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直葬でよく起こるトラブル5つ!対策や対処法をわかりやすくご紹介

公開:2022.11.24

直葬は、通夜や告別式を執り行わず、火葬のみで故人を見送る葬儀形態です。
参列者を招いたり祭壇を飾ったりしないため、葬儀の費用が抑えられるメリットがありますが、一般的な葬儀と異なる点も多く、やり方によっては親族や友人、知人、菩提寺などとトラブルになるケースもあります。

本記事では、直葬でよく起こる5つのトラブルと、具体的な対処法について詳しく解説します。

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直葬でよく起こるトラブル5つ

直葬は、通夜や告別式、葬式などのセレモニーをすることなく、火葬式のみで執り行われる葬儀形態です。

  • 費用が安価に抑えられる
  • 高齢者や遠方の親戚の身体的負担が軽減できる
  • 参列者への対応が不要

など様々なメリットがあり、少子高齢化社会、核家族化、近所づきあいの希薄化などを背景に、近年増加傾向のある葬儀形式です。
しかし、様々な要因でトラブルが生じるケースもあります。直葬で多いトラブルの具体例について解説します。  

トラブル①:費用について

直葬にかかる費用は、エンディングデータバンク調べによると平均32.7万円で、一般的な葬儀より費用が大幅に抑えられる傾向です。
ただし、手配の仕方や地域により費用は変動し、遺族の希望により以下の追加費用が発生するケースもあります。

  • 火葬場での読経:僧侶へのお布施(5~10万円程度)
  • 戒名:(平均相場は15~20万円)
  • 自宅安置の搬送料

また、直葬は参列者による香典が見込めないため、基本的に遺族の持ち出し費用(自己負担)が発生します。
事前に概算費用や支払い方法を把握しておかないと、費用が払えない、思ったより費用が高額で不満が残る、といったトラブルに発展しかねないため注意が必要です。

引用元:Ending Data Bank 火葬式の平均費用  

トラブル②:親族について

直葬は、親族から理解を得られないことによるトラブルが生じる事例もあります。 葬儀に関する考え方(宗教観)や故人への思いの相違により、通夜や告別式、葬儀をしない事に関する十分な理解を得られない場合があるためです。
特に高齢の親族からは

  • 昔ながらの盛大な一般葬で見送ってあげたい
  • 参列者がいないのは故人がかわいそう
  • 祭壇がなくても供養ができるのか

といった不満の声が上がるケースが多々あります。
直葬に関するトラブルにより、親族と葬儀後に疎遠になる事例もあるため注意が必要です。  

トラブル③:友人・知人について

直葬は、基本的に子どもや孫など近親者のみで執り行われ、故人の友人や知人は最期のお見送りに立ち会えません。

そのため、故人と親交が深かった方や最期を見送りたいと考えていた方から、クレームが生じトラブルに発展するケースもあります。
故人が亡くなって悲しい気持ちは遺族も友人や知人も変わりません。
故人と生前親交を深めてくださった方々に対する配慮も、忘れないようにしたいものです。
 

トラブル④:寺院について

直葬は、故人がお亡くなりになった後ご遺体を24時間安置し、火葬場で直接お見送りをする葬儀形態です。
宗教的な儀式が執り行われないため、菩提寺に断りを入れず独断で直葬を執り行う行為は失礼にあたり、納骨堂やお墓へのご遺体の納骨を断られるトラブルに発展する場合もあります。

菩提寺の住職様の理解が得られず、先祖代々の墓の改葬(別の墓地や納骨堂への移転)が必要になった事例もあるため注意が必要です。  

トラブル⑤:葬儀社について

直葬は、依頼する葬儀社により費用が異なるため、事前にしっかり調べておかないと、費用面に納得がいかず後日トラブルに発展する場合があります。

直葬に対応している葬儀社の多くは「直葬プラン」「火葬式プラン」などパッケージプランの提供がありますが、安いもので10万円台、高いもので40万円以上と価格帯の幅が広いためです。

また、プランに含まれるサービス内容が葬儀社によって異なり、格安プランで申し込んだはずが、オプションを追加していくうちにトータルの費用が高額になる場合もあります。

【関連記事】葬儀社の選び方のポイントを徹底解説  

直葬で起こるトラブルの対策をそれぞれ解説

直葬で起こるトラブルを回避し、円滑に執り行うための対処法について解説します。  

費用で起こるトラブルの対策

直葬の費用に関するトラブルを回避するためには、葬儀に入るまえに「何にどれだけお金がかかるのか」をしっかり把握しておくことが重要です。
火葬終了後に「思ったより高額だった」「自分で手配すればよかった」など後悔しても遅いからです。

  1. 遺族が直接手配する
  2. 葬儀社に依頼する
  3. 葬儀ブローカーに依頼

直葬の手配方法は上記の3パターンがあり、費用面に違いがあります。
遺族による直接の手配は、費用が抑えられる反面、短時間で直葬に必要な準備や諸手続きを遺族がすべて行わなくてはなりません。

葬儀社への依頼は、直接手配より費用はかかりますが、直葬に関する一連の流れが全ておまかせできます。
葬儀ブローカーは、葬儀社より低価格帯の傾向がありますが、業者によりサービス内容や費用の当たりはずれがあります。 身体的負担と金銭的負担のバランスを考慮したうえで、手配方法を選びましょう。  

親族で起こるトラブルの対策

直葬における親族とのトラブルの回避には、直葬をする旨と、直葬の流れ・形式をしっかり伝え、事前に親族の了承を得る必要があります。
とはいえ、葬儀に関する価値観の違いから直葬になかなか理解が得られず、親族から反対されるケースもあります。

  • 故人の意向であること
  • 通夜や葬儀は行わないが法事等で供養は行うこと
  • 葬儀後の納骨やお墓のこと

などの事項を伝え、理解を得ましょう。  

友人・知人で起こるトラブルの対策

故人の友人や知人とのトラブル回避には、直葬で執り行う旨の案内状をあらかじめ出しておくとよいでしょう。
直葬の事後報告は、先方の気分を害する恐れがあるためです。故人の友人・知人への案内状には、以下の内容を組み込めばスムーズです。

  • 近親者のみで葬儀をする
  • 直後の弔問は遠慮してほしい
  • 納骨後や四十九日後など、弔問にきてほしい時期
  • 故人の意思であること

また、告別式や葬儀が行われないため、故人と親交のある友人や知人が後日弔問に訪れる可能性があります。
弔問客が重なり、遺族が対応に苦慮するケースも少なくありません。

故人に社会的な地位がある場合や、交友関係が広い場合には、故人をしのぶための「お別れの会」の開催も視野にいれるとよいでしょう。  

寺院で起こるトラブルの対策

菩提寺のある家庭は、直葬前に住職への相談が必須です。
菩提寺とは普段から付き合いのある寺院で、無断で直葬を執り行ったために納骨を拒否されたり、先祖代々の墓の移転を余儀なくされたりといった事例もあるためです。

一般的な葬儀は、僧侶を招いて通夜や告別式を執り行い、故人に戒名を授けた上で納骨するのが流れです。
一方で直葬は宗教的な儀式が簡略化されており、葬儀に関する菩提寺とのかかわりがありません。

事前の相談により、火葬前や納骨前の僧侶による読経など、菩提寺に何らかの形で供養に関与してもらえばスムーズです。  

葬儀社で起こるトラブルの対策

葬儀にかかる費用を抑えたくて直葬を選んだはずが、高額の支払いが生じて後悔することのないよう、経験と知識が豊富で料金体系のシンプルな葬儀社への相談が重要です。
葬儀社の直葬プランは、最初に提示された金額が安くても、オプションの追加により最終的に高額になるケースもあるため、料金だけでなくプランに含まれるサービス内容もチェックしておきましょう。

生前から直葬の意向がある方は、葬儀社への資料請求や見積依頼、無料相談会の参加などにより、金額やサービス内容を十分比較検討するとよいでしょう。  

コロナ禍の直葬に関するトラブルの事例

長引くコロナ禍が要因の、直葬トラブルの事例をいくつか紹介します。  

高額の追加費用が発生

故人がコロナウイルス感染症で亡くなると、葬儀社によっては「特殊作業料」や「コロナ感染症対策料」といった追加料金が発生するケースがあります。
ご遺体からの感染リスクを考慮し、スタッフが感染症対策を十分にとったうえで、通常とは異なる手順でご遺体のケアや火葬をする必要があるためです。
金銭的なトラブルを回避するためには、本当に必要な金額なのか見積書を十分確認する必要があります。  

【関連記事】コロナ禍での家族葬はどうなる?葬儀の流れや気をつけるポイントを紹介

受け入れを断られる場合もある

ご遺体からの感染リスクが考えられるため、葬儀社に受け入れの体制が整っていない場合、直葬の依頼を断られるケースもあります。
また、葬儀社に依頼した場合でも、火葬場の規定により遺族による立ち合いは難しく、火葬後ご遺族が遺骨を受け取るケースがほとんどです。  

まとめ

直葬を執り行うにあたって多いトラブルと、具体的な対処法を紹介しました。 直葬は、通夜や告別式をせずに近親者のみで執り行うシンプルな葬儀のため、円滑に進行するためには、親戚や友人・知人、菩提寺など周囲への配慮が不可欠です。

直葬をご検討中の方の事前相談、お見積りは斎奉閣までお気軽にお問い合わせください。

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▼気軽にご相談ください。   この記事の監修者

竹森 資洋(たけもり たかひろ) 名張・伊賀地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター