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墓じまいとは?平均費用や手続きの流れなどについてわかりやすく解説

公開:2023.11.13

墓じまいとは?平均費用や手続きの流れなどについてわかりやすく解説

墓じまいは「ご先祖様に申し訳ない」「手続きの流れがわからない」などと悩む方は少なくありません。

墓じまいとは、墓石を撤去し、更地に戻してから使用権を返還する行為を指します。
お墓は代々その家に受け継がれることがほとんどです。
しかし近年では、少子化や都会への人口集中などが影響し、墓じまいの選択を迫られる家庭も増えています。

この記事では、墓じまいが増加している背景や、墓じまいの平均費用と手続きを解説します。

▼気軽にご相談ください。  

墓じまいとは

手を合わせる人

墓じまいとはお墓を解体し、更地に戻してから使用権を返還する行為です。
また、お墓の引っ越しを意味し、改葬とも呼ばれます。

墓じまい後の遺骨は、他の墓地に移転したり、永代供養墓地に改葬したりするのが一般的です。

 

行政手続きや墓地管理者との交渉、様々な工事の依頼などがあり、負担に感じる人もいます。

最近では、墓じまいを検討する人が増えています。
しかし、墓じまいがきっかけで、お寺や親族とトラブルになることも少なくありません。

事前に墓じまいの流れを確認し、相談が大切です。

【関連記事】永代供養の相場は?費用の内訳や注意点についても詳しく解説!  

墓じまいが増加している背景

墓地

墓じまいが増加している背景としては、以下の4つが考えられます。

  1. お墓が遠く墓参りが大変
  2. お墓に対する価値観の多様化
  3. 金銭的負担が大きい
  4. 子どもに負担をかけたくない

それぞれを確認します。  

 

⦅お墓が遠く墓参りが大変⦆
墓参りの回数は決まっていませんが、お盆と春秋彼岸の年3回のお参りが一般的です。
都会に住む地方出身者は、墓じまいを選択する人が増えています。
墓参りのための帰省が大変だと感じるためです。

 

  ⦅お墓に対する価値観の多様化⦆
若い世代では、価値観や生き方が多様化しており、従来の墓地に埋葬されることに対する価値観も変化しています。
新しい形の葬儀や埋葬方法、散骨や自然葬などを選ぶ人が増えてきました。  

 

⦅金銭的負担が大きい⦆
お墓を建てるにはコストがかかります。
永代使用料や管理費用、墓石の修繕費用、仏事の経費等が負担となり、これらの金銭的な理由からお墓を手放す家族も増えているようです。  

 

⦅子どもに負担をかけたくない⦆
お墓の維持には管理者が必要です。
お墓の管理が負担と感じる親世代は、自分の子どもには負担をかけたくないと考え、自分の代で墓じまいを選ぶ人も増えています。  

墓じまいにかかる平均費用

費用の計算

墓じまいには、様々な費用がかかります。

具体的には、墓石の撤去費用、閉眼供養のお布施、離檀料の3つの費用です。
総額でおおよそ20〜50万円になります。  

費用①:墓石の撤去費用

墓石の撤去にかかる費用は墓石のサイズや材質、業者によって異なりますが、墓石撤去費用1㎡あたり15万円ほどです。
墓石の撤去費用には、墓石があった場所を更地にし、所定の場所で墓石を処分する費用も含まれます。

見積もりは石材店に依頼が可能です。
ただし、お寺や霊園の管理者から石材店を指定されることもあります。
石材店を選択できないこともあるため、事前に確認しておきましょう。  

費用②:閉眼供養の際のお布施

閉眼供養(へいがんくよう)とは、お墓に宿る仏様の魂を抜き取る儀式です。
宗派によっては「脱魂式」や「抜魂式」と呼ばれることもあります。

閉眼供養の際、読経していただいた僧侶にお布施代を払うのが一般的です。
行う寺院や僧侶によって異なりますが、3〜5万円ほどとされています。  

費用③:離檀料

離檀料(りだんりょう)とは、お寺の檀家を辞める際に支払う費用です。
お墓がお寺にある場合にのみ発生します。

離檀料を支払う義務はありませんが、今までお世話になった感謝の気持ちを込めてお渡しすると良いでしょう。

離檀料の目安は3〜20万円ほどです。お寺によっては受け取らないこともありますが、逆に高額な離檀料を請求される恐れもあります。

トラブルを防ぐためにも、事前に石材店や親族と相談するのが大切です。  

墓じまいの手続きの流れ

花を供える女性

墓じまいの基本的な手続きの流れは以下です。主に7つの段階を踏みます。

  1. 親族に相談し同意を得る
  2. 遺骨の移転場所を決める
  3. 墓地の管理者に墓じまいする旨を伝える
  4. 書類手続きを行う
  5. 遺骨を取り出す
  6. 墓石を撤去する
  7. 改葬先に遺骨を納める

それぞれ具体的に解説します。  

手続き①:親族に相談し同意を得る

墓じまいを検討する際は、親族に相談し同意を得るようにしましょう。

ここで重要なのは、親族全員が納得するまで議論し合うことです。
親族全員が同意しているか確認し、意見が分かれる場合は、時間をかけて話し合いましょう。

特に何代にも渡って受け継がれてきたお墓の場合、親族が墓じまいに納得しない恐れもあります。
あとでトラブルに発展するケースもあるため、独断で決めず事前に親族全員の理解を得ることが大切です。  

手続き②:遺骨の移転場所を決める

親族の同意が得られた後は、遺骨の移転場所を決めましょう。遺骨の移転先は以下が考えられます。

  • 永代供養墓に移す
  • 散骨
  • 手元供養
  • 他のお墓に移す
  • 分骨

遺骨の新しい安置場所を決定する際、亡くなった方の意向や遺言があればそれに従いましょう。

また、遺骨の移転は新たな墓地のコストや、管理のしやすさも考慮に入れる必要があります。  

手続き③:墓地の管理者に墓じまいする旨を伝える

遺骨の移転場所を決めるのと並行して進めたいのが、墓地の管理者に墓じまいする旨を伝えることです。
お墓がお寺にある場合、墓じまいは檀家を辞めることを意味します。

お寺にとっては減収になるため、話しが進まない恐れがあるでしょう。
高額な離檀料を請求されるなど、のちにトラブルになるケースも珍しくありません。

日頃の感謝を伝え、丁寧に説明しましょう。
墓じまいは決定事項ではなく、相談として話すことが大切です。  

手続き④:書類手続きを行う

墓じまいを進めるためには、役所の許可が必要です。

墓じまいには法的な手続きが必要なため、現在のお墓がある役所で書類手続きをします。 墓じまいに必要な書類は以下です。  

書類 発行元
改葬許可申請書 お墓のある自治体役所
埋葬証明書 お墓の管理者
受入許可証 遺骨の受け入れ先

  上記の書類を役所に提出すると改葬許可証が発行され、はじめて遺骨の引っ越しができます。  

手続き⑤:遺骨を取り出す

書類手続きが終了したら、次に遺骨を取り出します。

遺骨を取り出す前に、お墓に宿る仏様の魂を抜き取る閉眼供養(へいがんくよう)をするのが一般的です。
お寺の墓地に埋葬している場合は、そのお寺の僧侶にお願いします。

お墓を公営の墓地などに埋葬している場合は、近くのお寺にお願いが可能です。
閉眼供養は義務ではありませんが、閉眼供養が完了していないと墓石の撤去を請け負ってくれない石材店もあります。

墓じまいを円滑に進めるためには、しておいたほうが良いでしょう。  

手続き⑥:墓石を撤去する

遺骨の取り出し後、墓石を撤去し更地に戻します。
墓石の撤去は立ち会いが可能です。

墓石の撤去が滞りなく終わったか確認するためにも、立ち会うと良いでしょう。

立ち会う時は、墓石や基礎がしっかりと撤去されていることを確認してください。
確認後、使用権を管理者に返還します。  

手続き⑦:改葬先に遺骨を納める

最後に、改葬先に遺骨を納めます。

長い年月が経った遺骨は湿気などによって、カビで汚れているかもしれません。
そのままの状態では運搬が困難なだけでなく、劣化が進む恐れがあるため、必要に応じて洗骨しましょう。

洗骨はご先祖様供養の一環でもあります。
遺骨を綺麗な状態で保存するためにも、洗骨してから改葬先に移動しましょう。  

宗派が異なる際、同じお墓に入ることはできる?

仏教

宗派が同じであれば、一般的には同じお墓に入ることはできます。

しかし宗派が異なる場合、供養方法や考え方が大きく違うこともあるため、墓地の管理者次第です。
お寺の墓地の場合は、宗教的感情から、家族であっても他の宗派のお骨は断られるケースは珍しくありません。

もっとも近年では檀家制度を設けていないお寺も増えており、宗派が違っていても納骨できる可能性はあります。

また、お寺や霊園によっては特定の宗派のみを受け入れていることもあるため、注意が必要です。
事前に、お寺や霊園の管理規約を確認しましょう。  

墓じまいしないとどうなる?

お墓の風景

墓じまいをしないで連絡もせずに放置すると、お墓が撤去されて、ご先祖が無縁仏になる恐れがあります。
毎年管理費を支払っていても、お墓の掃除やお手入れはしてくれません。

お墓のお手入れは、基本的に遺族が行います。 墓じまいせずに放置すると、お墓は雑草ばかりになり隣のお墓にまで草が伸びることもあります。
雑草ばかりのお墓は、お墓全体の景観が悪くなり、他の墓地の方からクレームが出るケースも珍しくありません。

さらに管理費の支払いが滞ると、お墓の管理者に連絡が行きます。

一方、公営墓地や民営墓地にお墓がある場合、放置しても墓石を撤去されるケースは少ないでしょう。  

墓じまいでお困りの方は

お墓を掃除する女性

墓じまいの工程は長いだけでなく、親族や墓地の管理者に相談が必要なため、負担に感じる人は少なくありません。
のちのトラブルを防ぐためにも独断で進めないことが大切ですが、スムーズに進めることが難しい作業です。
墓じまいでお困りの方は、斎奉閣までお問い合わせください。

斎奉閣では、墓じまいに関してお困りの方に対し、65年の実績と豊富なノウハウに基づいた適切なサポートを提供しております。  

まとめ:墓じまいについて

先祖の墓

墓じまいは、墓石を撤去し、更地に戻してから使用権を返還する行為です。
金銭的負担が大きい、お墓が遠く墓参りが大変などの理由により、墓じまいを選ぶ人が増えています。

具体的な、墓じまいの手続きは以下の7つの段階を踏みます。

  1. 親族に相談し同意を得る
  2. 遺骨の移転場所を決める
  3. 墓地の管理者に墓じまいする旨を伝える
  4. 書類手続きを行う
  5. 遺骨を取り出す
  6. 墓石を撤去する
  7. 改葬先に遺骨を納める

親族やお寺とトラブルになる恐れがあるため、独断で決めずに相談して進めることが大切です。
墓じまいや遺骨の移転先などにお困りの方は、無料事前相談にお申し込みください。  

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松田裕介(まつだ ゆうすけ) 流通事業部・メモリアルヒルズ四日市 店長