弔辞の例文5つと書き出しなどについてわかりやすく解説

公開:2022.08.24  更新:2024.02.15

親交の深かった方が亡くなった場合、葬儀にて弔辞の読み上げを依頼されることがあります。
故人を安らかに送り出す言葉であるため心を込めて準備したいものですが、初めての場合はどのように話せば良いのか悩む方も多いはずです。

今回は弔辞の例文を故人との関係性別にご紹介するほか、弔辞に関するマナーや読み方の注意点などについても解説します。

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弔辞とは

弔辞とは故人へ最後に贈る別れの言葉で、宗教・宗派にかかわらず葬儀や告別式で読まれます。
内容は、故人との別れに対する悲しみの気持ちを表すことが一般的です。

あらかじめ故人と親交の深かった人が弔辞の依頼を受け、自分でまとめた文章を読み上げることになります。
遺族から弔辞の依頼を受けた際は、特別な事情がない限りは引き受けることがマナーです。  

弔辞の例文を5パターンで紹介

弔辞の具体的な例文を故人との関係性別にご紹介しますので、参考にしてみてください。  

例文①:古くからの友人

○○(故人)君、突然の訃報に驚きとともに悲しみの気持ちでいっぱいです。
数ヶ月前に会ったときは元気に話しており、次は××で会おうと約束をしていただけに、このような形で会うことになるなんて未だに信じられません。
君と私は小学生から高校生まで同じ学校に通い、共に学び、遊んだ毎日を過ごした仲でした。 (故人との思い出や友人としての思いを述べる)  

例文②:恩師

○○先生、謹んでご逝去を悼み、お別れのご挨拶を申し上げます。
先生に担任をしていただいたのは高校2年生の頃でした。 当時は私も未熟ゆえに血気盛んで、どの生徒よりも多くご指導をいただいた日々が懐かしく思い出されます。 (故人との思い出や教え子としての思いを述べる)
この度の突然の訃報に、今もなお信じられない気持ちでいっぱいです。
先生からたくさんのご指導と思い出をいただいたこと、心より感謝いたします。
どうぞ安らかにお眠りください。  

例文③:会社の上司

××(会社名)の○○○○と申します。 ○○部長のご霊前に社員一同を代表し、謹んでお別れのご挨拶を申し上げます。
○○部長、私たちはみな突然の訃報に接し、深い悲しみに包まれております。
□ヵ月前から病床に伏されて以来、私達に随時ご病状を伝えてくださりながら「すぐに復帰するから」と笑いながら仰っておりました。
まだまだ力が及ばない私たちに再び檄を飛ばしてくださる日を待ち望んでいただけに、私達の悲しみはなお深く、現実を受け入れられないというのが正直な気持ちです。 (故人との思い出や部下としての思いを述べる)
○○部長がいらしたからこそ、私たちは自信をもって己の役割に没頭できました。
今は悲しみに暮れておりますが、これから私たち社員は部長のご遺志を受け継ぎ一丸となって××(会社名)の発展に力を注いでまいります。
○○部長、今まで本当にお世話になりました。 ご冥福を心よりお祈り申し上げます。  

例文④:同僚・部下

謹んで○○君のご霊前にお別れの言葉を捧げます。
この場でお別れのご挨拶を申し上げながら、○○君と会社でお会いできないのだと思うと、未だ信じられない気持ちでいっぱいです。 (故人との思い出や同僚・上司としての思いを述べる)
○○君は無茶なお願いであろうといつも快く対応してくださり、本当にお世話になりました。
そして真面目に仕事に取り組むあなたの姿勢に皆が励まされ、その温かいお人柄に癒されました。
会社の全員を代表し、心より感謝を申し上げます。
○○君、どうぞ安らかにお眠りください。  

例文⑤:代表者としての弔辞

××株式会社○○社長のご霊前に業界を代表し、謹んで哀悼の辞を申し述べます。
かねてより○○社長の体調が優れないとのお噂は伺っておりましたが、これほど早くお別れの時期が来るとは思いがけず、非常に残念でなりません。 (故人のエピソードやそれに対する思いを述べる)
○○社長のご遺志は、××株式会社の皆様が引き継いでいかれると期待し、また私どももできる限りの協力を惜しまない所存でございます。
○○社長に深く哀悼の意を表し、あわせてご生前の業績に心より敬意を表しまして、弔辞といたします。  

30代の孫が弔辞を読む場合の注意点・例文

例えば、亡くなった祖父母に対して孫が弔辞を読む場合、本人が発声しやすく参列者が聞き取りやすいような言葉・表現を使うことが大切です。
孫が読む場合の弔辞について、例文をご紹介しますので参考にしてみてください。

「本日は祖母○○の葬儀に際し、孫を代表して挨拶致します。 祖母へお別れの言葉を伝えなくてはならないことを、未だに実感できていません。 (孫にとって思い出深い故人とのエピソードを述べる) 私はこれからも、祖母との大切な思い出を胸に生きていきます。 おばあちゃん、今まで本当にありがとう。 これからも私たちのことを見守っていてください。 ゆっくりと休んでね。」  

弔辞に関するマナー

弔辞には言葉遣いや長さだけでなく、紙の選び方や包み方にもマナーがあります。
大切な人とお別れする時間に悔いが残らないよう、マナーに注意して準備しましょう。  

マナー①:内容や書き出し

弔辞の内容に決まりはありませんが、本文は以下のような構成にするとまとめやすくなります。

  • 故人へ呼びかけるような語り出し
  • 故人の人柄や功績、恩義へのお礼など故人に対する自分の思い
  • 故人の安らかな永眠を祈る別れの言葉

本文を書き終えたら、読み上げる年月日とその左隣に自分の名前を書きましょう。
弔辞は毛筆で薄墨を使って書くことが正式なマナーとされていますが、苦手な方はボールペンでも問題ありません。
書き方は縦書きで、本文の行間を詰めすぎないようにすると見栄えが良くなります。

なお、以下のような忌み言葉を弔辞に使うことはマナー違反とされているため注意が必要です。

  • 重なる
  • 続く
  • 再び
  • 重ね言葉(たびたび、またまたなど)
  • 生死を直接的に思わせる言葉(生きる、生存、死亡、四、九など)

上記に加え、「ご冥福」という言葉はキリスト教や浄土真宗では教義にそぐわない表現です。
宗教によって死生観が異なり、忌み言葉でなくとも避けるべき表現が存在するため、よく確認しておきましょう。  

マナー②:弔辞の長さ

弔辞の長さは読む人の人数によって異なるため、事前に遺族へ確認をしておくことをおすすめします。
一般的な人数としては多くて5人程度で、その場合は3分前後で読み上げられるような長さにまとめましょう。
文字数としては850~1,100文字(原稿用紙2~3枚ほど)が目安です。

原稿ができたら、あらかじめ本番と同じように読み上げて時間を確認しておきましょう。  

マナー③:紙の選び方

弔辞は原則として、大判の奉書紙(ほうしょがみ)か巻紙に書きます。
奉書紙とは室町時代から主に公文書で使われてきた和紙で、香典やお布施を包む際にも使います。

一方、巻紙とは半切り紙を横につないで巻いてある紙のことです。
どちらも書道店やデパート、通販サイトなどで販売されています。

なお、形式にこだわらない家族葬などでは白い便箋に書いても問題ありません。  

マナー④:包み方

弔辞の紙は、折り方と包み方に決まりがあります。

奉書紙の場合はまず横長に置き、左右の端を合わせるよう半分に折りましょう。
次に同じ方向へ3つ折にして、上下の端を合わせるよう縦に折ったら完成です。
巻紙は文末の方から巻折にして、読みながら少しずつ開けるような形にします。
弔辞を裸のまま持ち歩くことはマナー違反とされているため、弔辞の紙を折ったら包紙に入れます。
包紙の真ん中より少し右に弔辞を置き、包紙を右、左の順に折りましょう。
それをひっくり返し、表面に「弔辞」と記載してから上と下を裏面の方へ折ります。

包紙は奉書紙や巻紙と同じものが望ましいですが、準備ができなければ白い紙を使っても問題ありません。

【関連記事】葬儀に参列する際のマナーとは?服装や香典のマナーを解説  

弔辞の読み方は?

弔辞は司会者に指名されてから、以下の順で読みます。

  1. 指名されてから起立し、遺族に一礼する
  2. 祭壇の前に移動してから祭壇に一礼する
  3. 包紙から弔辞を取り出し、弔辞を左手に添えて右手で開く
  4. 包紙は左手側、弔辞の下に置く
  5. 弔辞を読み上げる
  6. 読み終わったら包紙に包み直す
  7. 祭壇から見て正面になるように弔辞をお供えする
  8. 祭壇、遺族の順に一礼して席に戻る

弔辞を読み上げるときは落ち着いてゆっくりと、故人へ語り掛けるように読むことが大切です。
無理にハキハキとした声で読む必要はありませんが、なるべく他の参列者にも聞き取りやすいような読み方を意識しましょう。  

まとめ:弔辞について

弔辞は、故人を送り出す最後のお別れの言葉です。

いつか突然やってくる大切な人とのお別れに備えて、大まかにでも弔辞の意味や内容、マナーについて知っておくと良いでしょう。

もしもこの先、弔辞を読むことがあれば、マナーは守りつつ無理に飾ろうとしないで自分の素直な気持ちを故人に伝えましょう。

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▼気軽にご相談ください。     この記事の監修者

竹森資洋(たけもり たかひろ) 名張・伊賀地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター

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