福祉葬に関わるケースワーカーに必要な知識|事前に準備すべき内容も解説

公開:2025.05.15

福祉葬に関わるケースワーカーに必要な知識|事前に準備すべき内容も解説

ケースワーカーの仕事は、病気や高齢で生活に困っている方の相談や支援です。
高齢者が増加している日本では、社会福祉のニーズが高まっており、重要な役割を担っています。

その中で福祉葬をはじめとする葬儀についても支援を実施するなど、幅広い分野での活躍が期待されています。
しかし、福祉葬の支援とはいっても、「具体的にどのような役割をケースワーカーが果たしているのか、わからない」という方もいるでしょう。

この記事では、福祉葬に関わるケースワーカーとして必要となる知識について解説します。
福祉葬を執り行うにあたって事前に準備すべき内容もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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福祉葬におけるケースワーカーの役割

福祉葬においてケースワーカーが果たす役割は、行政機関と連携した葬儀や供養のサポートです。

例えば、身寄りのない方が亡くなった場合には、葬祭扶助が適用されるか判断し、葬儀の手配を進めます。
生前に相談を受けていた場合であれば、葬儀や遺品整理などの死後に行う対応について事前に話し合うことも必要です。

高齢化社会となっている日本において、ケースワーカーの果たす役割は非常に重要であるといえるでしょう。

 

福祉葬に関わるケースワーカーが押さえておきたい知識

福祉葬に関わるケースワーカーが押さえておきたい知識は、以下に挙げる3つです。

  1. 葬祭扶助制度
  2. 死後事務委任契約
  3. 地域の葬儀社

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

押さえておきたい知識①:葬祭扶助制度

葬祭扶助とは、困窮により最低限度の生活を維持できない者に対して、費用の支援を行う制度です。
葬祭扶助制度の対象者や支給額は、下表のとおりです。

対象者

・経済的に困窮し生活保護を受けている遺族
・故人の扶養義務者がいない場合に葬儀を執り行う家主や民生委員など

対象となる費用

・検案
・死体の運搬
・火葬又は埋葬
・納骨その他葬祭のために必要なもの

支給額

・故人が12歳未満:16万4,000円
・故人が12歳以上:20万6,000円

ただし、受給資格の有無は市町村の担当課が決定するものであり、本当に困窮している方のみが利用できる制度です。
以上の点に留意したうえで、葬祭扶助制度の対象であるか判断しましょう。

引用:厚生労働省|生活保護法

 

押さえておきたい知識②:死後事務委任契約

死後事務委任契約とは、第三者に対して死後に必要となる事務業務を委任する契約のことです。

生活保護を受けている方でも、死後の事務業務まで自治体が担当するわけではありません。
身寄りのない場合には、あらかじめ民間のサービスなど、第三者に依頼する必要があります。

しかし、民間のサービスを利用するには費用がかかるため、依頼が難しい可能性もあります。
どうしても利用料を捻出できないのであれば、「家財処分を大家に一任する」とする文章を一筆差し入れておくのも1つの方法です。

また、友人に依頼すれば費用は抑えられますが、専門知識を有しているわけではないため、トラブルが生じるリスクもあります。
死後の不安をできる限り取り除けるよう、死後事務委任契約は優先的に検討しましょう。

身寄りのない独身(おひとりさま)の終活方法について、より詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】独身(おひとりさま)の終活が重要な理由|年代別の優先事項や費用も解説

 

押さえておきたい知識③:地域の葬儀社

ケースワーカーとしては、地域の葬儀社における福祉葬の対応可否や費用などを把握しておくことが大切です。

実際に福祉葬を執り行うとなった場合には、地域の葬儀社へ依頼することになります。
また、上述した葬祭扶助制度を利用するため、支給額の範囲内で最低限の葬儀を執り行うのが原則です。
葬儀を依頼する可能性がある地域の葬儀社については、必ず押さえておきましょう。

 

福祉葬前後にケースワーカーができること

福祉葬前後にケースワーカーができることは、以下のとおりです。

  • 生前における生活・医療・福祉の支援
  • 死後に向けた準備の支援
  • 遺族に対する行政手続きや心理面での支援
  • 葬祭扶助制度の手続きにおける支援
  • 葬儀や供養の支援 など

ケースワーカーは、人の人生を見届ける機会に何度も立ち会うような立場にあります。
業務的な支援はもちろんですが、遺族を含めた心のケアも重要です。
より良い人生の終わりを迎えられるように、サポートすることを心がけましょう。

 

福祉葬の希望者とケースワーカーが話し合っておきたいこと

福祉葬の希望者とケースワーカーが話し合っておきたいことは、以下の3つです。

  1. 遺言書やエンディングノートの準備
  2. 所有物の整理
  3. 自己判断が難しくなったときの対応

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

話し合い①:遺言書やエンディングノートの準備

遺言書やエンディングノートの準備によって、遺族に対して福祉葬の希望を伝えることが可能です。
いざ葬儀を執り行うことになった場合には、遺族もどうするべきか困ってしまう可能性があります。
その点、福祉葬や葬祭扶助制度について記載しておけば、遺族もスムーズに対応しやすくなります。

もちろん、死後について当事者同士が、事前に話し合って決められるに越したことはありません。
しかし、事情によっては話し合いの機会を設けるのが難しく、現実的ではないことも考えられます。
福祉葬の希望を直接伝えるのが困難な場合には、遺言書やエンディングノートを準備しましょう。

なお、奉斎閣では遺言書やエンディングノート作成といった終活についてのサポートも行っています。
終活について専門家に相談したい方は、ぜひ一度お問い合わせください。

 

話し合い②:所有物の整理

死後には所有物を遺族に引き取ってもらう、もしくは処分してもらう必要があります。
しかし、身寄りがなく引き取り手がいない場合であれば、専門の業者などへの依頼が必要です。

所有物の整理について準備していなければ、周囲の方に迷惑をかけてしまいます。
生前にできる可能な範囲で所有物の整理を促すとともに、専門業者への依頼についても話し合っておきましょう。

 

話し合い③:自己判断が難しくなったときの対応

高齢の方であれば、病気や加齢の影響により自己判断が難しくなる可能性があります。
自己判断できなくなれば、上述したエンディングノートや所有物の整理に関する準備なども困難になってしまいます。

例えば、任意後見制度を利用すれば、あらかじめ選んだ人に代わりにしてもらいたいことを、契約で決めておくことが可能です。
ただし、依頼する本人が十分な判断能力を持っていないと、任意後見制度は利用できません。

そのため、判断能力を有するうちに、万が一のときを想定した対応を進めるのが望ましいといえるでしょう。

引用:法務省|成年後見制度 成年後見登記制度

 

福祉葬について相談したいケースワーカーの方は

ケースワーカーは、福祉葬を希望する方とコミュニケーションを取る機会が必然的に多くなります。
福祉葬を行うため葬祭扶助制度の申請手続きはもちろん、生前にはエンディングノートの作成や遺品整理についてのサポートも必要です。

なお、奉斎閣では専門家が終活のサポートとして、遺品整理や断捨離の支援などを実施しています。
遺言書やエンディングノート作成についてもお手伝いしていますので、無料事前相談ページからお気軽にご相談ください。
エンディングノート作成の進め方について詳しく知りたい方は、こちらの動画もチェックしましょう。

また、奉斎閣では火葬式や直葬といったシンプルな葬儀にも対応しています。
葬祭扶助制度の対象ではない場合でも、負担を抑えたお見送りが可能です。
費用や葬儀内容などの詳細について知りたい方は、ご葬儀の種類ページからご確認ください。

 

まとめ:ケースワーカーは福祉葬におけるキーパーソンの1人

ケースワーカーは福祉葬におけるキーパーソンの1人で、あらゆる面においてサポートする存在です。
人生の最終期を見送る立場として、心に寄り添った対応が求められます。

なお、奉斎閣では終活においての支援を幅広く実施しており、福祉葬にも対応しています。
終活や福祉葬についてお悩みの方は、無料事前相談ページをぜひご覧ください。

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この記事の監修者

藤田悠(ふじた ゆう)四日市地区斎奉閣 副館長 1級葬祭ディレクター

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