死別から立ち直るまでの期間はどれくらい?長引く要因や乗り越える方法も

公開:2025.05.29  更新:2025.06.07

死別から立ち直るまでの期間はどれくらい?長引く要因や乗り越える方法も

死別は、人生における辛い経験の1つです。
身近な家族や知人を失った心の傷は深く、立ち直るまでに時間がかかることもあります。

死別による悲しみは、必ずしも時間が解決するとは限りません。
大切な人の死を受け止め、前向きに過ごすためには、適切な方法で心の変化と向き合っていくことが大切です。

この記事では、死別から立ち直るまでの期間はどのくらいか詳しく解説します。
死別から立ち直るまでに起こる心の変化や悲しみを乗り越える方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

▼気軽にご相談ください。

 

死別から「立ち直る」とは

死別から「立ち直る」とは、悲しみや喪失感が薄れ、以前とほとんど変わらない程度まで元気を回復することです。
悲しみからの回復とは、具体的に以下のような状態を意味します。

  • 自分なりに故人の死を受け入れられている
  • 故人なしの人生に適応していく過程にいる
  • 悲しみと共に生きていける
  • 故人との出来事を思い出して懐かしさを感じられる
  • 生活に希望や関心を持てる など

死別から「立ち直る」とは、ご自身の生活を再建していくプロセスであり、故人を忘れることでは決してありません。
死別による悲しみや喪失感が消えていなくても、感情を整理しながら新しい生活に意味を見出せるようになると、少しずつ元気を回復できるでしょう。

 

死別から立ち直るまでの期間はどれくらい?

死別から立ち直るまでの期間を左右する要因の1つが、ご自身と故人との関係性です。
あくまで平均ですが、親との死別であれば3年ほど、配偶者や子どもを亡くした場合は4年半〜5年ほどの期間がかかるとされています。
また、若い方と比べて高齢者のほうが立ち直るまでに時間がかかる傾向があります。

ただし、死別から立ち直るまでの期間には個人差があります。
時間の経過とともに少しずつ悲しみがやわらぐ方もいれば、立ち直るまでに10年以上かかる方もいます。
大切なのは無理に期間を意識せず、ご自身のペースで故人との別れと向き合うことです。

 

死別から立ち直るまでに起こる心の変化

死別から立ち直るまでに起こる心の変化に関して、代表的な2つの考え方があります。

  1. グリーフワークの4段階
  2. 悲嘆12のプロセス

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

グリーフワークの4段階 

グリーフワークとは、死別時に受ける悲しみから立ち直るためのプロセスを4つの段階で示しています。

1.ショック期

ショックを受けて無感覚のような状態になる

2.喪失期

自責感や怒りといった強い感情が繰り返し現れる

3.閉じこもり期

うつ状態になって無気力になる

4.再生期

死別による悲しみを乗り越え、新たな生活に希望や関心を持てる

死別後すぐは、一見冷静に見えて、実際はショック状態のために反応が現れていないだけの場合がほとんどです。
なお、人によってはいくつかの段階が同時に起こる場合や、行ったり来たりを繰り返すケースも珍しくありません。

グリーフワークのプロセスで生じるさまざまな感情には個人差があるものの、通常は時間とともに心が変化し、少しずつ回復に向かいます。

 

悲嘆12のプロセス

悲嘆12のプロセスとは、死別による悲しみから立ち直る過程をより詳細に示したものです。
ドイツ出身の哲学者であるアルフォンス・デーケンが提唱した12段階のプロセスは、下表のとおりです。

1.ショックと感情の麻痺

ショックで何も考えられない

2.否認

大切な人の死はきっと間違いであると考える

3.パニック

さまざまな感情が一気に押し寄せ、情緒が不安定になる

4.怒りと不当感

自分だけが辛い思いをしているように感じられる

5.敵意と恨み

大切な人の死を何かのせいにする

6.罪意識

過去の行動を振り返って後悔の念にかられる

7.空想形成・幻想

故人がまだ生きているかのように振る舞う

8.孤独感と抑うつ

深い悲しみによって孤独感が強くなる

9.精神的混乱と無関心

周囲の出来事に関心を示さなくなる

10.あきらめからの受容

悲しみを乗り越えていく意志が現れる

11.新しい希望
(ユーモアと笑いの再発見)

楽しかった出来事や嬉しかった経験を思い出せるようになる

12.立ち直りの段階
(新しいアイデンティティの誕生)

死別から立ち直って新しい人生を歩み始める

死別から立ち直るまでの過程において、死を受け止めることを目標にする方も少なくありません。
しかし、死を受け止めるまでにかかる時間やプロセスは、人それぞれの性格や置かれている環境、故人との関係性などによって異なります。

悲嘆12のプロセスは、死別によって経験する心の変化を理解するうえで、役立つ指標だといえるでしょう。

 

死別から立ち直るまでの期間が長引く要因

死別から立ち直るまでの期間が長引く主な要因は、悲しみに蓋をしてしまうことです。
死別を経験すると、「悲しみを感じたくない」「周囲に迷惑をかけたくない」といった気持ちから、感情を無理に押さえ込もうとする方も少なくありません。

しかし、悲しみに蓋をしてしまうと、いつまでも心を整理できず、立ち直るまでの期間をかえって長引かせてしまいます。
特に思い出の品に触れたり、記念日・命日が近づいたりすると、悲しみが再来するでしょう。

死別から立ち直るまでに、悲しみや苦しみが繰り返し現れるのは自然なことです。
ご自身の感情とその都度向き合っていくことは、元気に回復するための必要なプロセスと覚えておきましょう。

 

死別から立ち直るまでの期間を短くする方法

死別から立ち直るまでの期間を短くするための主な方法は、以下の3つです。

  1. ありのままの感情を受け入れて表出する
  2. 同じ境遇の方と気持ちを共有する
  3. グリーフケアの専門家へ相談する

周囲のサポートを受けられると、死別の悲しみを乗り越える支えになります。
なお、身近な人の死をきっかけとしたストレス対処法を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

【関連記事】身近な人の死によるストレスと心身の変化|心の痛みを和らげる方法も解説

 

方法①:ありのままの感情を受け入れて表出する

ありのままの感情を受け入れて表出すると、死別から立ち直るまでの期間が短くなります。
泣いたり怒ったりすることは、心の回復に必要なプロセスです。
ご自身の感情を否定せずにありのまま表出しているうちに、大切な人との別れを少しずつ受け入れていけるものです。

死別を乗り越えるまでのプロセスでは、さまざまな心の動きがあります。
悲しみを感じるのは自然なことであると考え、ありのままの感情を受け入れましょう。

 

方法②:同じ境遇の方と気持ちを共有する

死別から立ち直るまでの期間を短くするためには、大切な人を亡くした経験がある方と気持ちを共有することも方法の1つです。
同じ境遇の方と話しているうちに、「悲しみを抱えているのは自分だけではない」という気持ちになり、孤独感や不当感などがやわらぐ場合があります。

各法要やお別れ会なども、悲しみを共有し互いに癒すための良い機会になるでしょう。
また、家族や知人だけではなく、自助グループに参加して同じ境遇の方とお互いの気持ちを語り、分かち合う場を持つこともおすすめです。

 

方法③:グリーフケアの専門家へ相談する

死別から立ち直るまでの期間を短くするためには、専門家への相談も効果的です。
専門家によるアドバイスによって、死別の悲しみを乗り越えるために、適切な心のケアができるようになります。

グリーフケアとは、大切な人を亡くした方に対し、悲しみや苦しみを乗り越えるためのサポートを提供することです。
グリーフケア外来や遺族外来では、専門の医師やカウンセラーが1人ひとりの状況に応じたサポートをしています。
専門家の力を借りることで、悲しみを乗り越えるまでの期間が短くなるでしょう。

なお、グリーフケアの概要や必要性について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

【関連記事】グリーフケアとは?失った(人・物・事)を丁寧に思い起こし、大切に覚え続けるための心の準備をする支援

 

死別の悲しみから少しずつ立ち直りたい方は

死別の悲しみから立ち直るまでには長い期間が必要です。
死別を経験後、ご自身のさまざまな感情と向き合い続けることは、決して簡単ではありません。

グリーフケアは、斎奉閣をはじめとする斎場でも受けられます。
斎奉閣は、三重県内で22会館を展開し、葬儀施行数No.1(※)の実績を誇る地域密着の斎場です。
※当社調べ/2024年1月~12月の四日市市、いなべ市、東員町、桑名市、菰野町、亀山市、津市、名張市、伊賀市内の斎奉閣・和ごごろ22会館合計葬儀施行数

斎奉閣には、現在5名のグリーフケア士が在籍しています。
そのうち1名は三重県初となる上級グリーフケア士の資格を保有し、経験豊富な専門家が死別の悲しみに寄り添いサポートします。
死別の悲しみから少しずつ立ち直りたい方は、ぜひグリーフケアページをご覧のうえ、気軽にお問い合わせください。

 

まとめ:死別から立ち直るまでの期間は人それぞれ

死別から立ち直るまでの期間は、故人との関係性などによって3〜5年ほどかかります。
中には10年以上かかるケースもあるように、死別から立ち直るまでのプロセスは人それぞれです。

身近な人との別れを受け入れるためには、同じ境遇の方と気持ちを共有したり、グリーフケアの専門家に相談したりすることも方法の1つです。
死別の悲しみから少しずつ立ち直りたい方は、ぜひ斎奉閣のグリーフケアページをご覧ください。

グリーフケアとは

  • 食欲がない
  • 体がだるく疲れやすい
  • 理由もなく泣き出す
  • 大切な人の死を防げなかった自分に罪悪感を覚える
  • 人生がむなしく感じ、意味のないものに思える

このようなときにグリーフケア士をお頼りください

この記事の監修者

中山貴資(なかやま たかし)名張・伊賀地区斎奉閣 館長 1級葬祭ディレクター

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