死亡後の手続きとは?優先順位やチェックリストなどを解説
故人の遺族は大切な人との別れによる深い悲しみを抱えながらも、死亡や相続に関する多くの手続きを進める必要があります。 しかし死亡や相続の手続きは生涯のうちに何度も経験することではないため、いざ進めるとしても何から手を付けたら良いのか分からない方も多いことでしょう。
今回は家族が亡くなった後に行う手続きの種類を、タイミングやカテゴリ別にご紹介します。
忘れやすい手続きや、必要手続きを忘れたらどうなるのかなどについても記載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
死亡後の手続きのチェックリスト
家族が亡くなった後に行う手続きの種類は、大きく5つのカテゴリに分けられます。
- 葬儀までに済ませなければならない手続き
- 家族の死亡に伴う公的手続き
- 税金関連の手続き
- 遺産関連の手続き
- その他の手続き
具体的にどのような手続きを行うのか、以下よりカテゴリ別にご紹介します。
手続き①:葬儀まで
葬儀や初七日までに済ませるべき手続きは、以下の通りです。
- 死亡診断書の受け取り
- 死亡届および埋火葬許申請の提出
- 葬儀社への依頼
家族が亡くなったら、まずは病院の医師から死亡診断書を受け取ります。
事故死や突然死の場合は、医師から死体検案書を作成してもらい受け取りましょう。
書類を受け取り、ご遺体を安置所へ搬送したら、市区町村役場の窓口へ死亡届と埋火葬許可申請を提出します。
- 手続き:死亡届・埋葬許可申請の提出
- 必要書類:死亡診断書/死亡届
- 提出場所:申請者の所在地、故人の死亡地、故人の本籍地のいずれかの市区町村役場
- 提出期限:死亡から7日以内
提出期限が設けられていて、埋火葬許可が通らなければ埋葬や火葬ができません。
そのため、死亡届の提出と埋火葬許可申請は実質、葬儀までに済ませなければならない手続きと認識しましょう。
ただし死亡届や埋火葬許可申請の提出は、一般的に葬儀社が代行して済ませます。
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手続き②:死亡後
家族が亡くなった際の公的手続きとしては死亡届・埋火葬許可申請の提出に加え、必要に応じて以下の手続きも済ませなければなりません。
手続き | 必要書類 | 提出場所 | 提出期限 |
年金受給停止 | 年金証書 除籍謄本 | 年金事務所 | 死亡後14日以内(国民年金の場合) |
介護保険資格喪失届 | 介護保険証 | 市区町村役場 | 死亡後14日以内 |
住民票の世帯主変更届 | 世帯主変更届 | 市区町村役場 | 死亡後14日以内 |
雇用保険受給資格者証の返還 | 雇用保険受給資格者証 | 雇用保険を受給していた ハローワーク | 死亡後1ヵ月以内 |
国民年金の死亡一時金請求 | ・故人と申請者の関係がわかる戸籍謄本 ・故人の住民票除票 ・申請者の世帯全員の住民票 ・振込用の銀行預貯金通帳 | 市区町村役場、年金事務所 年金センターのいずれか | 死亡後2年以内 |
埋葬料請求(社会保険) | ・健康保険埋葬料請求書 ・健康保険証 ・死亡診断書の原本またはコピー ・葬儀費用の領収証 | 故人が加入していた健康保険組合 または協会けんぽ | 死亡後2年以内 |
葬祭費(国民健康保険) | ・健康保険証 ・葬儀費用の領収証 | 故人が住んでいた市区町村役場 | 葬儀から2年以内 |
高額医療費の還付申請 | 医療費の明細書 | 社会保険の場合は加入している健康保険組合または協会けんぽ国民健康保険の場合は市区町村役場 | 医療費支払いから2年以内 |
遺族年金の請求 | ・年金手帳 ・戸籍謄本 ・世帯全員分の住民票コピー ・故人の住民票除票 ・請求者の収入を確認できる書類 ・子供の収入を確認できる書類 ・死亡診断書コピー ・振込先の通帳 ・印鑑 | 年金事務所 | 死亡後5年以内 |
※必要書類は市区町村によって異なる場合があります。
手続き③:税金関連
故人が個人事業主、または年収2,000万円の給与所得者だった場合は準確定申告、遺産総額が相続税の基礎控除を超えた場合は相続税の申告と納税が必要です。
手続き | 必要書類 | 提出場所 | 提出期限 |
所得税準確定申告と納税 |
・確定申告書 ・確定申告書の付表 ・給与または年金の源泉徴収票など |
管轄の税務署 | 死亡日の翌日から4カ月以内 |
相続税の申告と納税 | ・被相続人の戸籍謄本 ・相続人全員の戸籍謄本 ・遺言書または遺産分割協議書の写し ・相続人全員の印鑑証明書など | 管轄の税務署 | 死亡日の翌日から10カ月以内相続税の申告と納税 |
手続き④:遺産関連
故人の遺言書が残されているかを確認し、相続に向けて以下の手続きを行います。
手続き | 必要書類 | 提出場所 | 提出期限 |
遺言書の検認 |
・被相続人の出生時から亡くなるまでのすべての戸籍謄本類 ・収入印紙800円 ・便切手代など |
被相続人の居住地の家庭裁判所 | – |
相続人調査 |
・相続人調査申請書 ・除籍謄本 ・申請者の身分証明書 |
本籍地がある役所 | – |
相続財産調査 | ・被相続人の死亡を証明する戸籍謄本 ・申請者が相続人であることを証明する戸籍謄本 ・申請する相続人の身分証明書など | 弁護士事務所、行政書士事務所 司法書士事務所など | – |
相続放棄手続き ※相続放棄する場合 | ・被相続人の除籍謄本 ・被相続人の住民票除票 ・申請者の戸籍謄本 ・収入印紙800円 ・郵便切手代 | 被相続人の居住地の家庭裁判所 | 被相続人の死亡を知ってから3カ月以内 |
遺産の相続放棄をしない場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。
協議が終わったら遺産分割協議書を作成し、不動産の名義変更や預貯金の払い戻し・名義変更など、遺産の内容に合わせて必要な手続きを済ませましょう。
手続き⑤:その他
公的手続きや税金・遺産関連以外で必要になる手続きの代表例としては、以下の通りです。
手続き | 必要書類 | 提出場所 | 提出期限 |
クレジットカードの利用停止 | カード会社により異なる | カード会社 | – |
運転免許証の返納 |
・運転免許証 ・死亡診断書の写し ・故人の除籍謄本 ・申請者の身分証明書と印鑑 |
自動車安全運転センターまたは警察署 | – |
パスポートの失効手続き |
・パスポート ・故人の除籍謄本 ・死亡診断書の写し ・埋火葬許可証の写し |
パスポートセンター | – |
生命保険金の受取 |
・保険証書 ・故人の除籍謄本 ・受取人の身分証明書 ・印鑑など |
加入している保険会社 | 死亡後3年以内 |
公共料金の名義変更 | 電力会社やガス会社によって異なる |
・水道局 ・電力会社 ・ガス会社 |
– |
会員登録をしていたサービス(スポーツジムやサブスクなど)の解約手続き | サービスによって異なる | サービスによって異なる | – |
忘れやすい死亡後の手続きとは?
前項にてご覧いただいた通り、家族が亡くなると非常に多くの手続きが必要になります。
ここでは特に忘れやすい手続きを紹介すると共に、手続きを忘れた際のデメリットや忘れないための対策法について解説します。
忘れやすい死亡後の手続き一覧
死亡届の提出をはじめとする公的手続きのほか、税金や遺産関連の手続きは重要度が高いため一般的に忘れることはありません。
一方で、以下のような手続きはうっかり忘れてしまったという方が多いようです。
- クレジットカードの利用停止手続き
- 会員登録をしていたサービス(スポーツジムやサブスクなど)の解約手続き
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手続きを忘れてしまうとどうなる?
例えば、上記にて挙げたクレジットカードの利用停止手続きを忘れた場合、カードの不正利用リスクが高くなります。
特に近年はカードの明細書を郵送せず、オンライン上でのみ確認する方が多いため、不正利用の発覚が遅れて多額の請求が来てしまうという事態に陥りかねません。
また、会員登録をしていたサービスの解約手続きを忘れるとサービスを利用していなくても会費が発生し続けます。
それに気づかず会費の滞納状態を続けていると、延滞金が請求されるというトラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。
死亡後の手続きを忘れないための対策
死亡後の手続きについて、何となくの感覚のまま行動すれば手続き漏れが出やすくなります。
手続き漏れがあればそこから金銭的トラブルに発展し、余計な負担を抱えることになる可能性があります。
あらかじめ自分に必要な手続きをリストにまとめ、それぞれの提出期限に間に合うよう優先順位を考えながらスケジュール管理を行いましょう。
また、役所や病院から受け取ったすべての書類をしっかりとファイリングしておけば、紛失による時間のロスを防ぐことができます。
死亡後の手続きはオンラインでもできる?
死亡後の手続きが多いということは、相応に膨大な量の必要書類を用意しなければなりません。
書類の不備や漏れがあれば手続きを何度も繰り返すことになり、遺族にはより大きな負担がかかるものです。
日本の年間死亡者数が増加傾向にあるという現状も相まって、近年、行政機関や民間事業者は手続きによる遺族の負担軽減に向けた取り組みが求められています。
このような状況から、デジタル庁では死亡や相続に関する手続きのオンライン化・ワンストップ化を目指しているようです。
現在はまだ実装されていませんが、将来的には故人の生前情報をデジタル化し、相続人であることをオンラインで認証された遺族が当該情報を手続きに活用できるようにする予定であるといいます。
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まとめ:死亡後の手続きについて
家族が亡くなったあとに行う手続きは数多くありますが、中には期限が設けられている手続きもあるため、優先順位を考えて進めることが大切です。
遺族は心の余裕を取り戻す時間も与えられないまま、すべてを1人でこなすことは困難でしょう。
周囲に頼れる人がいない場合は、専門家や代行業者に相談してみてもいいでしょう。
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