放つのですが、ご家族の方も車にご乗車頂いているので鳥が飛び立つ瞬間を見て頂くことができないんです。」と私がお伝えしましたら、「そうなんです。お父さんの時は出棺と同時に鳩を飛ばしたからちゃんと飛んだのか良くわからなかったのです。」とお話しいただきました。そこで私から、「今回はご出棺の前に皆様に鳩が飛び立つところを見て頂いてご出棺させていただく方が良いと思います」と提案させていただきました。皆様からはそのような方法があるのならぜひそうして欲しいとのお言葉をいただき、出棺の前に放鳥の儀を行うことにしました。

御葬儀当日は晴天にも恵まれ無事に放鳥の儀を執り行うことができました。 大空に放たれた鳥たちは斎奉閣の上空を1周し、お母様を先導するかのように飛んでいきました。

火葬場から戻られた時にご家族様が「お母さんとの約束が果たせてほんとに良かった。」、「あの鳩たち、斎奉閣を出た後、火葬場の方に飛んで行ったみたい。」と私に話してくださいました。そして喪主様は「私の時も鳩を飛ばして」と娘さんにお伝えしたそうです。 今回初めて放鳥の儀を行い、お客様に大変喜んでいただけたことに安堵するとともに、放鳥の儀の意味を学ぶことができました。このような機会を与えてくださった喪主様に感謝するとともに、より一層いろいろな経験を積んで葬祭ディレクターとして成長していきたいと感じました。

2020年5月24日 S様(担当:村田)