葬儀・法事の知識

ご臨終とは?危篤との違いや亡くなった後に遺族がすることを紹介

公開:2023.07.19  更新:2024.02.15

ご臨終とは?危篤との違いや亡くなった後に遺族がすることを紹介 どんなに親しい人であっても、いつかは必ず亡くなります。
その事実を受け入れて、日頃からさまざまな備えをしておかなければいけません。
ただ、お墓を用意すればそれで済むという話ではなく、一連のプロセスを、知識として一通り身につけておく必要があります。

この記事では、まず人が亡くなること、すなわち臨終(りんじゅう)について細かな定義などを解説。
そして、危篤との違いやご臨終の前後にすべきこと、亡くなったあとに遺族がするべきことなどについてもわかりやすく説明します。

最後までお読みいただき、親しい人が亡くなった場合に気を確かに持って冷静に行動できるようになっておくとよいでしょう。

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ご臨終とは

ご臨終とは ご臨終は本来、死を迎える間際のことを指す言葉です。かつてはこのような使い方をしていました。
現代では、シンプルに人が亡くなることを「ご臨終」と表現する場合がほとんどです。
ドラマなどのフィクションで、医者が病人の瞳孔や脈拍などを確認しますよね。
「ご臨終です」と家族に伝えるシーンを見たことがある人は多いのではないでしょうか。 おそらくこのようなイメージが積み重なって、意味が変わってきたのだと思われます。

ご臨終は仏教用語の「臨命終時(りんみょうじゅうじ)」を略した言葉です。
文字通り「命の終わりの時に臨む」ことを指し示しており、冒頭でも解説した通り、いよいよ死に直面するその状況のことを表現しています。

現代において、ご臨終という言葉は、仏教的なニュアンスをある程度そぎ落とした形で使われる傾向にあります。
たとえば医者が「ご臨終です」と口にするとき、故人の宗教を考慮しているわけではありません。
単純に亡くなったことを丁寧に表現する目的で、この言葉が使われていると考えられます。

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危篤との違い

危篤とは、命の危険が迫っていると担当の医師が判断した状態を指します。
ご臨終とは異なり、危篤は医学用語に近いものだといえるでしょう。

たとえば以下のような状況が危篤のわかりやすい例です。

  • 入院中に容体が悪化して、回復が期待できない
  • 大きな事故に遭って、死が近づいていると判断できる

医者は滅多なことでは危篤であると判断しません。
したがって医者から危篤と告げられた場合には、基本的には回復の見込みはないと覚悟を決めるべきでしょう。

ただし、危篤に陥ったからといって必ずしも亡くなるとは限りません。
危篤と判断されたあと意識を取り戻すケースもあります。

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危篤から臨終までの期間

危篤から臨終までの期間 危篤から臨終までの期間は、短ければ数時間から半日、長くても2~3日以内と見ておくべきでしょう。
具体的に、どのような原因で危篤に陥ったかによって異なります。

たとえば、病気と事故で、さまざまな意味で捉え方が違ってくるのはいうまでもありません。 危篤状態になってから臨終までのあいだ、人は以下のような状態です。

  • 意識が薄れる
  • 反応が弱くなる
  • 会話ができなくなる
  • 呼吸のリズムが乱れる
  • 肌の色が変わる
  • 手足が冷たくなる

これらはいずれも、最期のときが近づいていることを示すものだと考えられます。  

危篤を聞いたらやるべきこと

危篤を聞いたらやるべきこと 自分に近い人間が危篤状態に陥ったと聞いたら、何を差し置いても以下の2つをやっておくべきです。

  1. 身内と職場に連絡する
  2. なるべく早く本人と面会する

順番に見ていきます。  

身内と職場に連絡する

まずは危篤状態に陥った人の身内や職場に、当人が危篤状態にあるという事実を連絡しましょう。
危篤状態になったということは、残念ながら高い確率で近いうちに亡くなってしまうことを意味します。
その前に当人に会いたいという人もいるでしょうし、亡くなった後の準備を色々と整えなければならない立場の人もいるでしょう。
そういった人々にできるだけ時間の猶予を与えるためにも、連絡はできるだけ早く済ませるべきです。 ま
だ生きているにもかかわらず、亡くなったあとのことを考えて準備を始めるのは非情であると感じる人もいるかもしれません。
確かに不謹慎と思われかねない言動もあるので、そういったことには気をつける必要があります。
現実問題として、危篤状態に陥った人は多くの場合、遠からず亡くなってしまいます。

人が亡くなるというのは大ごとであり、あの世を送り出すにもさまざまな準備が必要です。 それらを考えるのであれば、人の死に対して先回りで動くのも、ある程度仕方ないことだといえるでしょう。  

なるべく早く本人と面会する

本人が亡くなる前に顔を見ておきたいと考える人は、なるべく早く面会に訪れましょう。
すでに解説した通り、危篤状態に陥った人間は、短ければ数時間、長くても3日ほどで亡くなってしまうことがほとんどです。

それまでに病院に駆けつけられなかった場合、生きた状態の本人と向かい合うことは二度とできなくなってしまいます。
キャンセルや延期ができない用事を抱えている人は仕方がありませんが、そうでない場合は可能な限り、早い段階で駆けつけましょう。  

臨終の前後に行なわれること

臨終の前後に行なわれること 臨終の前後に行なわれることは、以下の3ステップです。

  1. 医師から危篤が告げられる
  2. 家族や親族へ連絡をする
  3. 臨終を迎えたあと、医師が死亡を確認する

すでに解説したことと重複する部分もあるので、ここではざっくりと解説していきます。  

医師から危篤が告げられる

ほとんどの場合、人は病院で亡くなります。何らかの理由で即死してしまうこともありますが、大抵は医師から危篤が告げられます。
危篤状態に陥ったからといって必ずしも亡くなるわけではありませんが、宣告されたら基本的に、周囲の人間は死を覚悟する必要があります。  

家族や親族へ連絡をする

医師から危篤を告げられたら、本人の家族や親族へ連絡をします。
このとき、どこまでの範囲に連絡するかについて明確な決まりはありません。
本人の普段の人間関係次第です。  

臨終を迎えたあと、医師が死亡を確認する

残念ながら回復することなく臨終を迎えた場合、医師が死亡を確認します。
日本においては、医師の死亡確認がなければ人が亡くなったと解釈されることはありません。 1人の人間をあの世に送り出すにあたって、医師の死亡確認は必ず踏まえなければならないプロセスです。  

亡くなったあとに遺族がすること

亡くなったあとに遺族がすること 亡くなったあとに遺族がすべきことは、以下の通りです。

  • 末期(まつご)の水をとる
  • エンゼルケアをする
  • 遺体を安置する
  • 葬儀を手配する
  • エンディングノートを確認する
  • 必要な手続きを行う

一つひとつ解説します。  

末期(まつご)の水をとる

人が亡くなると、まず末期の水をとります。故人の口に水を含ませる儀式のことです。
故人に対して行なわれる最初の儀式となります。
この儀式は、お釈迦様が亡くなる直前、弟子とのあいだで水を飲むことに関するやり取りをしたことからの由来です。
安らかに旅立ってほしいという願いを込めています。  

エンゼルケアをする

次にエンゼルケアを行います。エンゼルケアは伝統的には死化粧と呼ばれたものを、現代的に表現した言葉です。
故人が安らかな寝姿に見えるよう、遺体を整える作業となります。
エンゼルケアをするのは、主に葬儀のスタッフや看護師です。
遺族が行なっても問題はありません。
しかし、専門的な技術も必要であるため、参加したい場合もお手伝いにとどめておくのが一般的なケースになります。  

遺体を安置する

整えた遺体は、しっかりと安置し、その後火葬までにある程度の時間があります。
それまでに納棺の儀式などいくつかのことをこなすことが必要です。
火葬をすると二度と姿を見ることはできなくなるので、
それまでにお別れをして気持ちを整えておくことが大切です。  

葬儀を手配する

遺体を無事に安置できたら、速やかに葬儀の手配をする必要があります。
基本的には、葬儀社に連絡をすればあとのことは一通り進めてもらえます。
遺族が細かく指示をする必要などはありません。
また、葬儀社自体、病院側から紹介してくれることもあります。  

エンディングノートを確認する

故人が生前に書き残したメッセージのことを、エンディングノートといいます。
遺言とは違って法的な効力はありませんが、故人の最後の意思が書かれたものであり、重要であることに変わりはありません。
エンディングノートに書かれていることは多種多様です。 財産について記載している場合もあれば、家族1人1人へのメッセージが書かれている場合もあります。
いずれにせよ、すべてをしっかり確認する姿勢が大切でしょう。

【関連記事】エンディングノートとは?メリットや書き方のコツをご紹介  

必要な手続きを行う

お墓の手配や香典返しの準備など、必要な手続きを行う必要があります。
遺族はまさに悲しみの真っ只中にいる状態ですが、それでも忙しく立ち回らなければいけません。
しかし、人によってはその忙しさで、直後の悲しみがある程度和らぐという場合もあります。 もしかしたらそのような効果があるから、遺族が忙しくしなければならない伝統が続いているのかもしれません。

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臨終に立ち会うときの考え方

臨終に立ち会うときの考え方 臨終に立ち会うときの考え方としては、以下の2つを念頭に置いておきましょう。

  1. 故人に後悔が残らないようにする
  2. 気持ちをきちんと伝える

順番に見ていきます。  

故人に後悔が残らないようにする

故人がまだ意思疎通できる状態であれば、危篤状態になる前にできるだけ多くの希望や要望を叶えてあげましょう。
故人と親しかったのであれば、まだ元気だったときに本人の口からさまざまなことを聞かされていたはずです。
そのすべてを叶えることは難しいかもしれませんが、できる限りのことは臨終までに形にしてあげるべきでしょう。  

気持ちをきちんと伝える

故人に何か言い残したことがあるならば、きちんと伝えておきましょう。
その時にネガティブなことを口にするべきではありません。
伝えるべきなのは、主に感謝の気持ちです。
故人がいてくれたことでどれだけ幸せだったのか、具体的な思い出とともにしっかりと本人に伝えておきましょう。
それは故人のためだけでなく、自分自身のためにもなります。  

まとめ:臨終について

まとめ:臨終について 臨終というものについて、改めて一通りのことを解説しました。

社会において、人が1人亡くなるというのはとても大きなことです。
悲しいとかつらいといった感情的なことだけでなく、社会的・法的な意味でも重要な出来事となります。
一生のうちどこかで必ず、身近な人間が臨終を迎える機会はあります。
普段からその覚悟をしておくことはなかなか難しいかもしれません。

ですが知識として一通りのことを身につけておくことは、いざというときの強みになるでしょう。

この記事を参考にして、臨終というものとしっかり向き合えるようになっておいてください。

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▼気軽にご相談ください。   この記事の監修者

笹浦久朋(ささうら ひさとも) 桑名地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター