戒名の値段相場は?宗派やランクごとに解説
現代ではお寺との関係も薄くなっており、仏教のことはよく分からない…。「そもそも戒名って何…?!」という方も多いのではないでしょうか。
結論から先にいえば、「戒名」は仏式の葬儀を執り行い、故人の冥福を祈るために必要な宗教上の決まりごとのことをいいます。
戒名にはランクがあり、寺院によっても必要な金額に大きな差があります。
この記事では、戒名についての基本的な知識と、戒名のランクごとの値段相場や戒名ランクを選ぶ基準についてご紹介します
目次
戒名とは?
「戒名」の「戒」とは、仏教の戒律、すなわち決まりごとを意味します。
戒名とは戒律を守る名前であり、仏教徒としての名前のことです。仏門に入ったことのしるしとして、師匠から弟子へ与えられるもので、
1)各宗派に歴代受け継がれた「戒」を受ける。
そして、
2)仏教徒としての名前を授けてもらう。
この2点を戒名といいます。
仏式のお葬式をする場合には、故人は死後仏の世界である「浄土」へ往生します。
そのため、故人が仏の世界へ往くにあたり、仏教徒としての名前である戒名が必要になる、ということです。
戒名を授かるにあたっては、戒名のランクによってお寺に納める金額が大きく異なってきます。
この理由は、戒名には「仏教徒としての人となりを広く世間や後世に伝える」意味合いがあることに関係しています。
お寺に納めるのは、戒名を授かることに対する代金ではなくお布施、つまり「寄付」です。
戒名代などのお布施は、宗教法人である「〇〇寺」に全額納められ、お寺のために使用されます。
そのため、お寺へ寄付をした御礼として、その功績が戒名にも反映され、故人の業績が顕彰される、というのが正しい理解になります。
つまり、そのお寺に葬儀をお願いすることは、そのお寺の宗教活動に賛同するということになります。
まずは、ここまでの内容をまとめておきましょう。
- 仏式の葬儀で、故人が仏の世界へ往くには戒名が必要。
- 戒名はお釈迦様から代々受け継がれ、現代の僧侶に伝えられているものであり、自分で勝手につけてよいというものではない。
- 戒名に必要なお布施は、戒名のランクや寺院によって大きく異なる。
宗派ごとの戒名の値段相場
戒名の構成は、「院号」「道号」「戒名」「位号」の4つに分類され、基本的に文字数が多いほどより位や格が高い戒名となります。
難しい漢字が並び、専門の知識がなければ意味がわからないと思われがちな戒名ですが、その構造を知ると、シンプルに理解することができます。
【院号】 「院号」は、顕著な社会貢献を果たした人や、寺院を建てるために尽力した人など、高い功績を有する故人に授けられます。 戒名は「〇〇院」「〇〇院殿」という表記になり、古くは貴族や将軍の戒名につけられたもの。 このような背景から、現在は院号がついていない戒名も多くなっています。 【道号】 「道号」は、仏教の教えを得た人や格の高い人などにつけられるもので、故人の俗名や生前に縁のあった字などを用いることが多いです。 【戒名】 「戒名」は、2字から成る死後の名前。 本来は、この2文字だけで戒名ですが、現在は戒名の4つの要素を合わせた総称として戒名という言葉が使われています。 【位号】 「位号」は戒名の後につける文字のことで、故人の性別や年齢などによって変わります。 この位号に関しても、生前の社会や寺院に対する貢献度が反映され、功績が大きいほど格式の高いものが与えられます。
このような戒名の構成に基づき、信士(しんし)・信女(しんにょ)から、居士(こじ)・大姉(だいし)、院信士(いんしんし)・院信女(いんしんにょ)、最上位は院居士(いんこじ)・院大姉(いんだいし)といった「ランク」が宗派ごとに定められています(前者が男性、後者が女性に使われます)。
例えば「院号」は、前述したように寺院へ大きく貢献した人に与えられるものであったことから、古くから先祖のステータスとされてきました。
さて、これらの戒名にはいったいどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
戒名はランクや、寺院によって金額が異なる。さらに、お寺に納めるお金は戒名代金ではなく、お布施すなわち「寄付」である。
こういった戒名の背景が、「戒名の値段が不明瞭」で私たちが混乱してしまう大きな要因です。
ご自身が納得できる戒名とその費用を理解し、心残りのない供養を行うことができるように、ここでは各宗派の戒名のランク分けと値段相場をみていきましょう。
値段相場①:曹洞宗
「曹洞宗」の戒名の値段相場は、信士・信女30万円~、居士・大姉50~70万円、院居士・院大姉100万円~といわれています。
【関連記事】曹洞宗の葬儀とは?葬儀の流れや費用相場を分かりやすく解説
値段相場②:真言宗
「真言宗」の戒名の値段相場は、信士・信女30~50万円、居士・大姉50~70万円、院信士・院信女80万円~、院居士・院大姉100万円~といわれています。
値段相場③:浄土真宗
「浄土真宗」の法名の値段相場は、釋○○信士・釋尼○○信女20~40万円、○○院 釋○○居士・○○院 釋○○大姉50万円~といわれています。
【関連記事】浄土真宗の葬儀の流れや参列する際の注意点・マナーを徹底解説
値段相場④:浄土宗
「浄土宗」の戒名の値段相場は、信士・信女5~15万円、居士・大姉35~60万円、院信士・院信女100万円~といわれています。
【関連記事】浄土宗の葬儀の特徴や流れ、マナーについてわかりやすく解説
値段相場⑤:日蓮宗
「日蓮宗」の戒名の値段相場は、院信士・院信女30~50万円、院居士・院大姉100万円~といわれています。
【関連記事】日蓮宗の葬儀の流れや費用、マナーについてわかりやすく解説
値段相場⑥:臨済宗
「臨済宗」の戒名の値段相場は、信士・信女30~50万円、居士・大姉50~80万円、院居士・院大姉100万円~といわれています。
値段相場⑦:天台宗
「天台宗」の戒名の値段相場は、信士・信女30万円~、居士・大姉50~70万円、院信士・院信女80万円~、院居士・院大姉100万円~といわれています。
戒名のランクの決め方
基本的にはお布施の金額が高いほど高いランクの戒名を授かることになりますが、ランクを選ぶ上では次のような基準が配慮すべき点として挙げられます。
- 先祖と同じお墓に入る場合には、先祖よりもランクの高い戒名はつけない(先祖と同等か、低いランクを選ぶ)。
- 夫婦で同じお墓に入る場合には、夫婦で戒名のランクをそろえる。
- 新たにお墓を建立して入る場合には、戒名のランクは自由に決めても構わない。
戒名を授からないデメリット
戒名はどうしても、必ず必要か?という問いに対する回答は、個々人それぞれの考え方や信仰している宗教にもよります。
が、日本で行われる葬儀の9割は仏式葬儀であり、仏式である以上は仏教の決まりごとを守ることが必要になります。
つまり、戒名を授からなければ、正式な葬儀を執り行うことができません。
また、戒名を授からない限り、先祖と同じお墓に入ることはできません。
戒名を自分で付けることはできるか
この疑問に関する回答も、上記と同様です。戒名を自分で作ること自体には別に問題はありません。
しかし、当然のことながら、この方法は仏教の正式な戒名に則っておらず、お寺のお墓や納骨堂には入ることはできません。
まとめ
この記事では、戒名に関する基礎知識を概説させていただきました。
戒名に必要な金額が宗派やランクによって大きく異なるのには理由があり、だからこそ、戒名の選び方や適性金額はとても難しい問題でもあります。
故人に適した戒名の選び方・戒名の値段についてのご相談は、一度菩提寺へお問い合わせされることをおすすめします。
▼気軽にご相談ください。 本記事は以下のWebサイト及び書籍を参考に執筆しています。 【Webサイト】 戒名のお布施はいくら?実際の値段や意味を詳しく解説 戒名は絶対に必要?戒名の意味やお布施の目安 戒名料は2~100万円?戒名の相場とランクを選ぶ基準 【2021】戒名の相場はいくら?宗派別の戒名料とお布施の包み方 戒名授与にかかる値段相場とランク毎の意味と選び方 【書籍】 冠婚葬祭おつきあいとお金のマナー(早井 千代子/著 — 西東社 — 2013.9) 大人の冠婚葬祭マナー新事典(岩下 宣子/監修 — 朝日新聞出版) 家族葬ハンドブック(柴田 典子/監修 — 主婦の友社 — 2020.1)
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