家族葬のマナーを立場別にわかりやすく解説|参列の判断や注意点も
家族葬は身近なものだけで執りおこなう、ひっそりとした葬儀ですが、近しい間柄のみでおこなうからといっても、やはりマナーは必要になります。
たとえば、家族葬の場合はごく少数の人間のみ参列者として招くことになるため、参列できる方とできない方が生まれます。
参列できなかった方があとになって「どうして自分を呼んでくれなかったのか」と不満を漏らすトラブルは、家族葬ならではのものといえるでしょう。
この記事では、家族葬のマナーを立場別にわかりやすく解説するとともに、参列者を選ぶ判断基準や注意点などにも触れていきます。
目次
家族葬で喪主や遺族が気をつける4つのマナー
家族葬において、喪主や遺族が気をつけるべきマナーは以下の4つです。
- 参列基準
- 参列をお断りする方への対応
- 故人の会社への連絡や対応
- 服装
家族葬を問題なく済ませるためには、どれも重要な要素です。1つ1つ解説します。
マナー①:参列基準
家族葬は少人数で執りおこなうものであるため、故人と関係があったにもかかわらず呼ばれない方がどうしても出てきます。
「あの人は呼ばれたのに、なぜ自分は呼ばれなかったのだ」という不満を持たれてしまうと、後々の人間関係に支障をきたします。
家族葬において参列者を決める際に大切なのは、どの範囲までの人物を招くかの基準を明確にしておくことです。
たとえば「故人の友人はお断りする」と決めたのであれば、一部の友人を招いて残りの友人を招かない、といったことは避けるべきでしょう。不公平さが生まれ、トラブルの元となるからです。
マナー②:参列をお断りする方への対応
家族葬への参列を遠慮していただく場合には、その旨を丁寧にかつ明確に伝えましょう。
はっきりと伝えることはとても重要です。曖昧な表現を使ってしまうと、お断りしていることがうまく伝わらず、当日になってその方が参列者として来てしまう可能性もあるからです。
お断りする場合には、失礼にならないようにきちんと理由も添えます。
故人や遺族の意志により、近親者のみで葬儀をおこなうことを明記しておきましょう。
「誠に勝手ながら、通夜および葬儀は近親者のみで執りおこないますので、弔問等はご遠慮くださいますようお願い申し上げます」
このように書いておけば、納得していただけるはずです。
マナー③:故人の会社への連絡や対応
故人が会社員であった場合には、会社への連絡が必要です。
会社側にも対応しなければならないことが数多くあるので、身内だけで家族葬をおこなうのであれば、その旨をしっかりと伝えておきましょう。
一般葬であれば、会社関係者も葬儀に参列することも多いです。
一般葬であるか家族葬であるかは、会社関係者にとってはスケジュール調整のうえでとても大きな違いです。
家族葬であることをなるべく早く会社に連絡しておくのは、マナーの1つであるといえます。
マナー④:服装
通常の形で家族葬をおこなうのであれば、家族葬と一般葬とで服装の違いはありません。
喪服を着るのは故人に対する気持ちの表現なので、葬儀の形式とは関係がないからです。
正喪服と呼ばれるものに関していえば、男性ならば黒のモーニングコートや紋付き羽織袴、女性ならば黒のワンピースや着物などになります。
ただし家族葬の場合、身内だけの葬儀なので、参列者の了解を得られるのであれば平服も可能となります。
全員が納得しているのであれば、葬儀にオリジナリティを出しても問題はないからです。
家族葬をする際の3つの注意点
家族葬をする際の注意点としては、以下の3つが挙げられます。
- 誰に知らせるか注意する
- 参列者が多い場合には一般葬にする
- 葬儀後に挨拶状を送る
いずれも忘れてしまうとトラブル発生の原因となりかねないので、以下の解説を読んでしっかり把握しておきましょう。
注意点①:誰に知らせるか注意する
参列していただくかどうかにかかわらず、故人が亡くなったことを関係者に知らせることは大切です。
とくに故人の兄妹姉妹、親しい友人などにはきちんと訃報を知らせておきましょう。
そのうえで参列をご遠慮いただくのであれば、その旨をきちんと伝えておきます。
また、故人が現役で仕事をしていた人間であれば、仕事の関係者にもしっかりと連絡しておかなければいけません。
場合によっては、ほんの数日連絡が遅れただけでも先方の業務に支障が出る可能性もあります。連絡は速やかにおこないましょう。
【関連記事】家族葬はどこまで呼ぶ?参列者の決め方や決める際の注意点をわかりやすく解説
注意点②:参列者が多い場合には一般葬にする
家族葬という形をとる予定だったにもかかわらず、参列者が多くなりそうな場合には、一般葬に切り替えることを考えましょう。
公正取引委員会の「葬儀の取引に関する実態調査報告書」には、家族葬について以下のように定義されています。
「親族や親しい友人など親しい関係者のみが出席して執り行う葬儀。通夜・告別式,火葬等は一般葬と同様に執り行われる。
※ 本調査においては,参列者50名未満の葬儀を家族葬と定義した。」
引用元:葬儀の取引に関する実態調査報告書
この定義にしたがうのであれば、参列者が50名を超えたところで一般葬を執りおこなうべきだ、となります。
注意点③:葬儀後に挨拶状を送る
葬儀を済ませたあとには、参列してくださった方々にきちんと挨拶状を送っておきましょう。
故人のためにわざわざ参列してくださったことへのお礼だけでなく、故人が生前お世話になったことに対するお礼の意味も含まれています。
「挨拶しておく」ことには社会的に重要な役割があるので、決して忘れないようにしてください。
家族葬に参列する際のマナー
家族葬に参列する立場のマナーとしては、以下の5つが挙げられます。
- 参列の判断方法
- 参列する際の服装
- 香典は渡すべきか
- 会食には参加する
- 参列したことを口外しない
順番にみていきます。
身内に不幸があった際のマナーは以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
【関連記事】身内に不幸があったらまず何をする?正しい言い方やマナーについて
マナー①:参列の判断方法
一般葬においては、訃報や葬儀の知らせを聞いたのであれば、できる限り駆けつけることがマナーとされています。
しかし家族葬には当てはまりません。家族葬を選ぶことには「近しい者達だけで静かにおこないたい」という意志が込められているからです。
したがって家族葬の場合は、遺族から参列をお願いされた場合のみ注文するのがマナーであり、そうでない場合には控えておくべきとなります。
マナー②:参列する際の服装
家族葬であったとしても、服装はいわゆるブラックフォーマルで整えておくのが基本です。
男性であればシングルまたはダブルのブラックスーツ、女性であれば黒無地や目立たない織り柄のワンピースやアンサンブル、スーツとなります。
光の反射が目立つ金属製の金具などは、できるだけ小さいものにしておくべきでしょう。
【関連記事】家族葬の服装やマナーについて立場別にわかりやすく解説
マナー③:香典は渡すべきか
一般葬であれば香典は渡すことが多いですが、家族葬の場合は遺族の意向により辞退されることもあります。
葬儀の案内に香典などを辞退する旨が記載されていた場合には、持参する必要はありません。
香典のたぐいに関して案内状に何も書かれていなかった場合には、念のため用意しておくことをおすすめします。
香典は現金を香典袋に包むことで成立するものなので、用意しておかないとその場ではどうにもできないからです。
マナー④:会食には参加する
家族葬に参列をお願いされたということは、故人と最後にお別れして欲しいという思いで遺族から声をかけられたということです。
故人と親しい関係にあったことを汲んでもらっているのだと理解する必要があります。
したがって遺族から食事の誘いがあった場合には、受けるのがマナーです。
時間の許す限り、食事をしながら故人の思い出を語り合うことによって、故人を偲ぶだけでなく、遺族の思いにも応えられます。
マナー⑤:参列したことを口外しない
家族葬に参列したことは、口外しないのがマナーとなります。
家族葬のことを周囲に触れ回ってしまうと、「せめて故人に手をあわせたい」と考える人物が、遺族の元に弔問に訪れる可能性があるからです。
家族葬を終えたばかりで疲れている遺族にとって、それは心身とともに負担となります。
秘密主義というわけではありませんが、家族葬に参列したことは胸の内に秘めておきましょう。
もちろん、ある程度の期間が過ぎたあとであれば、1つの思い出として語ることは問題ありません。
【関連記事】葬儀に参列する際のマナーとは?服装や香典のマナーを解説
まとめ
お悔やみの電話や弔問などは後日、ご遺族が落ち
なお、お香典やお供えは、喪家に確認してからお持ちいたしましょう。
家族葬といっても、遺族として家族葬を執りおこなう場合と、他者の家族葬に参列する場合があります。
どちらについても、それほど特別に考える必要はないことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
大切なのは故人や遺族、故人の関係者の気持ちに配慮することであり、それがしっかり押さえられているのであれば、おのずと取るべき行動も見えてくるはずです。
この記事を参考にして、ぜひ滞りなく家族葬を進められるようになってください。
また、葬儀に関するお悩みがある方は、無料事前相談ページをご覧ください。
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この記事の監修者
葬儀・法事の知識