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家族葬で香典は必要?香典の相場やマナー、香典返しについて徹底解説

公開:2023.02.09

家族葬で香典は必要?香典の相場やマナー、香典返しについて徹底解説 最近では一般葬ではなく家族葬を選ぶ方も増えています。

故人と親しい間柄だった人たちだけで、ひっそりと送り出そうという考え方が浸透してきているからです。
しかし一般葬と家族葬の違いについて、正しく理解していない人も多いのではないでしょうか。

たとえば家族葬において香典は必要なのか。必要だとして、相場はどれくらいなのか。
家族葬におけるマナーは一般葬のマナーとどう違うのか。
香典返しや、香典以外で哀悼の意を示す方法としてどのようなことが考えられるのか。

家族葬をおこなう側になった場合にも、他人の家族葬に関わることになった場合も、疑問はたくさん浮かぶと思います。

この記事では、家族葬における香典のあり方について一般的なことを解説します。
最後まで読んでおけば、家族葬において香典をどのように扱えばよいかで迷ってしまうことはなくなるでしょう。
また、香典以外でどのように哀悼の意を表せばよいかにも触れているので、ぜひしっかり読んで把握しておきましょう。

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家族葬に香典は必要?

まず結論として、家族葬においても基本的に香典は必要となります。

家族葬と一般葬で異なるのは参列者を呼ぶ基準であり、葬儀の内容自体に根本的な違いはないからです。
香典は故人と遺族に哀悼の意を表す手段としてもっとも基本的なものであり、家族葬においてもしっかり用意しておくべきものとなります。

現実的な話として、葬儀にはお金がかかるので、香典は遺族を経済的に支援する機能を果たしています。
家族葬は一般葬に比べて規模が小さいので、かかるお金も比較的少ないとはいえますが、それでも一定以上の費用がかかるのが通常です。

露骨なお金の話には嫌悪感を抱く方もいるかもしれませんが、経済的な意味でも香典が重要であることは把握しておく必要があるでしょう。  

香典を辞退する際の文例

上記で解説したように、家族葬であっても香典を用意するのが一般的な習わしです。
しかし遺族の意向で、参列者から香典をいただくことを辞退するケースもあります。 葬儀にかかった費用を回収することよりも、もっと重要な人間関係の事情がある場合などには、香典をいただかないという選択肢も現実的なものとなります。

香典を辞退する際の伝え方としては、以下のような点に気をつけておくとよいでしょう。

  • 「誠に勝手ですが」「お気持ちだけでも頂戴いたします」など、なるべく角の立たない表現を使用する
  • 香典をいただかないことが故人の意思であることを伝える

また香典を辞退する際には、葬儀社へ相談するのもおすすめのやり方です。
香典を辞退する旨を記載した看板を設置する、などの提案をしてくれるかもしれません。 その場合には、葬儀社がきちんとした文面を考えてくれるでしょう。  

家族葬の香典の相場

家族葬の香典の相場は、おおむね以下のようになっています。

  • 両親:30,000~100,000円
  • 祖父母:10,000~50,000円
  • 兄弟:30,000~50,000円
  • 親戚:5,000~10,000円

上記はあくまでも相場であることに注意してください。

実際にどれくらいの香典を包むのが適切であるかは、生前の故人との関係性の強さによって決まってきます。
また参列者の経済的な事情も無視できません。
生活に困っているにもかかわらず、「相場が〇〇なので」という理由で無理に大金を包む必要はないでしょう。

そのような行為は故人も望むところではないはずです。 【関連記事】香典の金額の相場とは?故人との関係性や年齢別で解説  

家族葬の香典返し

家族葬の香典返しの相場は、基本的には一般葬と変わりありません。

地域によって慣習も異なるので一概にはいえませんが、おおむねもらった金額の3分の1、もしくは半額をお返するのが相場となっています。
地域ごとの具体的な違いが知りたければ、葬儀社に相談してみることをおすすめします。

葬儀社は香典返しも含めた一切のことに慣れているので、その地域の慣習に応じた適切なやり方を教えてくれるはずです。
香典返しのタイミングには2種類あります。
当日にお返する「即返し」と、後日にお返する「後返し」です。
即返しの場合は、葬儀において香典をいただいた全員に、その場で同じ品物をお返します。 後返しの場合は、1つの大きな区切りである四十九日の法要が終わったあとに香典返しをおこないます。  

家族葬に参列する側の香典マナー

家族葬に参列する側の香典マナーとしては、以下の4つが挙げられます。

  1. 参列しない場合は香典を送らない
  2. 4と9は避ける
  3. 表書きは宗派によって異なる
  4. 訃報連絡はしっかり確認する

どれも大切なことなので、以下の解説を読んでしっかり把握しておきましょう。  

マナー①:参列しない場合は香典を送らない

葬儀に参列しない場合は、基本的に香典を送らないのがマナーです。

哀悼の意を示したい気持ちはあるかもしれませんが、香典を送ることによって逆に遺族の皆様に香典返しについて気を遣わせてしまう可能性があるからです。
とくに、故人が亡くなったことを知らせる訃報連絡に「香典を辞退させていただく」旨の記載があった場合は、絶対に香典を送ってはいけません。
遺族のお気持ちを踏みにじることになります。  

マナー②:4と9は避ける

家族葬における香典の相場は、一般葬とほとんど違いはありません。

一般葬より小規模な葬儀になるのが通常ですが、だからといって香典を少なめにしないよう注意してください。
香典の金額については、なるべく4と9のつく数字を避けるようにしましょう。

4と9はそれぞれ「4(死)」「9(苦)」という縁起の悪い言葉を連想するものであり、葬儀の場において不適切です。 1・3・5のつく金額を包んでおけば問題ないでしょう。  

マナー③:表書きは宗派によって異なる

香典は現金をそのまま渡すわけではなく、香典袋に包んで渡すことになります。

その際に注意すべきなのは、香典袋の表書きとして何を書くべきかが宗派によって異なることです。
たとえば仏教においては「御霊前」「御香典」などと記載するのが一般的ですが、浄土真宗のみ「御仏前」となります。
なぜなら浄土真宗においては、人間は死を迎えた瞬間に仏となるため、いわゆる霊としてさまよう時間が存在しないとされているからです。

また仏教以外の宗教においては、神道の場合には「御霊前」、キリスト教の場合には「御花代」「御花料」などと記載するのが一般的な作法となります。  

マナー④:訃報連絡はしっかり確認する

はじめに訃報の連絡をいただいたとき、その内容はしっかり確認しておきましょう。
なぜなら訃報の連絡とはあくまでも故人が亡くなったことを知らせるものに過ぎないからです。

訃報の連絡をよく読んでみると、身内のみで葬儀をおこなうという理由で参列を断っているかもしれません。

また参列に招待されているとしても、香典を辞退する旨が書かれているかもしれません。
訃報の連絡をよく読まずに、招かれてもいないのに参列したり、遺族が辞退している香典を出してしまったりするのは、明らかなマナー違反です。注意しましょう。

【関連記事】訃報の連絡とは?連絡すべき人や文例をご紹介  

香典以外で哀悼の意を示す場合

香典以外でも哀悼の意を示す方法はあります。
たとえば供花や供物を送ることでも、十分に弔意を示すことは可能です。 もちろん家族葬の場合は供花や供物も辞退していることがありますので、事前にそれらを確認する必要があるでしょう。
しかし基本的には、香典を辞退している遺族に対しては、何も送らなくてもマナー違反にはなりません。

香典を辞退するという行動のなかに、物を送ってもらうことを基本的にお断りするというニュアンスが含まれているからです。  

家族葬の香典は遺族の意向にあわせる

家族葬における香典の扱いでもっとも大切なのは、遺族の意向にあわせることです。

故人と親しかったからなんらかの形で哀悼の意を示したいと考えるのは自然なことですが、それが遺族の意向と異なるものであれば、無理に押し付けるべきではありません。
家族葬において大切なのは、周囲に気を遣わなくてよい形で故人を送り出すことです。

ほかの誰よりも悲しんでいるであろう身近な遺族の気持ちを最優先に考えましょう。
その他家族葬についてわからないことがあれば、家族葬のQ&Aをまとめているページがございますので、こちらを参考にしてください。  

まとめ

家族葬における香典の扱いについて、具体的なことを解説しました。

家族葬は葬儀の内容や形式に関しては一般葬と変わりないので、同じように考えても問題ありません。

しかしひっそりと故人を送り出したいという遺族の意向に大きな違いがあるので、その点を汲み取る必要があります。

この記事を参考にして、正しい形で家族葬と関われるようになってください。

また葬儀に関するお悩みがある方は、無料事前相談ページをご覧ください。

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▼気軽にご相談ください。   この記事の監修者

中子 靖広(なかこ やすひろ) 津地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター