【文例あり】遺言書の書き方とは?5つのポイントと要点をわかりやすく解説

公開:2023.05.11  更新:2024.02.15

【文例あり】遺言書の書き方とは?5つのポイントと要点をわかりやすく解説 最後の意思を残す遺言書。 いうまでもなく大切なものであり、残された親族たちにはしっかりとその内容にしたがって動いて欲しいものです。

しかし遺言書は、好き勝手に作成できるものではありません。

法的な効力を持つものであるがゆえに、記載必須の事項や、遺言書の具体的な種類が定められています。

これらについて、きちんと理解しておかなくてはいけません。

この記事では、遺言書の具体的な書き方について解説します。

抑えるべきポイントや、具体的な要件の満たし方についてわかりやすく触れています。

最後まで読むことで、法的効力のあるしっかりした遺言書を作成できるようになるでしょう。  

遺言書の3つの種類

遺言書の3つの種類 遺言書には以下の3つの種類があります。

  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言
  3. 秘密証書遺言

自筆証書遺言とは、文字通り遺言書の全文を自分で執筆・押印して作成する形式の遺言書です。

3つの種類のなかで、最も自由がきくものです。

しかし、誰かに内容をチェックしてもらえる機会がなかったり、紛失したりする恐れがあります。

民法の改正により、法務局で保管できるようになったので、紛失や改ざんされるリスクを回避できます。

公正証書遺言とは、公証役場へ行って公証人に遺言の内容を告げ、執筆してもらうタイプの遺言書です。

プロによるチェックが入ることや、公証役場で保管してもらえることがメリットですが、2人以上の証人の立ち会いが必要になります。

秘密証書遺言とは、2人以上の証人と一緒に公証役場に遺言書を持ち込んで、公証人と証人たちに封をしてもらうタイプの遺言書です。

誰かに内容を改変されなくなるのがメリットですが、自分で保管しなければならないため紛失のリスクは残ります。

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遺言書の文例を紹介

遺言書の文例を紹介 遺言書の文面をどのように書くかは自由ですが、たとえば以下のような書き方が考えられます。

『遺言書 遺言者○○は、本遺言書により以下のとおり遺言する。

第1条:妻○○には次の財産を取得させる。

(1)土地(住所・地積など)

(2)建物(住所・床面積など)

第2条:長男○○には以下の遺言者名義の預貯金を取得させる。

・○○銀行○○支店 定期預金(口座番号)

第3条:次男○○には以下の財産を取得させる。

・A株式会社の株式 ○○株 ・B株式会社の株式 ○○株

第4条:上記に記載のない財産については、すべて妻○○に取得させる。

第5条:この遺言書の遺言執行者として、長男○○を指定する。 ○年○月○日 (住所) 遺言者 (氏名)(押印)』  

遺言書の書き方のポイント5つ

遺言書の書き方のポイント5つ 遺言書の書き方のポイントは、主に以下の5つです。

  1. 必要な書類を集める
  2. 誰に何を相続させるのか明記する
  3. 遺言執行者を指定する
  4. 訂正箇所は二重線で消して、正しい文言を入れる
  5. 遺言書の要件を守る

順番に見ていきましょう。  

ポイント①:必要な書類を集める

遺言書を作成するにあたっては、自分にどのような遺産が残せるのか把握する必要があります。 以下の書類を事前に集めておきましょう。

  • 不動産登記簿
  • 預貯金通帳や取引明細書
  • 証券会社などの取引資料
  • 生命保険証書
  • 絵画や骨董品などの明細書

引用元:遺言書(自筆証書遺言)の書き方とひな形 守るべき要件から注意点までわかりやすく解説  

ポイント②:誰に何を相続させるのか明記する

どの遺産を誰に相続させるのか、わかりやすく書くことも大切です。

相続の内容が曖昧になっているため、遺言書を残したにもかかわらずトラブルになってしまうことも十分あり得ます。

たとえば「金融資産1,000万円を兄弟で半分ずつ相続させる」という遺言を残した場合を考えてみましょう。

金融資産には現金や株などいろいろな形があるので、1,000万円を具体的にどのように分類するのかで揉め事が起きるかもしれません。

こういったトラブルを防ぐための対策が重要になります。  

ポイント③:遺言執行者を指定する

遺言書のなかで遺言執行者を指定しておくと、自分の死後、遺言の内容をスムーズに形にできます。

遺言執行者としてふさわしいのは、信頼のできる相続人、あるいは弁護士などの専門家です。

状況に応じて最適な人選をしておきましょう。  

ポイント④:訂正箇所は二重線で消して、正しい文言を入れる

遺言が法的な記述なので、訂正する際にも決められたルールがあります。

間違った部分を二重線で消して、正しい文言で吹き出しを使って書き入れなければいけません。

そのうえで、余白部分に「3文字を削除、5文字を挿入」のように書き、署名あるいは押印します。

黒く塗りつぶしたり修正テープを使ったりといった手段は認められません。遺言書全体が無効になってしまいます。  

ポイント⑤:遺言書の要件を守る

遺言書には「本文は自筆で書かなければならない」「明確な日付を記載しなければならない」といった要件があります。

守られていないものが1つでもあると、遺言書は無効になってしまう可能性があるため注意が必要です。

遺言書を残す際には、要件をすべて守っているかどうか、何度もチェックしておくことをおすすめします。  

遺言書の要件の押さえ方7つ

遺言書の要件の押さえ方7つ ここでは、遺言書の要件の押さえ方について、7項目に分けて解説します。

これらは「必ず、すべて」守られなければならないものなので、以下の解説はしっかり頭に入れておきましょう。  

要件①:自筆で書く

遺言書の本文は自筆で書く必要があります。

最近では手書きで文章を書くことは少なくなったので、パソコンなどで執筆したいと考える方も多いことでしょう。

しかし、パソコンで書いた遺言書の本文は無効になってしまうので、注意が必要です。

ただし財産目録の部分に関しては、パソコンなどで執筆することも認められています。

財産目録は長いリストになることも多いので、整理しながらミスなく作成する意味でも、パソコンなどを利用したほうがよいでしょう。  

要件②:署名・押印する

遺言書には作成者の署名と押印が必要になります。

れらが欠けている遺言書は無効になってしまいます。

必ずしも実印である必要はなく、認印でも効力は変わりません。

また、印鑑を用意できない場合は拇印でも問題ないとされています。  

要件③:作成した日付を記載する

遺言書には、作成日付を必ず記載しなければいけません。

特定の日付が明確にわからなければいけないので、「2023年3月吉日」のような書き方は無効となります。

正しい日付さえ特定できれば書き方に規則はないので、「2023年の建国記念日」といった書き方は認められます。  

要件④:訂正・追加する際のルールを守る

遺言書の文面を訂正・追加する際には、民法で定められたルールを守らなければいけません。

間違った部分を二重線で消して、訂正したものを吹き出しで挿入し、署名または押印する必要があります。

上記以外の方法で訂正することは認められておらず、遺言書全体が無効になってしまう可能性があるので注意しましょう。  

要件⑤:音声での遺言は認められない

遺言書は必ず文章の形で残さなければいけません。

たとえばスマホに音声として入力したものは、内容的にどれだけ遺言書の体裁になっていても、遺言書としての効力は持ちません。  

要件⑥:相続内容を明記する

相続の内容は具体的に明記しましょう。

抽象的な内容では、具体的にどのように相続してもらいたいのかわからないため、要件を満たしているとはいえません。

遺言者である自分の意思を、解釈が分かれない形で明確に記しておく必要があります。  

要件⑦:複数枚ある場合は契印する

遺言書は1枚に収まるとは限りません。

しかし複数枚ある場合、最後の紙に署名をしただけでは、それ以外の紙は本当に遺言者が作成したものであるかの証明が不可能になります。

複数枚に及ぶ場合には、全体に契印をしておきましょう。これにより、本人がすべてを作成したという信憑性が高まります。

契印は重要な要素なので、できれば実印を使うことが望ましいとされています。  

遺言書の様式

遺言書の様式 遺言書の様式については、法務省がWebサイトにて例を公開しています。

それによると、たとえば自筆証書遺言保管制度を利用する際には、一般的な要件に加えて以下のような様式も守る必要があるとされています。

  • 用紙:A4サイズで、文字が読みづらくなるような模様や菜食がないもの。余白は最低限、上部5mm、下部5mm、左20mm、右5mmであること
  • 用紙の片面のみに記載すること
  • 各ページにページ番号を記載すること
  • 複数ページの場合でもホチキス等で閉じないこと
  • ボールペンや万年筆の消えにくい筆記具を使用すること
  • 遺言者の氏名は、ペンネームなどではなく戸籍通りの氏名を用いること

上記を厳密に守った遺言書を作成する必要があります。 引用元:03 遺言書の様式等についての注意事項  

まとめ

まとめ

遺言書の書き方について、具体的なことを解説しました。

遺言書の種類だけではなく例文も記載しておいたので、不安な場合には例文通りに執筆しておけば、間違いはないでしょう。

遺言書は法的な効力を持つ厳密な文書なので、要件もきちんと定められています。

遺言というと親しい間柄だけの出来事のように思われますが、相続は社会的に大きな意味を持つものであり、そこには法律が深く関わっています。

この記事を参考にして、適切な遺言書を作成できるようになっておきましょう。

遺言書の書き方について不安が残る方には、士業、弁護士、行政書士等の先生を紹介させていただきますので、無料事前相談ページをご覧ください。  

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