遺品整理はいつから始めるべき?始める際のポイントや注意点を紹介
大切な家族の遺品を扱うのは、悲しみの伴うつらい作業です。しかしいつまでも放っておくわけにはいきません。
家は片付きませんし、相続の手続き面でも支障が生まれるからです。
では具体的に、遺品整理はいつ頃から始めるべきなのでしょうか?
この記事では、遺品整理を始めるのにちょうどよいタイミングや、留意しておくべきコツや注意点、自身でおこなうか業者に依頼するかの見極めなどについて解説します。
目次
遺品整理はいつから始める?
遺品整理を始める時期としては、以下の5通りが考えられます。
- 四十九日後
- 諸手続きの終了後
- 葬儀後
- 相続の前
- 四十九日前
どのタイミングがベストであるかは遺族の状況によっても変化しますが、基本的には上記5つのいずれかのなかから選ぶのがよいでしょう。
以下で1つ1つ解説します。
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始める時期①:四十九日後
四十九日とは、故人が亡くなってから49日までの期間のことです。
本来は7日ごとに行われますが、近年は死後7日後と最終日である49日後に行われます。
この法要の際には多くの親族が集まるため、遺品整理について皆で相談するにはよい機会となるでしょう。
遺品整理の際に気をつけるべきことの1つに、1人で勝手に始めないことが挙げられます。
遺品は財産であるため、扱いに関してはほかの親族も交えてきちんと話し合う必要があるからです。
その点、四十九日の法要というのは、親族もあらかじめ承知のうえで集まってくる弔い事なので、遺品整理の話を持ち出すにはよいタイミングです。
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始める時期②:諸手続きの終了後
故人が亡くなったあと、遺族は故人に関するさまざまな社会的手続きを済ませなければいけません。
死亡届の提出・健康保険証の返納といった基本的なことだけでなく、水道代やガスの支払いや停止の手続き・クレジットカードの利用停止手続き・各種サービスの解約手続きなどを、一通りこなす必要があります。
次の支払いが差し迫っているものから順に処理していきましょう。不要な出費を発生させないことが肝心です。
提出すべきものの提出やサービスの解約が一通り終わって落ち着いたら、そのタイミングで遺品整理を始めるというのは1つの考え方となります。
まずは故人と社会をつなげていたものを整理することから始め、最後に故人が残した私物に手をつけるという順序です。
始める時期③:葬儀後
故人の葬儀のタイミングで早めに遺品整理をはじめてしまうのも、よいタイミングであるといえます。
心情的にいえば、遺品を整理することで故人の現世への心残りを取り除き、安心して来世に旅立っていただくお手伝いをする、というようなニュアンスになります。
葬儀の直後に遺品整理するとなるとせわしなくなりますが、たとえば故人が賃貸住宅に住んでいた場合などは、できるだけ早く解約し、引き払ってしまうのが正解です。
次の家賃支払日が来てしまうと、家族や相続人が無用な家賃を支払わなければならなくなるからです。
また遺族の多くが遠くに住んでいてなかなか集まる機会がない場合にも、葬儀や告別式と並行して遺品整理や形見分けを始めるケースが多く見られます。
始める時期④:相続の前
故人が現金や預貯金、有価証券などの財産を持っていた場合、それらを相続する法定相続人には相続税が課せられます。
相続税には状況に応じて非課税枠もありますが、いずれにせよ死後10ヶ月以内に申告・納税しなければいけません。
したがって10ヶ月という期間が、遺品整理の最終的なタイムリミットであるといえるでしょう。
故人が遺したもののなかには、予想外に高価なものが含まれている可能性もあります。そのようなものがあった場合にも、きちんと申告しなければいけません。
さもなければペナルティが課せられてしまうので、注意する必要があります。
始める時期⑤:四十九日前
遺品整理は四十九日前に始めることもあります。遺品整理を四十九日前に始めることで、早く気持ちを落ち着かせられたり、ほかの遺族に遺品を処分されてしまうことを防げたりします。
しかし、四十九日前に遺品整理を始める際には、その旨をほかの遺族に了承を得る必要があります。話し合いもないまま、勝手に進めてしまうのはトラブルの原因になります。
また、遺品整理を始めてしまうと相続放棄ができなくなる可能性があることも理解しておきましょう。遺品を整理すると、相続を認めたと見なされてしまうため、相続放棄を考えている方は安易に遺品整理を始めないように注意してください。
遺品整理を始める際の2つのポイント
遺品整理を始める際に押さえておくべきポイントは、以下の2つです。
- いつまでに終わらせるか決める
- 遺品を分類する
順番に見ていきましょう。
ポイント①:いつまでに終わらせるか決める
遺品整理をおこなう際にきちんとスケジュールを立てずにいると、いつまでたっても整理がつかない可能性があります。
遺品を捨てるのか残すのかは繊細な問題であり、期限を区切らなければいつまでも迷い続けてしまうからです。
遺品整理する前に、まず「いつまでに終わらせるか」を設定しておきましょう。遺品の量や整理に携わる人数によっても必要な時間は変わってくるので、無理のない期間を設けることが大切です。
作業期間を決めてから、日ごとの具体的な作業内容を割り振っていきます。
その日その日の目標がしっかり決まっているかどうかで、作業効率に大きな違いが生まれます。
ポイント②:遺品を分類する
スケジュールを具体的に決めたら、次に遺品を分類しましょう。以下の4通りに分類することをおすすめします。
- 貴重品
- 思い出の品
- 再利用できるもの
- 廃棄するもの
貴重品とは、通帳やクレジットカード、貴金属などです。思い出の品とは、写真や趣味のコレクションなど、お金にはならないけれども大切な形見となるものを指します。
再利用できるものとしては、家電品や家具などが挙げられるでしょう。
そして廃棄するものとしては、もはや誰も使わない紙や革製品、電球やスプレー缶などが該当します。
遺品整理を始める際の注意点
遺品整理を始める際の注意点としては、以下の5つが挙げられます。
- 必要な書類を探す
- ほかの遺族から同意を得る
- 相続放棄する場合には注意する
- 騒音が出る可能性を考慮する
- 想定以上に時間がかかることを考慮する
いずれも大切な要素です。以下の解説を読んで、しっかり把握しておきましょう。
注意点①:必要な書類を探す
まず諸々の手続きに必要となる書類を探し出し、保管しておきましょう。手続きの中には死後いつまでといった期限が定められているものもあり、優先的におこなう必要があります。
遺品整理の際に探しておきたい書類としては、以下のようなものが挙げられます。
- 銀行等の預金通帳
- 印鑑(とくに実印)
- 土地の権利書など不動産関連の書類
- 生命保険や損害保険の証書や関連書類
- 年金の書類や年金手帳
- 有価証券に関する書類、金融資産の書類
- 宝石や貴金属など
- 諸々の契約書
- 現金や商品券
- クレジットカードやキャッシュカード、健康保険証など
また遺書やエンディングノートといった、故人の最後の意思が記されているものが遺されている場合もあります。
そのようなものが見つかったのであれば、内容に沿って遺品整理をおこないましょう。
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注意点②:ほかの遺族から同意を得る
遺品整理をおこなう際には、必ずほかの遺族からの同意を得ておきましょう。ほかの遺族からの同意を得ずに遺品整理をおこなうことは、トラブルの元です。
よかれと思って1人で遺品整理やゴミの処分してあげたとしても、ほかの遺族から「金銭的価値のあるものを先に持ち出したのではないか?」などと疑いを持たれてしまう可能性もあります。
どのような方針で遺品整理をおこなうのか、前もって話しあっておくことでトラブルを未然に防げます。
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注意点③:相続放棄する場合には注意する
自分が故人の相続人であることを知ったときから3ヶ月以内に手続きを取らなかった場合、自分が相続人であることを承認したことになります。これを単純承認といいます。
しかし相続には財産だけではなく故人が残した借金も含まれるので、場合によっては相続したくないこともあるでしょう。
相続放棄する場合には、上記の通り3ヶ月以内に手続きを取る必要があります。
その場合、遺品整理をおこなってしまうことで相続放棄できなくなることがあるので注意が必要です。遺品に手をつけること自体が「相続する意思表示」であるとみなされる可能性があるからです。
注意点④:騒音が出る可能性を考慮する
遺品のなかには大きなものもあり得ます。
たとえば故人が使っていた家具や家電品を持ち出す場合には、ちょっとした引越しのような規模の作業になることもあるでしょう。
このとき騒音を出して近所に迷惑をかけないよう、注意する必要があります。もしどうしても大きな音が出てしまいそうなのであれば、あらかじめ近隣住民に事情を説明し、了承を得ておくことをおすすめします。
注意点⑤:想定以上に時間がかかることを考慮する
故人がどのような生活をしていたかにもよりますが、遺品整理には想像以上に時間がかかります。
現代人の持ち物は非常に多く、すべての遺品の処理方法を1つ1つ決定していくのは、簡単な仕事ではありません。
遺品整理のコツとして「あらかじめ終了期間を決めておくこと」をすでに解説しましたが、その際にはあまり厳しいスケジュールにしないよう気をつけておく必要があるでしょう。
遺族にもそれぞれ生活があるので、遺品整理にばかり時間を割いているわけにもいきません。長丁場になることをあらかじめ想定しておくべきです。
遺品整理をおこなう2つの方法
遺品整理をおこなう方法としては、家族や親族が直接おこなうか、業者に依頼するかの2通りが考えられます。それぞれ見ていきましょう。
方法①:家族や親族でおこなう
故人の遺品を、家族や親族のみで整理するパターンはもちろん今でもあります。故人が遺したものを丁寧に仕分けできることや、費用が抑えられることなどがメリットです。
反対にデメリットとしては、時間と手間がかかってしまう点が挙げられるでしょう。
故人が遺したものを自ら扱いたいか、悲しい気持ちになるためあまり触れたくないか、といった心情的な問題もあります。
方法②:業者に依頼する
遺品整理のもう1つの方法として、仕分けから各種手続きまでをプロに依頼する方法が挙げられます。
遺品整理士の資格を持つ専門家に依頼することで、一通りの作業を安心して任せられるメリットがあります。
デメリットとしては「費用がかかる」「業者によっては大切な遺品をぞんざいに扱ったり、価値のあるものを間違えて処分してしまったりする」などが挙げられるでしょう。
依頼するならば、しっかりしたところに依頼するのが肝心です。
弊社・斎奉閣では、遺品整理もサポートの一環としておこなっております。故人の思いが詰まった大切な品々の整理や、不要家財の整理など、一通りお任せいただけます。
お見積りは無料ですので、ぜひお気軽にご相談下さい。
まとめ
遺品整理をどのようなタイミングでおこなえばよいか、どのような点に注意すればよいかといったことについて解説しました。
故人の遺した私物を処分するのはデリケートなことであり、相続の問題なども絡むため場合によってはトラブルに発展する可能性もあります。
大切な人が亡くなった直後で大変な状況ではありますが、1つ1つの問題に対し冷静に対処していく必要があるでしょう。
この記事を参考にして、ぜひスムーズな遺品整理を進められるようになってください。
また葬儀に関するお悩みがある方は、無料事前相談ページをご覧ください。
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この記事の監修者
鈴鹿地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター
松永英嗣(まつなが ひでつぐ)
タイムプラス 所長
葬儀・法事の知識