供物とは?3つの種類や相場、選び方などをわかりやすく解説
葬儀があったときには、故人に対する感謝の気持ちやご遺族への追悼の意を込めて、供物を贈るのが習わしです。
供物は祭壇の脇に供えられ、葬儀の場を彩る役に立ちます。 しかし供物には贈ってよいものと悪いものがあり、また宗教や宗派によっても何が適切かは異なります。
また故人との関係性によって費用相場も変わってくるため、なかなか複雑です。
供物に関する知識を日頃からしっかり身につけておかないと、いざというときにミスしてしまいかねません。
この記事では、葬儀における供物に関して、種類や金額相場、選ぶポイントや贈る際のマナーなどについて解説します。
目次
供物とは
供物とは、葬儀の際に故人に対する気持ちやご遺族への追悼の気持ちを表すために贈る、お供え物のことです。
ほかにも法要の際に贈る品や、故人ではなく神様や仏様に捧げるものも供物と呼ばれます。
葬儀の参列者ではなく、喪主やご遺族が自ら用意する場合もあります。 供物の気温となっているのは、仏教における「五供(ごくう)」という概念です。
「香」「花」「灯明」「水」「飲食」の5種類が基本的なお供え物とされています。
- 香:お線香や抹香のこと。心身を清める意味を含んでいる
- 花:供花のこと。花のように清らかな心で仏と向き合う意味を持つ
- 灯明:ろうそくの灯りのこと。心に安らぎを与えてくれる意味を持つ
- 水:きれいな水のこと。心が洗われる意味を持つ
- 飲食:生きている人間が食べるものと同じものをお供えすることで故人とつながる意味を持つ
上記は仏教の概念ですが、仏教以外においても供物は贈られます。
宗教や宗派に応じて柔軟に対応することが大切です。
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葬儀で贈る供物の種類
現代において葬儀で贈る供物の種類は、主に以下の3つに分類できます。
- 果物や干し菓子、缶詰
- 線香やろうそく
- 白いユリやカーネーション
順番に見ていきましょう。
種類①:果物や干し菓子、缶詰
果物や干し菓子、缶詰などは定番の供物といえます。 果物はできるだけ消費期限が長く、常温で保存できるものを選びましょう。
百貨店だけでなくスーパーでもお供え用のものを購入できます。干し菓子も定番の供物であるといえるでしょう。
和菓子店やスーパーで、お盆の時期によく店頭に並びます。 日常的に食べる人はそれほど多くないと思われるので、現代では供物用の存在として広く認知されているのではないでしょうか。
缶詰も供物としては有効です。非常に長持ちするので、数多く贈ったとしても無駄になることがありません。
種類②:線香やろうそく
線香やロウソクも、葬儀で贈る供物としては定番のものです。
宗教的に正しい贈り物であると同時に、ご遺族が今後コンスタントに消費していきます。
そのため、いわゆる「消えもの」として喜ばれるでしょう。
仏壇仏具の店に行けばいつでも購入できますし、スーパーなどでも簡単に手に入ります。
種類③:白いユリやカーネーション
白いユリやカーネーションは、キリスト教式の葬儀において供物に用いられることの多いものです。
贈り方として定番なのは、バスケットフラワーと呼ばれる形式。
これは文字通り小ぶりのバスケットに花を詰めたもので、キリスト教式の斎場において祭壇に飾られます。
花屋に行けば、ユリもカーネーションも簡単に入手できます。
供物の金額相場は?
どれぐらいの金額の供物を贈るのかは、贈る側の自由であり、強制されるものではありません。
しかし一般的な金額相場としては、以下のようなことがいわれています。
- 親族・近い間柄の方:10,000円程度
- 友人・知人:5,000~10,000円程度
- 近所・職場の方:3,000~5,000円程度
故人と深い関係のある親族は、やはりそれなりの供物を用意するのが一般的です。
友人・知人の場合は関係の深さによっても変わりますが、親族よりはやや低い金額が相場となります。
近所や職場の方の場合は、あまり高価なものを贈るとむしろご遺族に気を遣わせてしまいます。
そのため、上記のようなほどほどの金額に収めておくのがよいでしょう。
供物を選ぶ際のポイント3つ
供物を選ぶ際のポイントとしては、以下の3つがあります。
- 個別包装されているか
- 賞味期限は長いか
- 常温保存は可能か
いずれも現実的な使い勝手の問題として重要です。順番に見ていきましょう。
ポイント①:個別包装されてるか
個別包装された供物であれば、集まった人に対して分けられるので便利です。 お盆などには多くの親戚が集まる場合もあるので、小分けできるものであると好まれるでしょう。
ポイント②:賞味期限は長いか
賞味期限が長いことについても、気を遣っておいて損はありません。
だいたいの基準として、少なくとも1~2週間以上あることが望ましいといえます。
賞味期限の短いものを贈られた場合、ご遺族がそれを期限内に消費できない可能性があります。
ご遺族は他の方からも供物を受け取っているので、きちんと消費するのに気ぜわしい思いをするかもしれません。
配慮する意味を込めて、できるだけ賞味期限の長いものを贈っておきましょう。
ポイント③:常温保存は可能か
常温保存が可能であるかも、前項と同様の理由で考えるべきポイントです。
複数の参列者から要冷蔵・要冷凍の供物をいただいてしまうと、ご遺族は保管だけでも大変になってしまいます。
供物を渡す側が配慮するべきところです。
供物を贈る際の注意点
供物を贈る際の注意点として、以下の3つがあります。
- 宗教の違いを考慮する
- 匂いがきついものは避ける
- 鉢植えの花も避ける
順番に見ていきましょう。
注意点①:宗教の違いを考慮する
宗教によって、何が適切で何が不適切かに違いがあります。
その違いをしっかり把握したうえで、正しい供物を贈ることが大切です。
たとえば仏教の場合、殺生を禁じているので、肉や魚などを供物として備えることは不適切であるとみなされます。
しかし神式では、肉も魚も神の恵みとして捉えられるため、供物に選んでもまったく問題ありません。
こういった違いをしっかり把握しておく必要があるでしょう。
注意点②:匂いがきついものは避ける
匂いがきついものは、葬儀のあと保管するのが難しいため、避けておくのが賢明です。
これは宗教上のルールというよりはマナーの問題でしょう。
ご遺族はいただいた供物を大切に保管し、消費すべきものは少しずつ消費していきます。
その時間をできるだけ負担のないものにする心遣いが大切です。
注意点③:鉢植えの花も避ける
鉢植えの花も避けておきましょう。いわゆる「消えもの」ではないのでいつまでも残り、場所を取るからです。
また、もらって終わりではなくその後に水やりなどの手入れをする必要があるため、ご遺族に負担をかけることになってしまいます。
葬儀で供物を贈る際の4つのマナー
葬儀で貨物を送る際に気を付けるべきマナーは、以下の4つです。
- ご遺族の意向を確認する
- 葬儀の前日までに贈る
- のし紙には水引きが書かれた物を使う
- 表書きに注意する
1つ1つ解説します。
マナー①:ご遺族の意向を確認する
供物を贈る際には、ご遺族の意向を第一に考えることを意識しましょう。
故人の宗派や斎場の事情を確認する必要があるほか、受け取ることによるご遺族の負担の問題もあるからです。
供物の具体的な内容だけでなく、どのくらいの大きさになるかといったことも前もって知らせておきましょう。
葬儀場における配置などを考慮できるので、ご遺族にとってはありがたいでしょう。
マナー②:葬儀の前日までに贈る
葬儀に間にあわせる形で供物を贈る際には、前日までに必ず届けることを心がけましょう。
これは葬儀当日にご遺族が忙しく動き回ることを考えれば、当然のマナーであるといえます。
前項の「ご遺族の意向を確認する」こととあわせて、葬儀を滞りなく進めるために参列者側が配慮すべき項目です。
マナー③:のし紙には水引きが書かれた物を使う
供物を贈る際に使用するのし紙には、「結びきり」と呼ばれる水引きが書かれた弔辞用のものを使用してください。
東日本の場合は白黒の5本の結び切り、西日本の場合は黄白の5本の結び切りを使うのが一般的です。
マナー④:表書きに注意する
供物の表書きは宗教によって妥当な言葉が異なるので注意しましょう。
仏式の場合、表書きには「御供物」「御霊前」といった言葉を使用します。
ただし浄土真宗では「御霊前」の代わりに「御仏前」を用いてください。
浄土真宗には「死者が霊としてさまよう」概念がないからです。神式においては「御玉串料」という言葉が適切です。
まとめ
葬儀の場に供物を贈る際に必要な知識を、一通り解説しました。
各宗教ごとに個別の常識とマナーがあるので、故人の宗教にあわせて柔軟に対応することが大切です。
そして、ご遺族が負担に感じないよう配慮することにも考えを向けましょう。
ご遺族は、親しい人を失って精神的に落ち込んでいるなか、葬儀で忙しく動き回っています。
その気持ちを汲み取ることは、宗教以前に求められる態度であるといえます。
この記事を参考にして、ぜひ適切に供物を贈れるようになってください。
また葬儀に関するお悩みがある方は、無料事前相談ページをご覧ください。
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この記事の監修者
葬儀・法事の知識