曹洞宗の葬儀とは?葬儀の流れや費用相場を分かりやすく解説
同じ仏教でも、宗派によって、考え方の特徴や葬儀のマナーには違いがあります。
葬儀を考える際には、宗派の違いについても考慮する必要があるでしょう。
今回紹介するのは、仏式の中でも「曹洞宗」の葬儀についてです。
曹洞宗ならではの特色や葬儀の流れ、葬儀関連の費用相場や焼香時のマナーなど、詳しくチェックしていきましょう。
目次
曹洞宗とは
曹洞宗は、仏教の中でも禅宗に含まれる宗派の一つです。
禅宗には禅宗五家と呼ばれるものがあり、曹洞宗はその中の一つに含まれています。
その歴史は非常に古く、中国から伝えられたのは1200年頃のことだと言われています。
禅宗の祖と呼ばれる人は2人いて、道元禅師と瑩山禅師です。
曹洞宗の礎となる教えを日本に伝えたのが道元禅師であり、入ってきた教えを日本中に広めたのが瑩山禅師でした。
曹洞宗では本尊「釈迦牟尼仏」と両祖を併せて、「一仏両祖」として尊崇しています。
仏教の中でも、曹洞宗を信仰する方は決して少なくありません。
日本では、約800万人の信者がいるとされています。
曹洞宗の葬儀に関わる機会も、比較的多いと言えるでしょう。
曹洞宗の葬儀の特徴
その他の宗派と比較して、曹洞宗の葬儀は極めて特徴的だと言われています。
曹洞宗における葬儀とは、単純に故人の冥福を祈り、遺族を慰めるためのものではありません。
「亡くなった方は葬儀を通じてお釈迦様(釈迦如来)の弟子になり、仏の世界に導かれていく」というのが曹洞宗の考え方です。
このため、曹洞宗の葬儀の前半では、お釈迦様の弟子になるための「授戒」と呼ばれる儀式が鍵になります。
その上で、葬儀の後半には、仏の世界へ続く道へと導くための「引導」が行われるのです。
故人を導く儀式でも特徴的なのは、「鼓鈸三通(くはつさんつう)」でしょう。
僧侶がさまざまな仏具を音楽のように鳴らします。
その他の宗派にはない音と荘厳さに、驚く方も多いようです。
曹洞宗の葬儀の流れ
では、曹洞宗の葬儀の流れについて、より具体的にみていきましょう。
まずはお寺の住職さん(曹洞宗では導師と呼ばれることもあります)が入場し、故人をお釈迦様の弟子にするための儀式が行われます。
その後、授戒と呼ばれる儀式を経て、焼香・読経へと続いていきます。
邪気を払うための読経から鼓鈸三通、そして故人に引導を渡します。
山頭念誦で故人の覚醒を祈願した後に、導師退場となります。
最後のお別れをして出棺となった後の流れは、その他の宗派と大きな違いはありません。
曹洞宗の式次第
曹洞宗の式次第では、聞きなれない言葉が多く並びます。
具体的に紹介していきます。
- 導師入場
- 剃髪
- 授戒(懺悔門、洒水、三帰戒文、三聚浄戒、血脈授与)
- 入棺諷経
- 龕前念誦
- 挙龕念誦
- 引導法語
- 山頭念誦
- 出棺
剃髪(ていはつ)とは、故人をお釈迦様の弟子にするため、導師が「剃髪の偈」を行います。 これは出家儀式でも行われるものです。
授戒で行われる5つの儀式は、以下を参考にしてみてください。
- 懺悔門(さんげもん) → 成仏するため生前の罪を反省する
- 洒水(しゃすい) → 清き水を手向ける
- 三帰戒文(さんきかいもん) → お釈迦様の教えを守り、修行者に帰依することを誓う
- 三聚浄戒(さんじゅじょうかい)・十重禁戒(じゅうじゅうきんかい) → 導師が法性水を用意し、位牌や自らの頭に注ぐ
- 血脈授与(けちみゃくじゅよ) → 法の系図をお釈迦様より授かり、霊前に供える(お釈迦様の弟子になった証)
入棺諷経(にゅうかんふぎん)は、いわゆる入棺の儀式ですが、回向文(えこうもん)というお経が読み上げられる中、焼香が行われます。
龕前念誦(がんぜんねんじゅ)は、棺を閉じるための儀式ですが、十仏名(じゅうぶつみょう)と回向文が唱えられるケースが一般的です。
焼香を終えると、挙龕念誦(こがんねんじゅ)という邪気を払うためのお経が唱えられ、鼓鈸三通(くはつさんつう)が行われます。
3つの仏具を打ち鳴らし、音で邪気を払う狙いがあります。
山頭念誦(さんとうねんじゅ)で故人の覚醒を祈るまでが、曹洞宗ならではの葬儀の流れです。
曹洞宗の葬儀の費用相場
曹洞宗の葬儀に参列する際、執り行う際に気になるのが葬儀に関連する各種費用の相場についてです。
香典とお布施、それぞれの目安を紹介します。
【関連記事】戒名の値段相場は?宗派やランクごとに解説
費用相場②:香典
曹洞宗の葬儀に参列する場合も、香典の目安の金額は、その他の宗派と変わりありません。
故人との縁や付き合いの深さ、年齢などによって、金額は上下します。
目安の金額は関係性によって5,000円~100,000円と、幅広いです。
地域の相場も参考にしながら、包む金額を決定しましょう。
費用相場③:お布施
お布施とは、葬儀や法事を執り行う際に、僧侶に対して渡すお礼のことです。
戒名や読経に対する対価として支払うわけではなく、あくまでも、御本尊にお供えするものであるため、明確な金額は定められていません。
曹洞宗においても、このあたりの事情は、その他の宗派と違いありません。
僧侶との間にしっかりと信頼関係が築けている場合、「お気持ちとは、みなさんどの程度包まれているのでしょうか?」と、直接伺ってみるのも良いでしょう。
一般的には、15万円~50万円程度が相場だと言われています。
こちらについても、寺院との関係性や付き合いの深さなどを考慮して、決定するのがおすすめです。
また葬儀会社のスタッフに聞くと、適切な相場費用を教えてもらえる可能性もあります。
曹洞宗の葬儀の焼香のマナー
葬儀で欠かせない焼香ですが、同じ仏式でも、宗派によって異なるマナーが存在しています。 曹洞宗の葬儀に参列する際には、ぜひ以下の流れを意識してください。
- ご本尊と遺影・位牌に向けて、軽く一礼する
- 2~3歩前に出て、右手でお香をとる
- 軽く左手を添えて、額に押しいただく
- 念じてから焼香する
- もう1度右手でお香をとる
- 額に押しいただかずに、そのまま焼香する
- 合掌と礼拝(数珠は両手にかけて)
曹洞宗の焼香は2度行ってください。 1度目は額に押しいただきますが、2度目はそのまま焼香します。
ただし、葬儀スタッフより「焼香は1回のみで」と指示があった場合は、そちらの方に従いましょう。
【関連記事】葬儀に参列する際のマナーとは?服装や香典のマナーを解説
曹洞宗の葬儀の仏具
曹洞宗の葬儀で行われる鼓鈸三通では、特徴的な3つの仏具が使われます。
それぞれの名称と特徴は以下のとおりです。
仏具①:鐃祓(にょうはち)
鐃祓は、シンバルのように両手で持って、打ち鳴らす楽器のような仏具です。 妙鉢(みょうはち)と呼ばれることもあります。
力任せにぶつけるだけでは美しい音が響きにくく、すり合わせるようにして音を出します。
仏具②:太鼓
リズムだけではなく、合図をするときにも使われます。
仏具③:引磐(いんきん)
引磐は、小さな鐘型の仏具です。 持ち手が付いていて、軽く振ると音が出ます。
ハンドベルをイメージするとわかりやすいでしょう。
これら3つの仏具を、3人の僧侶が1つずつ持って、タイミングよく鳴らします。
大規模な葬儀の場合、僧侶の数も3人ずつ増やし、より大きな音を打ち鳴らせるよう工夫されます。
仏具から生み出される「チン・ドン・ジャラン」という音は、曹洞宗の葬儀ならではのポイントと言えます。
まとめ
日本で多く行われている仏式の葬儀の中でも、曹洞宗の葬儀には、特徴が多いと言われています。
普段の生活の中で、仏教の宗派にまで思いを馳せる機会は少ないものです。
いざ葬儀を取り仕切るという状況になって、宗派別の違いを初めて意識する方も多いことでしょう。
曹洞宗の葬儀をお考えの場合に、「式次第がわからない」「独特の宗教用語に戸惑ってしまう…」と、不安を抱える必要はありません。
斎奉閣では、曹洞宗の葬儀についても、しっかりとサポートいたします。
曹洞宗の葬儀をお考えの方や、葬儀全般に関するお悩みを抱えている方は、事前無料相談をご利用ください。
安心して葬儀を執り行えるよう、万全の体制を用意しております。
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