お葬式後について

初盆とは?新盆との違いや、お布施の金額相場、マナーをわかりやすく解説

公開:2022.07.08

初盆とは?新盆との違いや、お布施の金額相場、マナーをわかりやすく解説 故人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことを「初盆」といいます。
通常のお盆とはやるべきことが異なるため、初盆の知識をあらかじめ理解しておくことが大切です。

今回は初盆でやるべきこと、新盆や通常のお盆との違いや、お供え物にかかる金額の相場などについて詳しく解説します。

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初盆とは?

初盆(はつぼん)とは、故人が亡くなってから四十九日を終えたあとに初めて迎えるお盆のことです。

お盆は故人が家族のもとへ帰ってくるとされる日であり、故人が心地よく過ごせるようにさまざまな準備を行います。
特に初盆は故人初めて迎える特別な日と捉えられているため、通常のお盆よりもより手厚く儀式を行うケースが一般的です。

そのため、初盆の期間中は通常のお盆では行わない行事の数々が組み込まれます。

【関連記事】四十九日法要とは?計算方法や香典、お布施の基礎知識を徹底解説  

新盆との違い

初盆に似た言葉で「新盆(にいぼん・あらぼん・しんぼん)」がありますが、意味に違いはありません。 初めてのお盆は地域によって呼び方が異なり、主に西日本で初盆、東日本で新盆と呼ばれています。  

普段のお盆の違い

初盆は普通のお盆と違い、儀式としての性質を強くもつ行事です。

故人を始めて迎える特別な日である初盆は、四十九日法要から続く供養行事として大規模な儀式が行われます。
具体的には僧侶を呼んで読経をしてもらったり、参列者と会食の席を設けたりします。

その一方で、普通のお盆は親族で故人を迎えることが目的なので、供養行事というよりは「身内の集まり」という性質が強いです。

やることは親族で故人の話をしたりお墓参りをしたりする程度に留まるため、初盆のようにかしこまった会食を行うこともあまりありません。
初盆と普通のお盆の内容を比較すると、以下の通りになります。

  • 法要/初盆:行う 、普通のお盆:通常は行わない
    ※一部地域やお寺の檀家などでは行うこともある
  • お墓参り/初盆:行う、普通のお盆:行う
  • 会食/初盆:行うことが多い、普通のお盆:会食という形式ではあまり行われない
    ※必ず行うという決まりはない  

初盆の時期は?

一般的な初盆の時期は普通のお盆と同じく8月13日~16日ですが、地域によっては以下の時期を初盆とする場合があります。

【地域 時期】

  • 全国 8月13~16日
  • 東京都・神奈川県・静岡県の一部地域・東北地方など 7月13日~15日・16日
  • 北海道・東日本の一部・関西地方・沖縄県など(旧盆) 旧暦の7月13日~15日・16日
  • 東京都多摩地区(勝手盆) 7月30日~8月1日または7月31日~8月2日

ただし、故人が亡くなってから49日目を過ぎていない場合は、上記の期間に差し掛かっても初盆は行いません。
仏教では「故人は49日間現世を旅しており、最後の日にどこへ行くかが決まる」と考えられているからです。

また、四十九日法要と初盆の時期が近くなる場合は注意が必要です。
例えば故人が6月25日に亡くなると、ちょうど49日目が8月13日にあたるためお盆の時期と重なります。

四十九日法要は49日目より少し前の日付に行うため、その後すぐに初盆を行うことは可能です。
しかし短期間で立て続けに初盆も行うとなれば、準備が非常に慌ただしくなります。

加えて遠方からやってくる親族には休暇を2回分取ってもらわなければならないため、現実的なスケジュールとは言えません。

この場合、四十九日法要と初盆を一緒に行うか、四十九日法要だけ行って翌年に初盆を行うことをおすすめします。
どちらの方が良い・悪いとは言えないため、家族や菩提寺などに相談すると良いでしょう。  

初盆の準備について

初盆は普通のお盆よりも大規模で行われるため、相応に準備することも多くあります。
済ませておくべき準備は、大きく分けて以下の7つです。

  1. 開催日時を決める
  2. 僧侶の手配
  3. 参列者への連絡
  4. 会食する場所を決める
  5. 引き出物の手配
  6. 初盆飾りを用意する
  7. お布施を用意する

初盆は参列者全員が集まりやすい日時に調整したうえで、早めに連絡をしておきましょう。

また、お盆の時期はお寺の繁忙期となるため、僧侶のスケジュール確認も必須です。
開催日時が決まり次第、すぐにお寺へ連絡することをおすすめします。

会食する場所は自宅とお店のどちらを選んでも問題ありません。
自宅で行う場合は自分たちで料理を用意するか仕出し弁当を依頼し、お店で行う場合はあらかじめ初盆で利用する旨を伝えて予約をしましょう。

なお、法要会館では法要と会食を同じ建物の中で済ませることができます。
初盆で使う飾りについては、普通のお盆と同じく「盆提灯」や「盆花」などを使用します。

盆提灯には白提灯と絵柄入りの提灯の2種類がありますが、初盆の場合は白提灯を飾りましょう。
白提灯は初盆にしか使わないため、終了後は菩提寺で焼いて処分してもらいます。  

初盆の流れをご紹介

初盆の大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 仏壇・祭壇の準備と飾り付け
  2. 法要
  3. お墓参り
  4. 会食
  5. 送り火

初日に仏壇や祭壇の飾りつけやお供えをして、迎え火を焚きます。
中日である14日と15日には参列者全員で法要とお墓参りを行い、最後に会食をするという流れが一般的です。

最終日となる15日または16日は、夕方に送り火を焚いて故人を見送ります。  

初盆のお供え物

仏壇や祭壇には飾りつけの他にお供え物も必要です。
ここでは、初盆に必要なお供え物について解説します。  

お供えする物

初盆に必要なお供え物は、以下の通りです。

  • 精霊馬
  • そうめん
  • ほおずき
  • 水の子
  • 仏飯
  • 野菜または果物
  • だんご
  • お菓子

基本的には初盆でも、普通のお盆にお供えするものと変わりはありません。  

お供え物の金額相場

お供え物は喪家側だけでなく、参列者側も用意することが一般的です。
お供え物にかける金額の相場は3千円~5千円程度ですが、故人と付き合いが深い場合は1万円以上のものを選ぶと良いでしょう。  

初盆のお布施の金額相場

法要にて読経を依頼する僧侶には、謝礼としてお布施をお渡しします。

お布施の金額は宗派によって異なりますが、3万円~5万円程度が相場です。
僧侶が会食に参加しない場合はお食事代、遠方から来てもらう場合はお車代も別で渡す必要がありますが、お寺で法要を行う場合は不要です。

【関連記事】お布施とは?金額相場や渡すタイミングなどを分かりやすく解説  

初盆はマナーに気をつけよう

普通のお盆は里帰りや家族での集まりという感覚から、普段着で臨む方も多いです。

しかし初盆は「法要」のひとつであるため、葬儀と同じく喪服を着用しましょう。
男性は無地の白シャツと黒いスーツ・ネクタイ、女性は黒井ワンピースやアンサンブルが適しています。
アクセサリーはなくても問題ありませんが、身に付ける場合はパールのネックレスやイヤリングを選びましょう。

子供は制服の着用が基本ですが、制服がない場合は黒またはネイビーのボトムスに白シャツという組み合わせがおすすめです。

また、参列者側のマナーとして不祝儀の用意も必須です。
金額は1万円~5万円が相場となっており、祖父母や孫の場合は1万円~3万円、友人や知人の場合は1万円程度が一般的です。

「御仏前」か「御供物」の表書きで、黒と白の組み合わせか双銀の水引がかかった袋を使いましょう。  

初盆は宗教ごとに捉え方が違う

初盆の捉え方は、宗派や宗教によって以下の通り異なります。 【宗派・宗教/捉え方】

  • 浄土真宗/故人は没後、仏となってどこにでも存在するため初盆でも特別な儀式は行わない。
  • 日蓮宗/お線香は1本だけ使い、焼香は1回しか行わない。
  • 念仏は「南無妙法蓮華経」と唱える。
  • 真言宗/故人だけでなく、ご本尊にもお参りをする。
  • 神式/故人は家を守ってくれる神様として扱い、精霊棚を飾って神職に祝詞を奏上してもらう。
  • キリスト教/基本的に初盆は行わない。

宗派や宗教以外にも、地域や各家庭での考え方によって初盆のやり方が異なる場合もあります。
事前に自分の上の世代や住職、葬儀会社のスタッフなどにご相談して故人に最もふさわしい初盆となるよう計画を立てましょう。

【関連記事】無宗教葬儀とは?流れやマナー、供養の方法を解説  

初盆のよくある質問

最後に、初盆に関してよくある質問を回答と共にまとめました。

Q.初盆の準備はいつから始めるべきですか?
A.家庭ごとに準備期間は異なりますが、おおむね1カ月半~2カ月前までに始めておくと余裕をもって済ませることができます。

Q.参列者へのお返しは何にするべきですか?
A.お菓子やお茶の詰め合わせ、洗剤、タオルセットなどが一般的です。

Q.マンションで初盆を迎える場合の迎え火・送り火はどうしたら良いですか?
A.マンション住まいの場合は規約や周囲へ迷惑を掛けないことを優先し、無理に火を焚くことは避けるか素焼きのお皿の上に焚くことをおすすめします。  

まとめ

初盆とは、故人が亡くなってから49日後に初めて迎えるお盆のことです。

捉え方ややり方は宗教・宗派によって異なる場合がありますが、基本的には普通のお盆よりもかしこまった行事と認識されています。

準備するべきことが多いため、余裕をもって早めに計画を立て始めましょう。
また葬儀に関するお悩みがある方は、無料事前相談ページをご覧ください。

▼気軽にご相談ください。    この記事の監修者

藤田 悠(ふじた ゆう) 四日市地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター