お焼香のやり方を3つの形式で解説!マナーや宗派による違いも
仏式のお葬式に参列すると、よほどの例外を除いてお焼香をすることになります。
しかし、仏教の作法に詳しい人でない限り、深く突っ込んだ部分の知識はまったくないというケースが一般的ではないでしょうか。
そこでこの記事では、お焼香に関する詳細な知識をわかりやすく解説。 お焼香とは何なのかという説明から、具体的なやり方、基本的なマナー、宗派による違いなどを、できるだけ噛み砕いて記述しています。
最後まで読むことで、お焼香に関する一通りの知識を身につけられるでしょう。
いったん理解しておけば、葬儀の場でどうすればよいかと悩むこともなくなり、不安な気持ちを抱くことなく参列できるようになるはずです。
目次
お焼香とは
お焼香とは、葬儀あるいは法事の際に、香炉(こうろ)のなかに置かれた焼香炭(しょうこうたん)に抹香(まっこう)などをくべて、故人や仏様に対して拝む作法のことです。
香りや煙を生じさせることが目的であり、そのどちらにも意味があります。
ここではお焼香を以下の3つの要素に分けて解説します。
- お焼香をする意味
- お線香との違い
- お香典との関係性
基本的な部分なので、しっかり把握しておきましょう。
お焼香をする意味
お焼香をする意味は、大きく分けると以下の3つとなります。
- 故人や仏様に対してお供えをする
- 自分や周囲の空間を清浄にする
- 香りによって気持ちを鎮める
一般に「お供え」というとお花や食べ物を想像しますが、お焼香の香りも敬いの心を表すお供えの一種です。
厳粛な香りを故人や仏様に捧げることが、自分の心を示すことにつながっています。
次に、周囲の空間を清浄する意味がある。お焼香を焚く場所は、故人をあの世に送り出す空間であり、仏様をお迎えする空間です。
そのような空間にお焼香の香りや煙を漂わせることで、一時的に俗世と切り離して清めるニュアンスが生まれます。
最後に、香りによって参列者の気持ちを鎮めるリラックス効果です。 現代では日常においても、アロマを炊くなどしてリラックスする人がいます。
ご焼香にも似たような目的があり、香りの力を借りて真摯な気持ちで故人や仏様に向き合おうという意味が込められているでしょう。
お線香との違い
お線香は15cmほどの棒状で、先端に火をつけて使用するものです。
実はお焼香とお線香には、具体的な意味において違いはありません。
お線香を細かくしたものがお焼香であり、どちらも香りや煙を発生させることを目的としています。
ただし、使用される場面に若干の違いが見られます。葬儀が始まる前や、後のお墓参りなどではお線香を使用。
葬儀や法要の最中にはお焼香を使用するのが一般的です。
お香典との関係性
お香典の由来をさかのぼっていくと、お焼香とつながります。
かつては葬儀の際に大量のお香を必要としており、参列者が多くのお香を持ち寄るのが一般的です。
しかし、江戸時代に入ってお線香が広まると、大量のお香が必要なくなったため、代替品として金品を持ち寄るようになりました。
その金品が、現代のお香典の由来であるとされています。
お焼香のやり方
お焼香の基本的な動作は、以下のようなものです。
まず右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香をつまみ、目の高さまで持ち上げます。
これは「おしいただく」と呼ぶ動作です。
※宗派により「おしいただく」「おしいただかない」場合もあります。
そのようにしてつまんだ抹香を、指をこすりながら香炉のなかへと落としていきます。
これを1回から3回行います。
しかし、この基本から分裂する形で、お焼香には以下の3つの種類があります。
- 立礼焼香
- 座礼焼香
- 回し焼香
葬儀によってどの形になるかは分かれるので、3種類すべてを覚えておくのが無難です。
以下の解説を読んで身につけておきましょう。
やり方①:立礼焼香
立礼焼香は、椅子を並べる式場で行われることの多いやり方です。具体的な手順は以下のようになります。
- お焼香の順番が来たら、祭壇に進んで遺族に一礼する
- 焼香台の一歩手前まで歩いていき、遺族や祭壇を見て一礼する
- 宗派ごとの作法にしたがって抹香をつまむ
- 抹香を香炉のなかに落とす
- 宗派ごとの作法に従って、多いときには3回繰り返す
- 遺影に向かって合掌し、一礼する
- 遺影のほうを向いたまま、2~3歩下がって遺族に一礼し、席に戻る
やり方②:座礼焼香
座礼焼香は、畳敷きの葬儀会場で行われることの多いやり方です。
具体的な手順は以下のようになります。
- お焼香の順番が来たら、焼香台の手前で座って遺族に一礼する
- 祭壇の遺影に向かって一礼する
- 立ち上がらずに膝で焼香台まで寄っていき合掌する
- 宗派ごとの作法にしたがって抹香をつまむ
- 抹香を香炉のなかに落とす
- 宗派ごとの作法に従って、多いときには3回繰り返す
- 遺影に向かって合掌し、一礼する
- 祭壇前から下がり、遺族に一礼してから立ち上がって戻る
やり方③:回し焼香
回し焼香は、会場が狭い場合などに行われるやり方です。
お焼香のある場所に自分で向かうのではなく、焼香炉を順番に回していく特徴で、具体的な手順は以下のようになります。
- 香炉が回ってきたら、軽く礼をして受け取る
- 香炉を自分の前に置き、祭壇に向かって合掌する
- 宗派ごとの作法にしたがって抹香をつまむ
- 抹香を香炉のなかに落とす
- 宗派ごとの作法に従って、多いときには3回繰り返す
- 合掌してから一礼する
- 次の人に香炉を回す
お焼香に関する基本的なマナー
お焼香に関する基本的なマナーとして押さえておくべきなのは、主に以下の4つです。
- 数珠を持参する
- 手荷物は少なくする
- 喪主や遺族にはお悔やみの言葉を述べる
- 葬儀に参列する際には喪服を着用する
順番に見ていきましょう。
マナー①:数珠を持参する
数珠は必須の品ではありませんが、手元に持っておくことがマナーであるとされています。
数珠は大きく分けて、以下の2種類です。
- 略式数珠
- 本式数珠
略式数珠は一重であり、どの宗派でも共通して使用できるようになっています。
一方の本式数珠は各宗派に決められた形をしており、108個の玉数が特徴。 仏具としてより本格的な作りになっているため、10,000円から30,000円程度が相場です。
どちらを持参しても問題ありませんが、初めて購入する場合にはとりあえず略式数珠を用意するのがよいでしょう。
注意点として、数珠の貸し借りをしてはいけないことが挙げられます。
数珠は使用者本人の分身・お守りであり、他人に渡す性質のものではないからです。
マナー②:手荷物は少なくする
お焼香をする際には両手で合掌する必要があるので、手荷物が多いと置き場に困ってしまいます。
式場によっては昇降台の手前に荷物置きが用意されていることもありますが、すべての式場においてではありません。
参列する際には、小さめのカバンに最低限のものだけを入れた手荷物で済ませるよう心がけましょう。
マナー③:喪主や遺族にはお悔やみの言葉を述べる
式場で喪主や遺族と顔をあわせたときには、きちんとお悔やみの言葉を述べましょう。
難しい言い回しを選ぶ必要はありません。「このたびはご愁傷様です」と一言添えて、手短に挨拶をすれば大丈夫です。
注意点としては、不幸が続くことを連想させる言葉を避けることが挙げられます。
「重ね重ね」や「たびたび」といった言葉を使わないよう気をつけましょう。
【関連記事】お悔やみの言葉とは?例文やマナー、正しい使い方をわかりやすく解説
マナー④:葬儀に参列する際には喪服を着用する
葬儀に参列する際には、基本的にブラックフォーマルの喪服を着用しましょう。
靴や靴下も黒系統のもので統一し、光を反射するアクセサリーなどは身につけないようにしてください。
ただしお通夜に関しては、訃報を聞きつけて急いで駆けつけたというニュアンスを表すために、平服で参列しても問題ないとされています。
とはいえその場合にも、あまり派手な配色の服装は避けるなどの配慮はしておきましょう。
宗派によって焼香の回数が異なる
お焼香の際に注意すべきこととして、宗派によって回数が異なる点が挙げられます。
代表的な宗派を以下に列挙しておきます。
- 浄土宗:1〜3回
- 浄土真宗:1回(大谷派は2回)
- 真言宗:3回
- 日蓮宗:1〜3回
- 臨済宗:1〜2回
- 曹洞宗:2回
- 天台宗:3回
※宗派により「おしいただく」「おしいただかない」場合もあります。
葬儀に参列するときには、どの宗派にもとづいて行われるのかを事前に把握しておきましょう。
たとえば、斎場で行われるのであれば、スタッフに問い合わせることで、ご遺族の手を煩わせることなく詳細がわかります。
遺族のお焼香のやり方は?
遺族がお焼香をするときも、基本的にやり方は参列者と同じです。
ただし、お辞儀の際に向きを変える点に注意する必要があります。
手順としては、以下のようになります。
- 席を立って僧侶に向かって一礼する
- 参列者に向かって一礼する
- 焼香台まで進み、遺影に向かって一礼する
- お焼香をする
- 1歩下がり、遺影に向かって一礼する
- 僧侶に向かって一礼する
- 参列者に向かって一礼する
僧侶に対する礼を忘れないよう気をつけましょう。
お焼香なしの葬式に参列する場合
宗教によっては、お焼香自体がない場合もあります。日本においては葬儀のほとんどが仏式です。
神式やキリスト教式での葬儀に参列する可能性もあるでしょう。
その場合にはご焼香とは異なる作法が求められます。
たとえば神式であれば、お焼香にあたるのは「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」と呼ばれるものです。
「紙垂(しで)」と呼ばれる玉串を神前に捧げ、故人と神に礼を尽くしましょう。
キリスト教の葬儀では、お焼香の代わりに参列者1人ずつカーネーションなどの献花が行われます。
参列者の数が多い場合には、献花の代わりに全員で黙祷するになる場合もあるでしょう。
【関連記事】これだけ読めば安心!神式葬儀の流れとマナーの基礎知識
まとめ:お焼香のやり方について
お焼香とはどのようなものなのか、具体的にどう行うべきなのか、気をつけるべきマナーは何か、などについて解説しました。
人生において他人の葬儀に参列することは何度あるかは人それぞれですが、日常的なものでないのは共通するところでしょう。
そのため普段は知識をつける機会がなく、いざというときにどうすればよいか混乱してしまいがちです。
この記事を参考にして、しっかりと意味を理解したうえでお焼香ができる状態になっておきましょう。
お葬式について、不安なことがある方はお気軽に斎奉閣へご相談ください。
お客様が安心して故人を送り出せるように、丁寧に対応いたします。
24時間365日無料事前相談を承っております。
【関連記事】家族葬の服装やマナーについて立場別にわかりやすく解説
【関連記事】初七日法要とは?香典や服装、お供え物についてわかりやすく解説 【
関連記事】家族葬と一日葬の違いは?費用や流れについて徹底解説
葬儀・法事の知識