【見本付き】御仏前の書き方を宗教別に解説!包む・渡すときのマナーも紹介

公開:2022.08.19  更新:2024.10.29

【見本付き】御仏前の書き方を宗教別に解説!包む・渡すときのマナーも紹介

故人に捧げるお供物や香典で使用する表書きのことを、御仏前(おぶつぜん、またはごぶつぜん)といいます。
御仏前という名称は耳にしたことがあっても、その概要や書き方までは理解できていない方も多いのではないでしょうか。

この記事では御仏前の基本に触れながら、書き方やマナーについて説明します。
連名での書き方や郵送のマナーなど、さまざまな観点について触れているので、ぜひ参考にしてください。

▼気軽にご相談ください。

 

御仏前とは

まずは、御仏前に関する基本知識として、以下の2つを解説します。

  • 意味
  • 御霊前との違い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

意味

御仏前(ごぶつぜん)とは、仏様になった故人に捧げるための不祝儀袋に使用する表書きのことです。
成仏した故人に対して供えるお金のことを指します。

お金だけでなく、お供物として用意するお菓子や果物の掛け紙にも使用します。
故人に供えるものを対象にした表書きだと認識しておけば、問題ありません。

御仏前は一般的に、故人の命日から四十九日を目安に供えるものです。
これは、四十九日を過ぎることで故人の魂が仏様になると考えられているためです。
御仏前を供える場合は、故人の命日から四十九日経ったかどうかを目安にしてください。

なお、御仏前は旧字体を用いた「御佛前」と書くケースもありますが、読み方や意味は同じです。

 

御霊前との違い

御仏前と似た言葉に、御霊前(ごれいぜん)があります。
御霊前は、仏様になっていない故人に対するお供物のことです。
つまり、命日から四十九日が経過していない場合のお供物は、御霊前に分類されます。

仏式の場合、四十九日前には御霊前を使用するのが一般的です。
ただし、浄土真宗では亡くなった故人はすぐに仏になると考えられているため、四十九日前でも不祝儀袋やお供え物の表書きには御仏前を使用します。

故人へお供物を送る際は、御仏前と御霊前の違いを理解しておくことが大切です。
初七日法要の香典やマナーを知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

【関連記事】初七日法要とは?香典のマナーやお供え物、服装などについてわかりやすく解説

 

【宗教別】御仏前に代わる書き方

御仏前に代わる宗教別の書き方は、以下の3つです。

  1. 仏式の場合
  2. 神式の場合
  3. キリスト教式の場合

マナー違反とならないよう、違いを見ていきましょう。

なお、斎奉閣では葬儀に関する悩みを相談できる無料事前相談を実施しています。
御仏前や宗派別の書き方についての疑問解消やマナーに不安を感じる方は、お気軽にお問い合わせください。

 

書き方①:仏式の場合

仏式の場合、御仏前に代わる書き方には、下表の表書きがあります。

表書き

使うシーン

御霊前(ごれいぜん)

仏式・神式・キリスト教式霊前に金品を供える場合に用いる
※仏式では御香典や御香料の使用が一般的

御香典(ごこうでん)

故人の霊前に香の代わりに供えるお金包みに用いる
※仏式のみ使用可能

御弔料(おとむらいりょう)

会社(団体)関係の葬儀に、会社(団体名)で弔慰金などを包む場合に用いる
※仏式のみ使用可能

御霊前は仏式で用いるのが一般的ですが、模様のない不祝儀袋を使用する場合は宗教が異なっても書いて問題ありません。
ただし、前述した浄土真宗やプロテスタントでは御霊前を使用しないため、注意しましょう。

 

書き方②:神式の場合

神式で用いる表書きは、下表の通りです。

表書き

使うシーン

御神前(ごしんぜん)

神様になった故人に捧げ供えるの意味があり、神式の表書きとして一般的に用いる

御玉串料(おたまぐしりょう)

弔事のほか神の霊に供える意味で、一般神事にも用いる
※仏式のみ使用可能

模様のない不祝儀袋を使用する際は、御霊前と書いても問題ありませんが、あらかじめ神式だとわかっている場合は御神前や御玉串料を使用しましょう。

 

書き方③:キリスト教式の場合

キリスト教式では、御花料(おはなりょう)が一般的に用いられています。
御花料とは、キリスト教の弔事において遺族に渡す金品などに使用する表書きのことです。

プロテスタントとカトリックで表書きは異なりますが、御花料はどちらでも使用可能です。
なお、プロテスタントの場合は表書きに御霊前と書くのはマナー違反に当たるため、使用は控えましょう。

国内でキリスト教式葬儀を執り行う割合は少ない傾向といえますが、万が一参列する機会があった場合に備えて覚えておくと安心です。

 

御仏前の基本的な書き方

ここでは御仏前の書き方について、以下4つの観点から解説します。

  1. 表書き
  2. 中袋
  3. 金額
  4. 住所

それぞれの項目について、詳しく見てみましょう。

 

書き方①:表書き

御仏前の表書きは、不祝儀袋の中央上部に「御仏前」と記載するのが一般的です。
故人への思いを大切に、たとえ時間がなくても丁寧に書きましょう。

中央上部に御仏前と記載したら、その少し下に自分の名前を書きます。
表書きは最初に目にする場所なので、誰が見ても丁寧に書いたことがわかるように書くことが大切です。

なお、連名の書き方について詳しく知りたい方は、後述の「御仏前を連名で書く際の基礎知識」を参考にしてください。

 

書き方②:中袋

中袋とは、不祝儀袋に付属している白い封筒のことです。
中袋は表面・裏面それぞれに書き方があります。
表面には、御仏前として供える金額を記載してください。

裏面には、自分の住所と名前を記載します。
中袋が付属していない場合は、不祝儀袋の裏面に上記の項目を記載するのが一般的です。
最近では必要項目を記載する場所が印字されたものも多いので、書き方に自信がない方でも安心して綺麗に書けるでしょう。

 

書き方③:金額

金額を書く際は、下表のように漢数字を使用するのが一般的です。

金額

書き方

3,000円

金参仟圓

5,000円

金伍仟圓

7,000円

金七仟圓

1万円

金壱萬圓

3万円

金参萬圓

5万円

金伍萬圓

7万円

金七萬圓

10万円

金拾萬圓

金額の前には「金」を記入することも、あわせて覚えておきましょう。
ちなみに御仏前の金額は、親族の場合は1〜3万円、知人の場合は5,000〜1万円が相場です。

地域の慣習や親族間で金額が決まっている場合もあるので、御仏前を用意する前に確認しておくことをおすすめします。
なお、香典の金額相場について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

【関連記事】香典の金額相場は?故人との関係性や年齢別でわかりやすく解説

 

書き方④:住所

住所を書く際は、中袋の裏面か、不祝儀袋の裏面に直接書きます。
郵便番号を表す「〒」を書いたら、縦書きで住所を記載してください。

番地や部屋番号などは金額と同様、漢数字で記載するのが一般的です。

 

御仏前を書くときに使う筆記用具

御仏前を書くときに使う筆記用具は、以下の2つです。

  1. 薄墨の筆・筆ペンで書く場所
  2. ボールペンで書いてもよい場所

それぞれ書いてよい場所を見ていきましょう。

 

薄墨の筆・筆ペンで書く場所

御仏前は、薄黒の筆または筆ペンを使用するのが一般的です。
薄黒の筆を使用する理由は故人をなくした悲しみの涙が墨を薄めたという説や、取り急ぎ用意したといった説があります。

薄黒の筆または筆ペンで書く場所は、下表の通りです。

外袋

・表書き
・名前

中袋

・金額
・住所
・名前

ただし、地域によっては薄黒の筆を使用せず黒の筆で書く場合もあります。
薄黒の筆を使わないからといって、必ずしもマナー違反となるわけでないことも覚えておきましょう。
心配な場合、薄黒の筆を使用してもよい地域か事前に確認してみてください。

 

ボールペンで書いてもよい場所

中袋に関しては、ボールペンを使用できます。
文字数が多くなる部分を薄黒の筆で書くと見えづらくなるだけでなく、見栄えが悪くなるためです。
ボールペンで書いてもよい場所は、中袋の以下の箇所になります。

  • 金額
  • 住所
  • 名前

薄黒の筆で書いた際、文字がつぶれたり滲んだりして見にくい場合は、ボールペンを使用しましょう。
中袋に必要事項を書くときは受け取った遺族が情報を把握できるよう、ボールペンで丁寧にはっきりわかりやすく書くのが大切です。

 

御仏前を連名で書く際の基礎知識

ここでは、御仏前を連名で書く際の基礎知識として、以下の2つを解説します。

  1. 御仏前を連名で書くパターン
  2. 連名での書き方

それぞれチェックしていきましょう。

 

御仏前を連名で書くパターン

御仏前は、夫婦・団体の場合に連名で書かれることがあります。
夫婦が連名で御仏前を書く場合は、以下の観点を事前に理解しておくことが大切です。

  • 夫婦として故人と深い関わりがあった場合に連名で御仏前を書く
  • 夫婦で揃って葬儀に参列する場合も同様
  • あくまで御仏前は世帯単位で用意するのが一般的
  • 世帯単位の場合は夫の名前を記載すればよい

ちなみに親子でも連名で御仏前を書くことがあります。
子供に収入がない場合は、父親(夫)の名前を書くのが一般的です。
ただし、子供に収入がある場合は夫婦とは別に御仏前を用意する必要があります。

団体の場合は学生時代の友人や会社関係者など、故人と縁のある複数人で用意する場合は連名で御仏前を書きます。
連名で書いた御仏前は、参列者の代表者が渡すようにしましょう。

 

連名での書き方

御仏前を連名で書く場合は、以下の書き方を参考にしてください。

【夫婦の場合】

  • 不祝儀袋の中央に夫の名前を書く
  • 左側に妻の名前を書く
  • 夫が参列できない場合は名前の左下に「内」と小さく書く

【親子の場合】

  • 子供に収入がない場合は不祝儀袋の中央に父親の名前を書く
  • 連名の場合は中央に世帯主、左に子供の名前を書く

【団体の場合】

  • 団体の場合は不祝儀袋に3名まで名前を書ける
  • 目上の人から順に右から書く
  • 4名以上の場合は「団体名 一同」と記載するのが基本

 

【書き方以外も】御仏前の準備で押さえたいマナー

書き方以外に御仏前の準備で押さえたいマナーは、以下の4つです。

  1. お札の入れ方
  2. 香典袋の折り方
  3. 袱紗(ふくさ)の包み方
  4. 香典の渡し方

故人や遺族に気持ちを伝えられるよう、正しい知識を身につけましょう。

 

マナー①:お札の入れ方

不祝儀袋にお札を入れるときに押さえておきたいマナーは、以下の通りです。

  • 肖像画が書かれた面は、中袋の裏側にする
  • 肖像画は下向きに入れる
  • お札の向きはすべて揃える
  • のりやシールで中袋に封をするのは避ける

中袋の裏側は贈り主の名前や住所を書くため、封をするのと反対方向に肖像画の顔を向けると覚えておきましょう。
なお、肖像画の向きは、地域によって異なる場合があります。

また、中袋に封をする必要はありませんが、受け取る人以外が開封しないよう「〆」または「緘」の封字を書いておくのがおすすめです。

 

マナー②:香典袋の折り方

香典袋の折り方には「悲しみの涙をため込まないように」という意味があるため、正しいかぶせ方を覚えましょう。
正しい香典袋の折り方は、以下の通りです。

  1. 外袋の中央に中袋を置く
  2. 外袋を左右に折りたたむ
  3. 先に下部を折り返し、上部が上になるようにする
  4. 表面に結び目が来るように水引をつける

下部が上にくる場合は「幸せを取りこぼさないように」という慶事の意味合いとなるため、間違えないよう注意してください。
なお、中袋を使用せず香典袋に直接お札を入れてもマナー違反にはなりません。

 

マナー③:袱紗(ふくさ)の包み方

不祝儀袋はむき出しのままバッグや上着のポケットに入れず、袱紗に包んで持ち歩くのがマナーです。
弔事における袱紗の正しい包み方は、以下の手順となります。

  1. 不祝儀袋を袱紗の真ん中に置き、右側から包む
  2. 先に下部を折りたたみ、上部が上になるように包む
  3. 残った左側の角を折り重ね、余った部分を下側に巻き込む

下部から上部を折りたたむ理由は、香典袋と同様「悲しみの涙をため込まないように」という意味があるためです。
なお弔事の際、袱紗はグレーなどの寒色を選ぶのがマナーになりますが、紫の無地は慶弔どちらでも使用できます。

 

マナー④:香典の渡し方

香典の渡し方のパターンは、以下の2つです。

  1. 連名の場合
  2. 郵送する場合

パターン別に解説するので、参考にしてください。

 

連名の場合

連名での御仏前は、個人で用意するよりも金額を多く用意できます。

ただし、遺族が香典返しの負担を感じないよう、適正な金額を用意することが大切です。
連名で御仏前を用意する場合の金額相場は、およそ5,000〜1万円ほどといわれています。
1人あたりでの金額相場は、1,000〜2,000円が妥当でしょう。

御仏前を用意する全員分の金額を合計した際の数字には、4と9が入らないようにするのもマナーです。
4と9は「死」や「苦しみ」を連想させる忌み言葉のため、この金額に該当する場合は調整しなければなりません。

 

郵送する場合

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、御仏前を直接手渡せないという場面も増えています。
直接御仏前を渡せない場合は、宅配やレターパックなどで郵送しましょう。

書き方や金額相場などは、手渡しの場合と大きな差はありません。
ただし、郵送の場合は御仏前に手紙を添えるのがマナーです。
手紙を添える際は、以下のポイントを把握したうえで準備してください。

  • 縦書き・薄色の便箋を選択する
  • 薄墨で書く
  • 忌み言葉・重ね言葉を避けて書く
  • 不幸が重なることを連想させないよう、二重封筒は避ける

御仏前に添える手紙の文章は、お悔やみの意志が伝わる文章を書くのが一般的です。
書籍やネットで閲覧できる見本を参考に、故人との関係性を加味した文章を記載しましょう。

なお、お悔やみの言葉や伝える際のマナーを知りたい方は、こちらの記事をあわせて参考にしてください。

【関連記事】お悔やみの言葉とは?例文やマナー、正しい使い方をわかりやすく解説

 

御仏前の書き方に関するよくある質問

御仏前の書き方に関するよくある質問は、以下の3つです。

  1. 中袋なしの香典袋を使ってもよい?
  2. 御仏前用の香典袋はデザインにも配慮すべき?
  3. プリントやスタンプより手書きのほうがよい?

それぞれの回答を見ていきましょう。

 

質問①:中袋なしの香典袋を使ってもよい?

不祝儀袋によっては中袋がないため、あえて中袋を用意しなくてもマナー違反にはなりません。
中袋がない場合は、表書きを記載する封筒などの裏面に、金額・住所を記載するのが一般的です。

表面に関しては、中袋がある場合と同様に「御仏前」と記載しましょう。
中袋なしの御仏前は書き方が若干異なるだけで、そのほかのマナーは中袋ありの場合とほとんど変わりません。

 

質問②:御仏前用の香典袋はデザインにも配慮すべき?

香典袋のデザインは、宗教や宗派にあったものを選びましょう。
各宗教や宗派で用いられている香典袋のデザインは、下表の通りです。

宗教・宗派

香典のデザイン

仏式

水引き

・白黒
・双銀
※一部の地域では黄色の水引を使用する場合あり

デザイン

・無地
・蓮の花

神式

水引き

・白黒
・双銀
※一部の地域では黄色の水引を使用する場合あり

デザイン

無地

キリスト教式

水引き

なし

デザイン

・無地
・十字架
・ユリの花

無宗教や宗派がわからない場合は、白黒または双銀の水引と無地のデザインを使用します。
また、蓮の花がデザインされている香典袋を使用できるのは、仏式の場合のみです。

 

質問③:プリントやスタンプより手書きのほうがよい?

御仏前は、できる限り手書きしたものを渡しましょう。
プリントやスタンプでもマナー違反ではありませんが、受け取った相手によっては、心がこもっていないと思ってしまう場合があるためです。

手書きだと字がきれいに書けなくても気持ちが伝わりやすく、相手へよい印象を与えられます。
書き方のマナーを踏まえたうえで、御仏前は丁寧に心をこめて手書きしたものを渡しましょう。

 

まとめ:御仏前の書き方について

御仏前とは、仏様になった故人に捧げるための不祝儀袋に使用する表書きのことで、宗教や宗派によって書き方が異なります。
書き方だけでなく、香典袋のデザインやお札の入れ方などにも決まりがあるため、マナー違反とならないよう、知識を深めておきましょう。

なお、斎奉閣では御仏前の書き方をはじめ、渡し方のマナーといった葬儀に関するさまざまなサポートを提供しています。
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この記事の監修者

笹浦久朋(ささうら ひさとも)桑名地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター

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