納棺とは?やり方や流れ、マナーなどについてわかりやすく解説
故人を弔うために行われる葬儀は、お通夜や告別式のほかにもさまざまです。
場合によって省略されるものもありますが、一連の行為はすべてつながっており、おおむねセットで行われます。
しかし、一般的に葬儀全般といって思いつくのは、前述したお通夜や告別式以外には、火葬くらいではないでしょうか。
そのような馴染みの薄い儀式のうちの1つに、納棺があります。 こ
の記事では、なかなか知識として持っている人の少ない納棺について、具体的なやり方や流れ、マナーなどを解説します。
この記事は仏式を対象とした内容ですが、神式やキリスト教では、納棺のやり方や流れなどが異なります。
神式やキリスト教の方は、ぜひスタッフまでお問い合わせください。
目次
納棺とは
納棺とは、安置している故人の遺体を棺に納めることを指します。遺体を清めて死装束を整え、いくつかの副葬品とともに棺に納めます。
かつては親族のみで納棺を行うのが慣例でした。葬儀社のスタッフの案内にしたがって、家族や親族が手伝う形で進めていくのが今は一般的です。
納棺は自宅で行うスタイルと、葬祭ホールなどの施設で行うスタイルがあります。
自宅に十分なスペースがない場合、最近では病院から直接葬祭ホールなどの施設に搬送されるケースが増えているのが現状です。
納棺は、これまで布団に横たえていた故人を棺に納める段取りであるため、遺族にとっては死と別れを改めて強く実感する場面となります。
そのため納棺の儀式は、遺族が故人に対する最後の身の回りの世話をし、お別れを実感するという意味を持っているでしょう。
納棺はいつ行う?
納棺を行うタイミングや時間帯は、地域によっても異なるものであり、決まったルールはありません。
しかし一般的には、通夜が始まる4~5時間ほど前に行うことがほとんどです。
たとえば19時から通夜が始まる場合には、当日の14~15時くらいに納棺が行われるケースが多く見られます。
かつて納棺は親族たちですべて執り行っていましたが、現代では葬儀社などの専門業者に任せるのが一般的です。
そのため具体的な時間帯は、葬儀社と相談して決めることになるでしょう。
納棺の儀式にかかる時間としては、だいたい30分から2時間ほどが目安となります。
納棺に立ち会う人は?
納棺の儀式に立ち会うのは、原則としては近親者のみとなります。故人の配偶者や子供、孫などが対象です。
それ以外の人たちは、生前に故人といかに親しかったとしても、遠慮するのがマナー。
近親者以外は通夜や告別式に参列することで、故人にお別れを告げることになります。
しかしこれはあくまで原則です。時代とともに葬儀のスタイルや考え方は変化しており、納棺の儀式も例外ではありません。
たとえば故人が生前に「親しかった友人たちにも納棺に立ち会ってもらいたい」と言い残していた場合があります。
その場合、必ずしもその友人たちを拒絶する必要はありません。
厳格なルールがあるわけではないので、柔軟に考えることも時には必要でしょう。
納棺の儀式に参加する際の服装
納棺の儀式に参加する際の服装の基準は、自宅で行うか斎場で行うかで異なります。
自宅で行う場合は、基本的にあまり肩肘を張る必要がありません。
近親者のみで執り行う儀式なので、平服でも問題ありません。
平服とは、略礼装のことです。
男性の場合はスーツ、女性の場合はワンピースやスーツでダークカラーが基本です。
斎場で行う場合は、そのままお通夜にすぐ臨めるよう、あらかじめ喪服を着用して納棺します。
男性の場合はスーツ・ネクタイ・靴下・靴をすべて黒に揃え、女性の場合も全身黒に統一しましょう。
納棺の儀式のやり方や流れ
納棺の儀式の具体的なやり方・流れは以下のようになります。
- 末期(まつご)の水をとる
- 湯灌(ゆかん)で清める
- 死化粧を施す
- 死装束を着せる
- 故人を棺に納める
- 副葬品を納める
- 棺にふたをする
順番に見ていきましょう。
流れ①:末期(まつご)の水をとる
末期の水とは、故人の口元を水で湿す儀式のことであり、お釈迦様が入滅(にゅうめつ)したときに水を求めたことを由来としてます。
「死に水」と呼ぶこともあり、かつては臨終の際に行われていましたが、現代においては納棺のタイミングで行うのが一般的です。
もし死亡直後に病院などですでに末期の水をとっているのであれば、納棺時に改めて行う必要はありません。
省略しましょう。
流れ②:湯灌(ゆかん)で清める
次に、故人の体をお湯で清めます。
このことを湯灌(ゆかん)と呼びます。
腐敗が進んだ遺体を綺麗にするという現実的な目的のほかに、故人がまとっている生前の穢れや現世の煩悩を洗い落とす意味です。
かつては、たらいのお湯を使って親族が洗っていましたが、現代では専用の設備を使用。
葬儀社にお願いする場合、湯灌はオプションになっていることが多いので、事前に確認しておきましょう。
【関連記事】湯灌(ゆかん)の儀とは?流れやマナー、料金相場を解説
流れ③:死化粧を施す
遺体を清め終わったら、死化粧を施します。
死化粧とは、文字通り遺体の身なりを整えることです。
近年ではより現代風のニュアンスで「エンゼルケア」「エンゼルメイク」などと呼ぶこともあり、性別を問いません。
死化粧には、故人が臨終の際に味わったであろう苦しみの跡を消し、安らかな風貌であの世に旅立たせる意味があります。
またそのことによって、ご遺族の心にわずかながらでも安らぎをもたらすことも目的の一つです。
死化粧するのは、主に納棺師などの専門家や葬儀社のスタッフなどですが、ご遺族が参加しても問題ありません。
流れ④:死装束を着せる
棺に納める前に、故人に死装束を着せます。仏式の死装束は「仏衣(ぶつえ)」と呼ばれ、経文が書かれた修行僧の衣装などが一般的です。
あの世への険しい旅を無事に乗り越えられるように、という念願が込められています。
「脚絆(きゃはん)」「手甲(てっこう)」「頭陀袋(ずだぶくろ)」などもあり、着付けをするのは基本的に難しい作業です。
そのため基本的には専門家が行いますが、簡単に身につけさせられるものについては、ご遺族の手で行ってもよいでしょう。
また現代では、死装束ではなく、故人が生前に愛用していた服を着せたいと望むケースもあります。
これは葬儀のマナーに違反していないので、希望する場合は葬儀社に相談してみましょう。
【関連記事】死装束とは?納得できるお別れをするための注意点をお教えします
流れ⑤:故人を棺に納める
死装束を整えたら、故人のご遺体を棺に納めます。
ここが納棺の本番です。
ご遺族で故人を支え、ゆっくりと棺の中へ納棺。
ご遺族だけでは難しい場合には、葬儀社のスタッフがサポートしてくれます。
無事に棺に納めたら、胸の前で手を組みます。
装束や髪が乱れているのを見つけたら、綺麗に整えておきましょう。
流れ⑥:副葬品を納める
ご遺体をしっかり納めたら、その周辺に副葬品を入れていきます。
副葬品は死者と共に埋葬されるもののことで、これから旅立つ故人への手向けの品となります。
生前の故人の愛用品などを選ぶのが一般的です。 ただし注意点として、燃えるものしか入れてはいけないことが挙げられます。
火葬することからくる決まりです。具体的なことは後述します。
流れ⑦:棺にふたをする
副葬品を納めたら、棺にふたをして合掌します。
このとき、ふたは置くだけであり、釘打ちはしません。
地域ごとの風習や宗派にもよりますが、釘打ちについては出棺前に「釘打ちの儀」という段取りを用意し、そこで行うことも多いようです。
最後に棺に「棺掛け(かんかけ)」と呼ばれる布をかければ、納棺の儀式が終了となります。
棺を祭壇に安置して、通夜が始まるのを待ちましょう。
納棺の儀式に関するマナー
納棺の儀式に関するマナーとして、以下の2つが挙げられます。
- 参列する際の服装や髪型
- 副葬品で納めてよいもの
どちらもしっかり押さえておくべきものなので、以下の解説を読んで把握しておきましょう。
マナー①:参列する際の服装や髪型
参列する際の服装については、すでに解説した通りです。
自宅で納棺の儀式を行う場合には、基本的に平服でも問題ありません。
このときの注意点として、全身をダークカラーに整え、結婚指輪以外のアクセサリーを外すことが挙げられます。
斎場で納棺の儀式を行う場合は、そのままの格好でお通夜に臨むことになるので、あらかじめしっかりと喪服を着ておきましょう。
マナー②:副葬品で納めてよいもの
副葬品として納めてよいのは、燃えるものだけです。
ご遺体は火葬することになるので、燃えないものを一緒にしてはいけません。
副葬品に向かない品の例として、以下のようなものが挙げられます。
- 酒瓶
- メガネ
- 入れ歯
- ペースメーカー
- ゴルフクラブ
- 腕時計
- 金属
- 宝石
- 分厚い書籍
- 紙幣や硬貨
- 革製品
- ゴム製品
- プラスチック製品
まとめ:納棺について
納棺の儀式について、基本的なことを一通り解説しました。
納棺は基本的に故人の近親者のみで執り行うため、人生においてなかなか関わることがありません。
そのため知識を身につける機会もあまりなく、いざというときに戸惑ってしまうことが考えられます。
この記事を参考にして、納棺の儀式についてあらかじめ把握しておき、いざ参列するときスムーズに事を運べるようになっておきましょう。
納棺の儀式だけではなく、葬儀全般に関する質問やご相談はぜひ斎奉閣へ。
24時間365日無料事前相談を承っております。
不安なことがあれば、事前に相談しておくことおすすめします。
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